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第百四十五話 〜きたる決戦へ向けて…〜

おはようございます!!

マスターキーに込められている機能はすごいものだった。

ただ、それくらいのセキュリティーは必要なものではあると理解できるので、致し方ない。

真琴がマスターキーを持ち込んだのは偶然なのか、真琴の意思なのか!?

今回もお楽しみください!!

マスターキーからの音声!?

 何も状況を打破できていないこちら側としてはこれ以上にない情報だ。光明が見えてきたのかも!?


「一体なんと?」


 その内容についてみんなが気になっている。その場を代表してか、西日本エリア長の吉備さんが声を発した。


「……それが、音声に雑音が混ざるというか、フィルターがかかったような感じで、鮮明に聞くことはできなかった。」


 ……なんてことだ。それでは聞こえたことには意味がない……。


「いや、落ち込むのはまだ早い。鮮明には聞こえなかったが、読み取ることはできたんだ。」


 長老の思わせぶりだったが、希望はまだ捨てきれないと少し安堵した。


「その内容としてだが、今回の百鬼夜行ではまず、陰陽省の中枢である群馬支部に総攻撃をかけるようだ。前回の百鬼夜行は日本全体への攻撃だったが、それを踏まえて全国に我々を配置すると見込んだ「厄」の連中は守りが手薄になっているであろう初手で中枢を一点突破することにしたらしい。」


 そっか。相手の出方がわからなかった今までであれば、私たちを散り散りに地方へ配置せざるを得ない。どこかを手薄にするわけにはいかない。だが、それだと手薄にはならないが地方に力が分散してしまい、一点集中で責められた時に対処が遅れる。それを考えると、相手の初手の出方がわかっただけでも対策はうてる。


「……すると、我々もそちらに向かった方が良いのか?」


 吉備さんは自分たちがするべきことを確認した。ただ、その返答は思ったものとは違った。


「いや、エリア長達は各地で警戒に当たってほしい。」


 長老はエリア長達には各地の警戒にあたってほしいとの命を受けた。


「理由を聞いても……?」


 少し納得いかなかったのか、吉備さんは理由を求めた。


「一点集中で襲ってくるといっても、地方に協力な妖怪が現れないという保証がない。おそらく幹部達は一堂に会してやってくるのだろうが、ほかの妖怪がどうくるかはわからないからだ。」


 長老は理由を述べた。


「それはそうだが、こっちはどうする?ここにくるとわかっていて手薄にはできんだろう?」


 その理由に北海道エリア長の神居さんが言葉を発した。確かにエリア長以外にここを守れる人材というのはいないとは思う。


「そりゃもちろん。手薄にするつもりはないさ。こっちは全て未来ちゃん達に任せることにした。」


 そうそう、私たちに任せなさい!ってええ!?全て!?


「!?ちょっと、長老!?」


 私は驚きのあまり声を上げた。確かに私たちも戦闘に参加するつもりではあるけど、全てを任せられるとなると……。


「何をお考えで?」「おいおい、荷が重いんじゃねぇのか?」「大丈夫なのぉ?」


 エリア長達はあまりよく思ってはいないみたいだ。私としても、完全に任せられるのは気が引ける。できればエリア長達も一緒に対処したいくらいだ。でも、確かに地方も疎かにはできないのもわかる。


「大丈夫だ。これはほぼ決定だ。俺は未来ちゃん達に「厄」の相手を任せたい。未来ちゃん達にしか相手にできないと思っている。エリア長達の方が強いのはわかっている。だが、追い詰められた時の最後の力を振り絞れるかどうかは思いの強さだと思う。「厄」相手に1番思いを持っているのはこの子達だ。俺はその可能性に賭けたいと思っている。もちろん、任せっきりではない。俺が力を貸すつもりだ。」


 ……長老。私たちの思いを汲んでくれての采配か。ありがたい。


「……、恵慈……か?」


 吉備さんが一言つぶやいた。


「もちろんそれもある。だが、それだけじゃない。未来ちゃんは空亡くんの為というのもあるし、賀茂はちょっとした因縁もある。」


 師匠の因縁については黄龍館にいる時に長老が様子見に来た時に少し話した。


「……承知した。ひとまず納得しておこう。……だが、私はまだその空亡くんに関しては完全には信用していない。」


 吉備さんは空亡に対して信用していないと告げた。今までは味方となってくれる人ばっかりだったけど、元「厄」の幹部って事は知られている。確かに今考えたら完全に信用できる人ってもしかしたら少数なのかもしれない。しかも、エリア長ほどの管理するエリアが大きい人ほど警戒心は強いだろう。長老が特殊なのかもしれない。


『我の存在が心配なのであれば、枷でもなんでもすれば良い。我は裏切るつもりもなければ未来と共に真琴を救う。そして、人も救ってみせる。それが終われば我を投獄するなり常世に追放するなりの誓いをたてたっていい。ただ、この戦いが終わるまでは未来達と共にいることを許してもらいたい。』


 そういって空亡は吉備さんの言葉に返答し、頭を下げて懇願した。空亡……。戦いが終わった後に別れるなんて嫌だ……!!


「……そ、空亡!?」


 私は空亡の言葉に戸惑いの声を上げたが、


「……、ふふ。そこまでの覚悟だったら一度だけ信じてみよう。この戦いの後にその言葉の真意がわかる。私も無条件で疑いたい訳ではない。立場もあるのだ。わかってくれ。長老は例外だ。試すようなことを言ってすまないな。」


 吉備さんは頭ごなしに否定している訳ではなかった。少し安心した。でも、そう言った考えもあるんだと理解することができた。そして、それはさっき空亡が言った戦いの後にお別れがある可能性も少なからずあるということも理解することになるのだった。私は少し悲しくなったが、今はそれを考えたって仕方がない。そういう未来があったとしても、その時考えるしかない。

ここまで読んでいただきありがとうございます!!

思いの強さ。

今までの物語でさまざまな思いが込められています。

それを未来達は力に変換できるのでしょうか!?

長老はできると信じている。

きっと未来達ならやってくれるでしょう!

次回は1/17朝アップします!!

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