第百二十六話 〜契約〜
おはようございます!!
最後の封印から帰り、治療を受けた未来。
眠りから覚めた未来に訪れる物語とは!?
今回もお楽しみください!!
……ぱち……
私は自分の部屋で目が覚めた。椅子に座って目を閉じている。
……寝ている?……
いや、空亡は睡眠を必要としなかったはずだ。
私は体勢がキツくなり、少しモゾモゾした。すると、私が目覚めたことに気がついたのか、空亡が目を開けてこちらを見る。その目を見開いてすぐさまこっちに寄ってきた。私は上体を起こし空亡を迎えようと思ったところ……。
――ガバッ――
っと、私を抱き締めていた。
……え!?なになに!?
私は誰から見ても真っ赤な顔をしているに違いない。だけど!聞かずにはいられなかった。
「え!?どうしたの!?」
私は空亡の普段はしないような仕草に驚いた。
『……すまない。我がついていながら、未来に……。すまない……。』
空亡は私を抱き締めながら、謝った。心からの謝罪と感じられた。
私はそんな空亡の後ろに手を回し、
「大丈夫だよ。ありがとう、空亡。今生きていられるのは空亡のおかげだよ。」
空亡の抱き締めがキツくなる。
『それは未来が頑張ったからだ。我は未来を守れていない……。やはり、巻き込んでしまった事が過ちだったのか……。』
私はその言葉に怒りが湧き上がった。空亡を引き剥がし、顔を直視して一喝。
「馬鹿ッ!!そんな事言わないでよ!?私は今の生活が好きで幸せを感じているの!勝手に過ちだったなんて思わないで!私が頑張れたのだって、空亡がいたからだよ!もう、空亡は私の一部になっているの!守ろうが守れなかろうが、そんなことはもうどうでもいい!!……そばにいて!!一緒に戦いたい!!守られるだけじゃなくて、私も守りたい!!」
私は怒りに任せて、泣きながら、心のうちを言葉として打ちつけた。空亡は唖然とした顔をしていた。私は色々意見は言う方だけど、あまり捲し立てるように言葉を投げつける方ではない。その光景に驚いたのだろう。だけど、私はどうしても言わなくてはいけなかった。この鈍感くんにはストレートに言わないと伝わらないのだ。
『……未来……。』
空亡は私の名前を呟いた。
「ご主人。ここまで言われたら、汲んであげるべきですよ?」
極姫が急に話に割り込んできた。私はさっきの言葉が少し気恥ずかしくなったが、極姫は珍しく私の味方をしてくれた。
「私は未来のことを正直そこまでの覚悟はない、ただの色ものと思っていたけど、違ったようね。ごめんなさいね。もう、私と未来は対等よ。」
私の覚悟の叫びは極姫に刺さったようだ。今まであまりいい印象は持たれていなかったとは思っていたけど、これで遺恨はない。私も仲良くしたいからちょうどいい。
「……。極姫……。ありがとう。」
空亡をチラッと見ると、目を閉じ何やら考えている様子だ。
『……わかった。我が間違っていた。未来は最初から我の為に頑張ってくれていた……。それを気付かぬふりをしてきたのは我の方だ。未来は最初から我と共に歩むことを選んでいたのだな。……覚悟が足らなかったのは、我だったか。どこかで、未来を戦いの場へ誘うのに気が引けていたのかもしれない。……未来は弱くない。未来はもう、育てるべき相手、守るべき相手ではなく、1人の立派な陰陽師なんだな……。今後、我は共に歩み、守り、助け合う……そんな存在であることを誓おう。』
空亡は私にまっすぐと誓った。出会った頃は守と誓ってくれた。お互いを知った今、さらに固く、共に戦うと誓ってくれた。
「……グス。わかってくれてありがとう……。空亡も優しいから、私の事を思ってくれているのはわかるよ……。でも、もう、私はこの世界を知っちゃったし、知れてよかったとも思っているの。だから、そんな、私たちの出会いまで過ちだったとか言わないで……。」
私は空亡がどんな気持ちで今の話をしたのか少しわかる。知らないままだったら、こんなに大変な目に遭ってなかっただろうし。でも、やっぱり私は空亡に出会えてよかった。
『……そうだな。すまなかった。とは言え、未来の人生を変えたのだ。我もその責任を我も背負っていこう。』
空亡はやっぱり優しい。でも、今まで以上に絆を感じる。
「未来が倒れてからのご主人の慌てた姿は見ものだったよ。」
『ッんなっ!?』
ふと、極姫が私に冗談を言った。こう言った話をできるようになったのも嬉しい。
空亡は極姫の言葉にまた慌てて、顔を赤らめている。ちょっと前より顔つきも柔らかく、表情豊かになった気もする。
「えー!?そうなんだ!?見たかったなぁ!!」
私もそれに乗っかって空亡をイジった。
空亡は頭を抱えている。
すると、なにやら、身体の奥底から暖かさを感じる。それと同時に体がほのかに光出した。
「……ん?…ッエッ!?なに!?なんだこれ!?」
思わず、驚いて声を出してしまった。私はなにが起こっているのか分からずに、空亡に問いかけた。
「ねぇ!?空亡!?これなんな……の……?え?」
問いかけた相手の空亡も理由はわからなそうだか、それよりも、空亡も同じように光っていることに驚いた。
「空亡も……!?」
『どう言うことだ……?』
空亡にもこの現象がわからないらしく、両手の平を交互に見て確認している。だが、この現象がなんなのかはすぐにわかった。
2人が突如として光り、徐々に光が薄れていくと同時に、自分の能力の限界を突破したことに気付いた。それは空亡も感じたようで、私と空亡は顔を見合わせ、その正体を言葉として発した。
「『契約だ……。』」
ここまで読んでいただきありがとうございます!!
未来と空亡の絆が深まり、契約に至りました。
念願の契約です。
それに加えて、極姫も未来を認めたようです。
これからどんな物語を紡いでいくのか!?
次回は12/10朝アップします!!




