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第百二十五話 〜声〜

おはようございます!!

辛辣な言葉をかけられた未来達。

その言葉は真実なのかそれとも偽りなのか!?

折れそうな心を保つことができるのか!?

今回もお楽しみください!!

「あんたらみんな大嫌い。もう、構わないで。」


 それが、真琴の本音なのか……?私はその一言を信じていいのだろうか?信じたくはないけど。


「……ッ!?どうして!?あんなに楽しそうにしてたじゃない!?あれは嘘だったってこと!?」


 そうだ。真琴と楽しくランチや遊びに行っていたけど、いつも楽しそうだった。それまで嘘なのだろうか?


「……、そうだよ。あんたらに私の正体をバラさない為には楽しそうな演技をするしかないでしょ?……もちろん、カケラも楽しくなかった。むしろ、無理やり楽しそうにするなんて苦痛に耐えなくちゃならなかったから、本当に疲れたよ。それをずっと、ずっと隠し通してきた!この日のために!!私は最初からあんたらの仲間でもなんでもない!!最初から今日の為に今まで頑張ってきたの!!……だから、もう話す事もないよ。……さようなら。」


 私はソラの反応を期待しつつ待っている。昨日のうちに、もし真琴に会うことができたら真琴の心の声を聞いていて欲しいとお願いしてあった。心の中を覗くのは正直気が引けたが、なりふり構っていられない状況だからおおめに見て欲しい。言葉と心に差があったら教えてと言ってある。


 だが、今の所ソラからの声は上がっていない……。

 

 ……本当に……、本当にそうなんだろうか……。もう、悔しくて、悲しくてたまらない。


 ――未来、諦めるのはまだ早い――


 ふと、頭の中に晴明さんの声が響き、気がつくと手に晴明さんの霊符が握られていた。これを使えってこと?


「……ッ、ま!待って!真琴!?」


 とりあえず、まだ行かないで欲しい!晴明さんから託されたこれがどんなものかはわからないけど、無意味じゃないはずだ!でも、真琴がいないと何にもできない!

 私は真琴を呼び止めて、手に握る霊符に力を込める。相変わらず消費する力が大きすぎる。今にも意識が飛びそうだ。でも、倒れるわけにはいかない……!

 私の声に振り向く真琴が言葉を発した。


  「まだ、何か用?」

 ―「―助けて!!―」―


 真琴の声に重なってもう一つの真琴の声が聞こえる……?どんどん力も消費していく。


  「私にはもう用はないの。さようなら。」

 ―「―本当はこんな事したくない!!!―」―


 これは……?本当に真琴の声……?もう、力もほぼない。でも、これが真琴の本当の言葉であるのだったら聞き逃すわけにはいかない!最後まで!最後まで絞り出して言葉を聞かなきゃ!!


  「次に会うのは、3ヶ月後ね。」

 ―「―離れたくない!助けて!―」―


 真琴はその言葉を最後に亀裂に入り帰ってしまった。それでも、真琴の本当の声が聞こえた。真琴は本心でこんな行動をとったわけじゃない!!それがわかっただけでも、今日の収穫があった!無駄じゃなかった!!

 そう思ったと同時に、私は力の使いすぎで意識をなくして倒れた。次に目が覚めた時は家のベッドの中だった……。


 ――――――


 未来が倒れた。何やら、急激に未来の力が減っていると感じたのは未来が倒れる直前だった。未来は力の使いすぎで箇所箇所の毛細血管が破れ、目から血を涙のように流している。

 我らは酒呑童子(しゅてんどうじ)が現れてからうまく動けずにいた。賀茂の小僧も重症で心配だが、力の枯渇も命に関わる。先日、晴明に力を渡されたと言ったが、それでも足りないほどの術を使ったのだろうか?

 酒呑童子と真琴は常世は向かったのだろう。2人と牛鬼が常世に帰ったと同時に場に張り詰めた空気も緩和して、皆動けるようになった。

 我は未来のもとへ、雪殿とフローラは小僧の元へむかった。


『未来!?』


 完全に意識を失っている。力の使いすぎだ。手を見ると晴明の霊符が握りしめられている。


 これか……。


 未来は晴明の霊符を使用したのだろう。我にはその霊符の効果はわからないが、それは未来が起きてから聞くしかない。今は少しでも安静にさせてやらねば。

 まずは自宅で道世殿の回復が必要だろう。

 小僧はフローラの回復が効いたらしく一命は取り留めたと言った感じだろう。安心は出来ないだろうが。


『我は未来を家まで運ぶ!』


 雪殿とフローラ、小僧に伝え、未来を担いでその場を離れる。


「お願い!こっちは任せて!」


 雪殿から返答が得られたが、それを聞く前に我は出立していた。


「―ご主人?そこまで未来が大切ですか……?―」


 我の慌てようが不思議だったのか、極姫が問いかけてきた。


『ああ、大切だ。未来(みく)はこれからの戦いにいなくてはならない存在だ。未来(みく)を失えば未来(みらい)はない……。』


 我は極姫の質問に即答した。


「―……そういう意味じゃないんですけど……。―」ボソッ


 極姫が何かボソッと言った気がしたが今の我には聞こえなかった。


 ――――――


「道世殿!!道世殿はいるか!?」


 我は未来の家にあがり、大声で道世殿を探し、叫んだ。


 ……ドタドタドタ!


「空亡さん!!?どうしたの!?」


 我の慌てた声に驚いてか、道世殿も慌てて我のところまで来てくれた。


「……ッて!?未来ッ!?え!?どうしたの!?」


 道世殿も未来の様子を見て驚いている。


「我がついていながらすまない。おそらく、力の使いすぎにより意識を失った。」


 我は謝罪をしつつ、状況の説明をした。


「未来が力の使いすぎ!?総量化け物みたいなのに!?……まあ、なったものは仕方がないか……。今、有元さんも休んでいるところだから仕事場に行きましょう!?」


 そう言って、急いで仕事場へ向かった。

 それからは手慣れたものだった。有元(ありもと)も未来の状態を見ると驚いてはいたが、すぐに処置を始めた。基本的には回復術式の行使だから道世殿の力がメインなのだが、その力に合わせ、より効率よく力が伝わるように有元が力の補助をしている。

 

 陰陽師の力とは妖力と似ているが、「霊力(れいりょく)」と呼ばれる。妖力への変換が可能だ。妖怪が使う力が妖力、陰陽師が使う力を霊力といって問題はないだろう。

 未来の霊力は今世の陰陽師の中でもずば抜けて多い。霊力は無くなったら自然に回復するが、逆に自然に回復するのを待つしかない。

 道世殿は霊力が自然に回復する力を強める術をかけ、有元は急激な回復に耐えられるような土台作りをする。


 見事だ……。


 そして、処置が終わり、有元は仕事に戻り、道世殿と未来の部屋に未来を運ぶことになった……。

ここまで読んでいただきありがとうございます!!

晴明さんの急な助太刀で、何やら普段と違った声を聴くことができた未来。

だが、それが本当の言葉なのか、願望が声として聞こえただけなのか、今はまだわからない。

そして、倒れた未来を運ぶ空亡。

未来は助かるのでしょうか!?

次回は12/9朝アップします!!

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