第百二十四話 〜真琴の気持ち〜
おはようございます!!
未来の読みは当たっていて、真琴が現れました。
ついでに何やら強そうな妖怪もいます。
一体誰なのでしょうか!?
それも含め今回もお楽しみください!!
体格の大きな妖怪と真琴がいた。
……!?!?
「真琴!?」
私は思わず声をかけた。正直、その横にいる強大な妖怪は目に入らなかった。確かに力をビリビリ感じるし、体の震えもある。だが、どれだけ強さを持った妖怪であろうと、今の私の目標は真琴だけだった。
その妖怪からしたら、その行動が琴線に触れたのかもしれない。
「ガァ!!――」
その妖怪が吠えた。私たちは金縛りにあったかのように動くことができなくなった。……、1人を除いて……。
「……お、お前は……。」
それは師匠だ。多分、力に当てられてはいるが、それにも上回る怒りが湧いてきているらしい。その証拠に目を見開いて、今にも血管がはち切れそうな、その脈打ちがわかるかのようにこめかみに浮き出ている。
「おまえかぁぁぁぁぁ!!!!!」
師匠は我を忘れて、大激怒と咆哮をあらわにしてその妖怪に飛びかかっていた。普段は2本両手で使っているかまいたちの鎌を一つにし、大鎌へと姿を変えて飛びかかる。そんな形態もあったのか。だが、今はそれどころではない。
「師匠!?待って!!」
私は必死に制止する。だが、何も聞くことができない師匠はお構いなしに突っ込む。そんな愚策を師匠が講じるのだろうか?我を忘れたらそうなるものなのだろう。さっき牛鬼で実演したばかりだ。師匠は先の牛鬼のような状態であった。もちろん、結果も同じだ。
「ふん!!」
その妖怪は手に持った棍棒をブンッと一振り。とてつもない速さだ。その棍棒は師匠にダイレクトに当たり、師匠は後ろに激しく飛ばされた。
「俺様の威圧に意識を保つどころか、襲いかかってきたか。なかなかやるじゃねぇか。小僧……。」
その妖怪は今さっき吹き飛ばした師匠に向けて称賛の言葉をあげた。そして、怪訝そうな顔になり、言葉を紡いだ。
「……?……ああ。あの時の小僧か。」
なんのことだ?師匠と面識があるのか?だが師匠はぴくりとも動かない。結構な衝撃だったから当然か……。師匠は大丈夫だろうか。でも、息はしている。生きてはいるみたいだ。
「久しぶりだなぁ。俺様に覚えてもらえているのだ。誇ってもいいぞ?まあ、聞こえていないか。まあ、すぐに「お姉ちゃん」に合わせてやるさ。ずいぶん逞しくなったみたいだしな!」
そこまで話すと、ガハハハ!と笑った。その言葉にピクッと師匠は反応した。
うそ!?もう意識があるの!?
「……テメェが鈴姉を……、語るんじゃ、ねぇよ……。」
師匠意識があった!?
「師匠!?」
私は思わず叫んでしまった。
「ほうほう!?意識があったかの!?驚いたな。手加減したとはいえ、普通の人間なら即死だぞ?……やはり、お前は俺様の期待に答えてくれるかもしれんな。……今日のところは引いてやろう。事も済んだしな。」
そう言うと、振り返り、いつの間にか出来ていた空間の亀裂に入り、帰ろうとしている。だが、何かを思い出したようにあっ!と言い、言葉を発した。
「おっと、忘れていた。俺様は「酒呑童子」だ。お前らの宿敵「厄」の幹部様だ。覚えておけ。……空亡、またな。」
そう言ってまた、帰ろうとしている。このまま帰してはいけないと思うが、この強さはまだ私たちでは太刀打ちできない可能性もある。見逃される方がまだいいのかもしれない。……でも、今日の目的だけは絶対に遂行する!!
「…待って!!真琴!!」
私は酒呑童子と共に帰ろうとしている真琴を呼び止めた。話をしなくてはならない!でも、真琴の冷たい瞳は私を見ていない。ずっと俯き加減で酒呑童子の傍に佇んでいる。私の制止も聞かずに帰ろうとしている。
「おいおい、お友達が何か言っているぞ?聞いてやれよ。俺様は先に行っている。……これはお前らへの褒美だ!素直に受け取っておけ!ガハハハ!!」
褒美といっても、むしろ最悪を突きつけられた気分だ。真琴を1人にしても、「厄」に帰ってくると言う確信があるからこそだろう。
真琴はそのまま亀裂の前で立ち、こちらに振り向く。今度はまっすぐ私達の方を見ている。ただ、その瞳の冷たさは変わらない。
「どう言う事なの!?真琴!?私達仲間じゃなかったの!?私は真琴が大好きだし、これからもずっと友達でいたいと思ってる!!だから!戻ってきてよ!いつもみたいにいろんなお店回ってくだらない日々を過ごそうよ!!?」
私は真琴に聞こえるように大声で叫ぶ。真琴のことをどう思っているのか。それをストレートに伝えるんだ!
「そんなに長い付き合いじゃないけど、私はもう親友だと思っていたよ!キョンちゃんなんて真琴のことを本当の家族と思っているよ!私もそれくらいの関係になりたいし、これからなっていけると思っていた!」
溢れる思いを矢継ぎ早に伝える。私にとっての真琴。みんなにとっての真琴。そして、
「私たちはみんな真琴が大好きなの!!だから!真琴の本当の気持ちを教えて!?もう、そっちにいくしか道はないの!!?」
私は伝えたいことを伝えた。あとは真琴次第だ。真琴は本当はどう思っているのだろう。聞くのは怖い。怖くて怖くて仕方がない。でも、聞かないことには先に進めない。
すると、真琴が言葉を発した。
「……あんたら、みんな大嫌い。もう、構わないで。」
少なからず予想はしていた言葉だが、実際に本人から言われるとなんとも残酷な言葉だった。
ここまで読んでいただきありがとうございます!!
辛辣な真琴の一言で終わりにしてしました!!
そして、一緒にいた妖怪は賀茂師匠の因縁。
なんという境遇でしょうか。
これからのお話も楽しんでいただけると嬉しいです!
次回は12/8朝アップします!!




