第百二十二話 〜牛鬼戦〜
おはようございます!!
前回に引き続き、牛鬼回です!
今回から牛鬼との本格的な戦闘になります。
今までで1番の強さと思います。
どう切り抜けていくのでしょうか!?
お楽しみください!!
私も、前よりは成長している。短い期間だけど色々な経験をしてきたつもりだ。だから、今の戦闘も喰らいつくことができている。基本的には後衛の私はあまり直接戦闘に出張ることはないけど、全体のバランスを確認することは必須だと思っている。そして、まだまだの私は常に戦闘が1番の勉強だとも思っている。これに関しては完全に師匠の受け売りだけど、それは本当にそうだなとも思う。詳細に説明してもらうよりも実際に体験した方がわかりやすいし、頭にも入りやすい。
「フローラ!もうちょっとしたら鵺と交代して!」
お姉ちゃんがフローラに叫んで指示をする。戦闘に参加するのも大切だが、中衛の役割の1番重要なところは、全体を見て指示をすることだ。お姉ちゃんはこの数分で鵺の性格やら体力、消耗度等を理解、把握してチーム員として機能させる。流石だな。
常にみんなは自分の最善の行動を周りを見つつ判断して実行している。私も私にできる範囲で行動をする。
「ふむ。なかなか連携がとれていていいチームではないか!?」
牛鬼が攻撃をいなしながら、私たちの分析をした。牛鬼は分析をしながらまだ余裕がありそうだ。私たちは5人であるのにその余裕は本人の強さがすごいからなんだろう。
『やはり、なかなかやるな。このままだとジリ貧だな。』
空亡もこの状況を打破したいようだ。牛鬼からはこれで1000年封印された後だとは思えないくらいの力強さをビリビリ感じる。
何かないのか……。
そんなことを考えながら戦況を観察している。同時に検索の術式を行使して、図録から牛鬼の弱点妖怪を検索しているが、なかなか見つからない。この検索にかける時間は相手の強さに比例する。強ければ強いほど検索に要する時間はながくなる。なので、強い妖怪に関しては前衛の存在が必須なのだ。
「未来!?まだか!?」
師匠からも急かされる。師匠も契約妖怪を駆使して牛鬼との戦闘をしている。長老の時に使っていた雲外鏡の力を使ったワープ攻撃とかまいたちの鎌を使っての戦闘だが、牛鬼の8つの目にはとらえられ、4つの腕にいなされる。空亡、師匠、鵺の3人の猛攻を受けながら、攻撃をいなしている牛鬼は本当に強い。
「やるなぁ!お前ら!久しぶりのシャバだ!もっと楽しませろよッ!!」
そう言って、牛鬼は今まで防戦一方だったが、攻撃へと転じた。基本は打撃というか格闘術を駆使しているようだ。ただ、腕が4本あることからどんな格闘術かはわからない。牛鬼特有の格闘術だろう。止まない攻撃に前衛のみんなも驚きを隠せない。
『こんなに完成された格闘術だったか!?』
空亡は昔を思いつつ、鵺に牛鬼のことを聞いた。
「いや!ここまでの練度はなかったはずだ!どういう訳だ!!?」
鵺も、ここまで完成された格闘術を見たことはないらしい。1000年前に戦った時とは違うということなのだろうか。……ということはこの封印された1000年の間で完成させたのか……!?
「それはそうだろう!1000年も封印されて暇だったのだ!頭の中で練度を上げるくらい造作もないわ!!私を封印する際に思考まで止められなかったのは愚策だな!!」
牛鬼は戦闘に関してセンスがずば抜けていそうだ。普通、思考だけで練度を上げるなんて不可能だ。
「ケッ!それでも封印されてちゃ情けねぇな!結局は弱かったってことだろ?」
師匠が、牛鬼を言葉で煽る。
「煽っても無駄だ、小僧!どれだけの修羅場を超えてきていると思う!」
その言葉と同時に姿を消した牛鬼は一瞬にして師匠の後ろにつき、手刀を振り下ろす。師匠はモロにその攻撃をくらい、背中を袈裟斬りのように大きく切り裂かれた。
「ぐあぁぁ!!」
師匠は苦痛に叫びながらも、意識は保ち、倒れるのはなんとか避けた。すぐさま師匠を助けに空亡が向かうが、牛鬼に阻まれる。空亡にしては牛鬼は相性が良くない。だが、その隙に鵺が師匠を拾い上げ、中衛の方へ放り投げる。荒っぽいが1番手っ取り早い。
すぐさまフローラが師匠の回復をする。精霊の回復は有用だ。師匠もすぐに回復し、傷も塞がったが、安静にしていないとまた傷が開く恐れもある。回復の重ねがけが必要なほどの傷だった。
「まったくー!賀茂様は無鉄砲すぎですー!」
煽りを入れるという師匠の策に無鉄砲と叱った。
「悪いな。でも、あいつは気にしていない素ぶりを見せてはいたが、俺に攻撃してきた。イラついてはいるんだ。どうにか心を揺さぶってミスを誘うしかねぇ。」
師匠はおそらく普通の戦闘では勝てないかもと思っている。心を揺さぶって精神的な攻撃も必要と判断したようだ。ただ、あの戦いの権化みたいな妖怪の心を乱すことができるのだろうか。
「多分、あいつに対抗できるのは空亡だけだ。未来。作戦を伝える。俺と鵺でなんとか抑えるから空亡に作戦を伝えてくれ。」
そう言って、師匠は私に作戦を教えてくれた。あとは私が空亡に伝えればいい。念話で話すのもありだが、相手が上手だから、念話を傍受をできる可能性もある。なるべく直接伝えたい。
「わかった!!」
私は念話で、空亡に一旦下がるように伝えた。タイミングはそっちでよろしく!
―「空亡!一旦下がって私のところへ!タイミングは任せる!」―
念話で指示を出す。チームメンバー全員へ指示を出す。
―『わかった!』―
ここまで読んでいただきありがとうございます!!
牛鬼戦です。
賀茂師匠は攻略の糸口を掴んでいるようですが、どういった策なのでしょうか!?
それにしても、8眼の4本腕は結構やばいですね。
これからどうなるのでしょうか!?
次回は12/6朝アップします!!




