第百二十一話 〜牛鬼〜
おはようございます!!
ついに第5の封印、五行封印最後の封印を解きました。
そこから現れた妖怪は牛鬼。
どんな強さを秘めたいるのか!?
そして、一緒に封印されていた妖怪も登場です!!
お楽しみください!!
「感謝するぞ、小娘……。」
封印を解いて、出てきた妖怪に感謝をされたが、その言葉が発せられたと同時に、私たちは、ビクッとした。まるで、山本五郎左衛門がそこにいるかのような存在感だ。これほどの強者という訳か。ただ、私も、安倍晴明から力を分け与えられたおかげで、山本に会った時のように震えで動けないということはない。
「……どういたしまして……。あなたは……?」
相手は多少の礼儀をわきまえているのか、それとも単なる気まぐれなのか、私にお礼をいうくらいだ、少しくらい話もできるのかもしれない。そう思い、その妖怪がなんなのか問いかけてみた。
「私は牛鬼。覚えておけ。」
―牛鬼―
牛鬼の容姿は180センチくらいの身長。髪は長髪で後ろで一本にまとめている。前髪も全て後ろに回してオールバックのようになっている。
ヒゲを生やしており、体格はがっしりした感じだ。シルエットだけ見ると人間のようだが、確実に人間とは違う部分がいくつかある。
まずは、腕が4本ある。そして、目が8個。目の配置は蜘蛛のソレと同じ感じだ。非常に不気味だ。きている服は浴衣のような着物を着崩した感じだ。
「……こいつはすげぇな。」
師匠が牛鬼を見てその感想を述べた。普段から強者との戦いを求めて旅していた師匠ですら、すげぇとしか言いようがない相手だ。
「そうか……、コイツがいたか……。」
ふと、パッと師匠の後ろに現れた鬼神さんが声を漏らした。
「おお!鬼神!久方ぶりだな!元気にしていか?お主もすぐに消滅させてやろう!クク。」
牛鬼は鬼神さんと知り合いのようだ。その短い笑みがまた不安を煽る。口ぶりからすると牛鬼と渡り合える強さなのだろう。ここに封印されているのが証拠だろう。
『牛鬼か。鬼門に見合った奴ではあるな。』
空亡も知っているようだ。
「……!?その声!?その存在感!?空亡かぁ!?お前までいるとは!!なんていい日だ……。今日私は幹部へとなれるのかもしれない。」
牛鬼も空亡を知っているらしく、空亡に出会えたことを歓喜していた。幹部になれるかも……?狙っているのは「厄」の幹部の座か?それにしても、この威圧感でも幹部ではないっていうのは、幹部の強さは底知れないな。玉藻前と戦った時は陰陽師になりたてで良かったのかも知れない。そうでなかったら、立っていることすらできなかったものしれない。無知って怖い……。
「そうはさせない!お前はここで消滅するんだ!!」
そんなことを考えている時に、滝の近くからやけに正義感が強そうなハキハキとした声で力強く叫ぶ声が聞こえた。
「え!?何!?」
私は驚いたが、すぐにその正体はわかった。そこには奇妙な妖怪がいた。
顔は猿、体はほとんどが虎のよう、そして尻尾は蛇だ。翼とかは無いけど、どこか浮いているようだ。大きさは本物の虎くらいの大きさだろうか。
『鵺か!』
空亡はその妖怪のことを鵺と呼んだ。名前だけは聞いたことがあるくらいの認識だけど、きっと牛鬼とともに封印されていた妖怪だろう。
「しつこいぞ!鵺!まだ私にまとまりつくのか!?」
牛鬼は鵺に向かってそう言った。まあ、1000年も封印を共にしたのならそう思うのも不思議では無いか……。
「まだまだだ!私が共に封印された理由はきっとお前を滅するためだ!!決して諦めないぞ!!」
鵺は絶対諦めないという強い意志を見せた。
『相変わらずだな。』
空亡の呟きが気になった。
「相変わらず?」
昔からこんな感じってことか?
『鵺は昔から正義感が強くてな。許せぬ相手や不条理にとことんまで対抗する。その意思は固く誰にも曲げられない。少し困った奴だが、今世の我らの戦いには無条件で力を貸してくれるだろう。』
空亡が鵺を見ながら私に説明してくれた。その視線に気がついた鵺が初めて空亡を見たかのように話した。
「なんと!?そこに座すは空亡殿ではないか!?それにこの気配は晴明殿……?いや!!きっと子孫であろう!!よろしく頼む!!」
今まで気づいていなかったのか。自分が集中しているもの以外はあまり見えない、猪突猛進タイプなんだろうなと感じた。
『ああ!頼む!一緒に戦ってくれるな?』
空亡が答える。
「ハハハ!!望むところだ!!」
さらに、それに呼応するかのように鵺も答える。お互いに意思の疎通がはかれたところで、戦いは始まった。
さっきまで話をしていた鵺が突然消え、牛鬼に襲いかかっている。空亡も反対方向から刀を振りかざしている。
だが、鵺の虎の前脚による打撃と空亡の斬撃は牛鬼の腕によって受け止められた。そして、振り払われる。だが、2人が攻撃を止めることはなかった。
最初こそ受け止められたが、それからすぐに軌道修正したのか、受け止められることはなく猛攻撃は繰り返されている。受け止められることはないが、うまくいなされたり、避けられたりで、ダメージは与えられていない。
「ハハハ!相変わらず敵ながらあっぱれの強さだ!だが、負けられん!」
鵺は牛鬼の強さを感じつつも気合いでは負けないつもりらしい。空亡はまだ鵺との連携を気にしているのか、涼しい顔だがあまりいつもの調子は出ていない気がする。
「……展開早いなぁ。」
私は私で、今始まった戦闘の展開の速さに少し悪態をついた。前までの私だったら確実に一瞬で死んでいただろうな。今はこのスピードにもついていけるくらいではある。ただ、能力向上の術式を発動させていないと無理だけど。
ここまで読んでいただきありがとうございます!!
今回の封印では牛鬼と鵺の妖怪が封印されていました。
牛鬼は「厄」の幹部並みの強さを持っているようですが、果たして未来達の力は通用するのか!?
次回は12/5朝アップします!!




