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第百十六話 〜安倍晴明の霊符〜

おはようございます!!

真琴が式盤を持って先に出てしまったあと、未来と空亡は資料室に閉じ込められ途方に暮れます。

こんなことが起こり嘆きたい気持ちもあるでしょうが、脱出と報告が先決。

どうやって抜け出すのでしょうか!?

今回もお楽しみください!!

「嘘……、でしょ……。なんかの冗談だよね……。」


 私は呆然として立ち尽くしてしまった。


『未来!しっかりしろ!長老に連絡だ!』


 ハッ!そうだ、打ちひしがれている時間ではない!まずはここから出ないと!ここへアクセスできるのは長老だけだったはず!私は急いでスマホを取り出して、連絡しようとした。よかった、スマホ持ってて。だが、この部屋は電波を傍受するように出来ているのか、電波が入らない。……クソっ!どうしたら……。


 ……木箱の布のしたを確認しろ。……


 ふと、頭の中に安倍晴明の声が聞こえた。私の血に含まれた魂が何かを伝えようとしているのか!?


「空亡!?今、晴明さんからなんかお告げがあった!木箱の布の下を確認しろって!?」


 私はその言葉を空亡が信じてくれると思ったからこそ話をした。そして、布を無造作に取り払う。するとそこには数十枚のお札が収められていた。式盤の存在感がありすぎて見過ごすところだった。そのお札は陰陽師が使う霊符(れいふ)と呼ばれるものだ。私も実際に持っている。しかし、この霊符は少し感じが違う。紙は紙だがすごく丈夫な紙だ。そして、書かれている文字が赤色だ。基本は筆と墨で書く霊符の文字だが、墨では無さそうだ。


「……こ、これは……、霊符?」


 私はその霊符を手に取った。


『これは……、晴明が使っていた霊符だ!あやつめ!これも残していたか!?』


 空亡が驚きと感嘆の声を上げた。それと同時に空亡は人化し、霊符を探り始めた。


「空亡!?どうしたのそんなにテンションあげて?」


 私は空亡がここまでテンションを上げることが珍しいと思って声をかけた。


『……ちょっと待て……、ならば、あるはずだ。どれだ?……っ!!これだ!』


 空亡は霊符の中から1枚の霊符を見つけ、私に差し出した。


『未来!この霊符に力を込めて、出口を出るんだ!!』


 え!?どう言う事!?出口を出る?どうやって!?


『この霊符は晴明が開発したものだ。あまりに力がありすぎて晴明自身が使うまいと封印したものだ。使用できるものは晴明のみ。晴明の力を得た未来なら使えるだろう。そして、この霊符は晴明に見せてもらった事がある。「物理の干渉を任意で無効化」できる能力がある。つまり、壁をすり抜けられる!』


「んな!?」


 なんてこった!?そんなとんでもない能力を開発していたの!?晴明さんすごい!!


 ……そうだろう!……


 フッと脳裏に安倍晴明のドヤ顔が浮かび声が聞こえた気がしたが、それはスルーした。


「わかった!とりあえず使ってみる!とりあえず空亡は私に掴まってて!!」


 そう言うと空亡は私の手を握った。……照れる。

 だけど、そんな場合ではない。私は右手の人差し指と中指でその霊符を挟み、目を閉じて力を流し込む。すると霊符から力の練り方が感覚として伝わってくる。私はそれになぞらえて、力を練る。すると、身体中に霊符の力が流れて広がるような感覚を感じた。これで完了だな。私は術式行使の完了を確信した。

 その状態で私は出口のドアに向かって歩き出す。


 ――スルッ――


 私は目を開け、ドアの向こう側に出る事ができた。

 ただ……。


「っはぁ!…はぁっ!はぁぁ……。」


 これは、すごい。それだけの術式って事か。力の総量は安倍晴明に似てなかなか多いし、晴明さんの力の源も受け取って、総量は増えているはずなのに、ここまでの消耗か。


「はあ、これはダメだ…。正直もう使いたくない!」


 この霊符を使った術式は消耗が激しすぎて連続使用は無理だろう。他の霊符に関しても同じ感じなのだろう。


『未来、ありがとう。そう言えば、晴明も消耗激しそうだったな。』


「先に言ってよ!?」


 私は重要なことを忘れていた空亡に少し当たった。


『すまない。完全に忘れていた。未来の様子を見て思い出したのだ。』


 まあ、安倍晴明でも消耗するくらいだから、私が使えたことも遠回しに喜んでおこう。こんな莫大な力の総量はきっと晴明さんゆずりだろうし。


『……歩けるか?』


 そうだぁ、早く真琴を追いかけないと。でも、もう流石に無理かな、まずは長老だな。


「ちょっと無理かも。肩貸してくれる?」


 ――ボンッ――


「未来ちゃん!!(わたくし)に掴まって!!」


 いきなり極姫が人化し、私の肩を抱き上げ支えになってくれた。


「ご主人の肩はまだ貸せません。さっきのおてて繋ぎで我慢なさい!」ボソッ


 ボソッと私に耳打ちした。ああ、そう言うことか。まあ、支えがあるなら今はそれでいいだろう。


「わかったわかった。じゃあ、長老のところまでお願い。」


 そう言って、私と空亡、極姫は大臣室まで向かった。


 ――大臣室前――


 大臣室前でキョンちゃんにまず出会った。


「……!?未来!?どうしたのですか!?」


 肩を抱かれながら歩く私を見て、珍しく慌てた表情で私の方に駆け寄ってきた。


「あ、キョンちゃん?ちょっと無理な術式使って疲れちゃっただけだよ。それより、長老と話がしたいんだけど、今いるかな?結構、緊急。」


 私は早く長老に話をしないといけないという使命感が私を突き動かす。正直、私の力は枯渇状態で立っているのもやっとだ。


「ちょっと待っていてください!……、大丈夫です。入ってください。」


 キョンちゃんは長老の今のスケジュールをチラッと確認し、誰もいないことを確認して大臣室へ入室を促した。

ここまで読んでいただきありがとうございます!!

まさかの式盤はカモフラージュだった!?

いえ、式盤も式盤で重要でしょうが、それにも負けない重要な物が残されていました!

なんとか脱出はできたが、それ以上に疲弊とストレスが大きいです。

これからどうなってしまうのでしょうか!?

次回は11/30朝アップします!!

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