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第百十五話 〜式盤〜

おはようございます!!

真琴に言われ、自身も興味が湧いた未来は促されたものに手をかける。

それがなんであるかはわからないが、重要な物に変わりはないだろう。

この行動がどうでるのか!?

お楽しみください!!

「あれなんだけど、未来開けて見てくれない?」


 真琴からそう言われて、木箱を見てみた。

 そこには封がされてはいるが、中に何が入っているかわかるように文字が書かれていた。


――六壬式盤(りくじんしきばん)」――


「ん??なんて読むの?」


 私はその書かれている文字が読めなかったので、真琴に聞いてみたが、


六壬式盤(りくじんしきばん)……だと?もしや、安倍晴明のものか……?』


 空亡が返答して、さらに驚いた声色だった。


「そう!これこそが、かの有名な安倍晴明の残した式盤だよ!未来は子孫だから興味あるかと思って!」


 ええ!?そんなものがなんでこんなところにあるんだろう?確かに興味はあるけど。


「これはね、陰陽省設立当時の土御門家当主が陰陽省に寄贈したものなの。寄贈といっても、本当に重要な文化財だから、安心できるところに保管して欲しいって話だったんだけどね!」


 そうなんだ。確かに重要文化財とは頷ける。しかも、1000年も前のものがこんなに状態も良く保管されているなんて!?


『この箱には「不朽(ふきゅう)」の術式がかけられている。極姫にかけられていたものと同じだ。信じられんが、本物だ。』


 空亡がそんなに驚くなんてどれだけすごい代物なんだろうか?


「信じられないって、どうして?式盤自体は陰陽師は普通に使っているよね?」


 そう。陰陽師であるならば、式盤とは普通に占術に使用する道具なのだ。それになぜそこまで驚くのか。


『いや、すまない。あまりに驚いてしまった。大戦当時だったか、晴明はこの式盤を無くしていたのだ。普通に無くす分にはすぐに見つけ出せるのだが、晴明でも見つけ出せなかった。おそらく、誰かに盗まれて隠されていたのだろう。晴明の術をすり抜けて盗み、その上発見もさせないとは、盗み出した者はすごい手だれの陰陽師だったに違いないと、晴明は感心していたな。』


 そんな事があったんだ!?


「そうなんだ。それが見つかっていたとなるとびっくりするかもね。どこで見つかったのかね?」


 私もその行方が気になった。


「それが、よくわかっていないんだよねー!当時の当主の話だと、大戦から100年後くらいの当主のもとにしれっと返却されたらしいんだよね。こればっかりは陰陽師の歴史の謎だよ!!」


 へぇ。そうなんだ。しれっと返却って何が目的だったんだろう。


「そうなんだ。でも、戻ってきてよかったね!そう言えば、晴明さんが使っていたこの式盤って何か特別なの?」


 ここまで厳重にされていたと言うことは何かしら特別な要素があるのではないかとと思った。


『晴明は独自の改良を加えてあると言っていたが、実際にどんな役割を持つかはわからないな。』


 そうか。安倍晴明本人にしかわからないことなのかもしれないな。


「そうそう!なんか特別っぽいんだよねー!でも、この箱って、安倍晴明の血筋のものじゃないと開けられないらしいんだよ。私も実は開けようとしたんだけど、無理だった!」


 あははー!とあっけらかんと言う。そんな重要文化財を開けようとするなんて、すごい度胸だな。


「いやいや、開けちゃダメでしょう?」


 私は真琴を注意した。しかし、これがあれば自分の戦力上昇にも一役買うかも?と言う気持ちも出てくる。使っていいのかどうかは別の話だけど。


「これが、世界を救うって言う理由なら使ってもいいんじゃない!?」


 そういうものだろうか?まあ、少し見るくらいならいいかな??


「そうかなぁ。じゃあちょっとだけ、見ちゃおうかなー!」


 私は式盤の木箱を開けてみることにした。木箱自体はそこまで大きくなく、30センチ四方といった感じ。厚みは5センチくらい。重さは1キロあるかないかってところ。お札が四辺に貼られており、それが木箱に封をしているようだ。私が札を剥がそうとすると、するっと札が解けた。安倍晴明の血筋の者が開けようとすると開けられるというのは本当の話のようだ。

 お札が取れた箱はもうただの木箱となっていた。私はそっと木箱の蓋を開けた。

 私と真琴と空亡も気になったその式盤を早く一目見ようと覗き込みながら蓋を上げていく。しかし、その中にはさらに紫色の高級そうな布に包まれた物がある。きっとこの布を開けると式盤がある。


 私と真琴はゴクリと唾をのみ、お互いに顔を見合わせて頷く。


「開くよ……。」

「うん……。」


 布を摘んで包まれた物をあらわにする。


 そこには重厚感のある茶色の木材でできた式盤があった。


『おお、懐かしい。』


 空亡が最初に感想を述べた。空亡は実際に本物を見た事があるから、それが本物である事がわかった。私は綺麗だなあと言う印象が強いが、それと同時に力の波動を感じた。……この式盤には何か宿っている……??


「すごいね……。」


 私は真琴に声をかけた。


「うん。……本当にすごい。こんなに力強いんだ。」


 真琴は力強いといった。確かに力強さを感じるものではある。


「ちょっと見せてもらってもいいかな?」


 真琴がその恐れない性格を駆使して、ヒョイっと式盤を持ち上げた。そして、うおー!これが!?と言いながらおもむろに歩き出す。何がしたいのだろう?と考えながら見ていたが、入り口の方へ向かって行った。


『未来!追え!!』


 と、空亡の叫びが響いた。何事だ!?と思いつつも、私は真琴を追った。だが、一足遅かった。

 真琴は入り口を閉めて、その隙間から、バイバイと手を振った。そして、閉じられたドアは施錠される。

 私はマスターキーを持っていない。つまり、閉じ込められたのだ。


 ……真琴……、嘘でしょう……。

ここまで読んでいただきありがとうございます!!

木箱に入ったもの、真琴に促されて開けたものは安倍晴明の式盤であった。

そして、それを持ち出す真琴。

制止できなかった未来。

真琴は裏切ったのでしょか!?

次回は11/29朝アップします!!

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