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第百三話 〜指導者〜

おはようございます!!

鬼神からの叱責を受け、みんな一堂に萎縮している。

だが、その指摘も正しいものと理解している。

その間違いをみんなはどうするのか?

今回は話も動きます。

是非お楽しみください!!

―……パンッ……―


 何かをはたく音が後ろから聞こえた。

 様子を伺うと、師匠が自分の頬を思い切りはたいたようだった。

 全員が師匠を見やる。


「鬼神ぃ。正直お前は気に食わないが、その話に間違いはない。俺自身が愚かだった。すまない。」


 師匠はそのまま、鬼神さんに頭を下げる。

 プライドが高い師匠だが、自分に非があったのなら素直に認め謝ることができる人だ。相手が妖怪であっても人間であってもそこに壁はない。


「師匠……!それなら私もすぐさま水の攻撃をしてしまった私にも非はあります!」

「私もよ!」


 みんな、自分の非を認めている。


「……。」


 鬼神さんは私たちの方をただただ見ている。

 がしゃどくろが復活する前にどうにかするのが先決だろうが、(わだかま)りがある方が今後の戦いに支障をきたす恐れがある。すっきりした気持ちで向かいたい!


「……。気が変わった……。」


 鬼神さんは一言呟いた。

 その瞬間。鬼神さんはその場から消え、後ろの方でガラガラガラと何かが崩れる音がした。

 後ろを振り向くと、がしゃどくろの骨が全て崩れていくのが見える。その真下にいるのは鬼神さんだ。


「お前らは意外と見どころがある!…おい!空亡!お前のチームに俺も入れろ!」


 鬼神さんはがしゃどくろを一瞬で打ち倒した後に、空亡に向かってチーム加入を申し出た。一体どういう風の吹き回しだろう!?


「お前らを育ててみたくなった!!育ちきったら俺と戦え!」


 また、とんでもないことを口走ってきたもんだ!?そんなこと言ったら師匠は……。

 ……あーあ、やっぱり。怒りでプルプルしてるよぉー。


「テメェッ!こっちが下手に出てりゃ調子に乗りやがって!!」


 っと叫びながら、鬼神さんに飛びかかったが、鬼神さんは一瞬で師匠の後ろに回り込み頭を鷲掴みで抑える。


「うんうん!それくらい元気がねぇとな!?いいぞいいぞ!」


 ちょっと前までの鬼神さんとはキャラが全然違う。


『我は構わんが、みんながなんと言うかだな。それにしても、相変わらず身内と外に見せる態度が全然違うな。』


 空亡の話だと、鬼神さんは身内には優しいというか、敵対していなければ無害のようだ。


「おい!離せよ!!」


 師匠はまだ頭を鷲掴みにされたままだ。


「お前はどうせ、実戦がしたくて放浪していたクチだろう?俺と同じ匂いがする。だが、それ以前に師匠と呼べる人には出会っておらず、碌な修行をしてきていないと見た。筋はいいから間違った事はしていなそうだが、俺が教えればまだまだ伸びしろはある。任せてみないか?んん??」


 鬼神さんは師匠の頭を抑えながら、顔を覗き込むようにして問いかけた。


「……。」


 師匠はいつのまにかおとなしくなり、黙っている。


「……本当に強くなれるのか?」


 師匠は鬼神さんに質問を返した。


「なれるとも。」


 確信めいた鬼神さんの返答。


「嘘だったら承知しねぇぞ?」


 鬼神さんの返答に再度問いかける。


「望むところだ。」


 鬼神さんは間髪入れずにそう言い放った。それと同時に師匠の頭をガシガシ撫でてから解き放った。


「と言うことだ!これからは俺がお前らを育ててやろう!」


 と、こんな感じで、鬼神さんが私たちの指導者になることが決まった。いかんせん、急なことで少し戸惑ってはいる。


「おい、空亡!お前の平和ボケも鍛え直してやる!!」


 空亡に対しても鍛え直すとか言い出した。そう言えば空亡が()()()()()とか言っていたっけ?後で話してくれると言っていたけど、みんながいる前で聞いていいものだろうか?一旦、持ち帰るか……?


 ―ピキッ―


 私達が話をしている最中、急にガラスにヒビが入るような音が聞こえた。その音は本堂の中からしたようだが、それだけで、私達は()()を理解した。

 

 私達は急いで本堂に移動する。


 本堂に到着した私たちが見たものは、奉納されていた刀の後ろの空間に縦に一本の2メートル近いヒビだった。

 そこから、手が出てさらには人の影がぬっと出てきた。伸びた手はそのまま奉納されていた刀を掴み、自分の方へ引き寄せた。


 忘れもしない。いや、忘れられない。以前はそこまで感じなかったけど、今ならその禍々しさが良くわかる。

 ここに集まった全員が冷や汗をかきながら、その様子を凝視している。


「あらぁ?がしゃどくろはやられちゃいましたかぁ。間に合いませんでしたねぇ。」


 その一言に私たち全員はビクッとした。以前より、力も増している気がする。


『何用だ?山本(さんもと)?』


 代表して空亡が山本に話しかけた。そう、亀裂から出てきたのは「厄」の頭首である、山本五郎左衛門さんもとごろうざえもんであった。


「いやぁ。この刀を取りに来るついでに、がしゃどくろを連れ帰ろうかと思っていたのですがぁ、遅かったようですねぇ。うちの特攻隊長だったのに……。」


 山本は手に取った刀を巧みに回しながら答えた。その回答が終わると同時に刀を振り下ろす山本が私の目の前にいた。さっきまで5メートルは離れたところにいたのに!?何が起きた!?振り下ろされる刃が、私を斬ろうと迫ってくる。


 ―ダメだ……!―


 と思った瞬間、横からドンッと押される。そして刃はさっきまで私がいた場所に振り下ろされた。


「ふむふむ。なかなかの切れ味ですねぇ。錆びついてはいなかったようです。」


 山本はその切れ味に感嘆していた。だが、私は斬られていない。いったい何を斬ったのか?

 足元を見ると、一つの腕が落ちていた。視線を上げると、私を押し出すのに手を出したがその腕を斬られた鬼神さんが立っていた。

ここまで読んでいただきありがとうございます!!

鬼神からの叱責から、がしゃどくろの退治。

鬼神の豹変から山本の登場。

そして、鬼神の腕が落ちる。

今回は色々詰め込んであります。

楽しんでいただけたら幸いです!!

次回は11/17朝アップします!!

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