プレゼント選び
大学授業による課題は提出し終えて、残りはレポートの課題を残す。
今日の分はここまで、と区切りをつけて、自宅での昼食とする。
今日は、自宅学習で一人、両親は不在だ。
買い置きしてあるお弁当でのお昼ごはん。
でも、特にいつも寂しいということはない。
午後には友人となったインターネットカフェのスタッフの一人と、買いものの予定になる。
以前の休憩時間にスタッフの一人が、家の事情で辞めることになった、という話しをヒカルさんとリエさんと休憩時間が重なった時に話した。
すると、その送別会を開く日が、リエさんの誕生日が近い日だとききつけ、誕生日お祝いを贈ることにした。
今日はその買いものでカフェスタッフの一人も買いものを手伝ってくれることになった。
昼食をとりながら、リエさんの顔を思い浮かべ、考えてみる。
リエさんには、何のプレゼントがよく似合うだろうか。
昼食をすませて、外出の準備をする。
今日会うのは友人であるから、とどういう服装でいこうかを決める。
およそ着飾る服など、ほとんど、トーヤは持ち合わせていなく、ジーンズに長袖シャツに上着を重ねる。
あとはバックを持って出ることになる。
今日十四時半に待ち合わせをしている友人はインターネットカフェのスタッフの一人であるトモさんだ。
いつもお客様の接客で疲れてきた皆を明るい冗談や性格そのままの笑顔で、みんなを励ましてくれる人だ。
買いもののあとは、軽食の約束をしている。
窓の外は少し曇り空。
でもリエさんの顔とトモさんの顔を思い浮かべながら、
いってきまーす、と玄関を出るときには、気持ちは、まぁ晴れやかだ。
待ち合わせ場所は駅だが、移動はまず、自転車で走る。
もちろん安全運転である。
曇り空でもこの季節の風は、もう寒くはない。
途中の道すがら、猫が散歩していないか、いつもチェックするのが日課だ。
猫の歌
「ネコネコネコー、会えるかな、ネコー、イエス」
をくちずさみながら、少しゆっくりめで走っていても、いつの間にか、駅前にはついている。
無料の駐輪場所に止めて、カギもしっかりとかける。
合流の駅は移動した後の場所なため、そのまま電車を待つ。
次の電車は20分後。
バックの中から、携帯ラジオを取り出して、きいてみる。
お昼の東京の音はいつもおもしろい。
そして、帰りごろの夕方の東京の音は、いつもにぎやかだ。
電車に乗り、そんなには遠くない駅に移動する。
電車から降りて、駅の中を少し歩き、改札ふきんまでくる。
改札を出た辺りの駅前でトモさんが手をふってくれていた。
「トモさん、お待たせです。」
「スタッフ衣装でない、トモさん格好良いですね。」
「お。きたねトーヤくん。今日はよろしくね。」
「とりあえずシャトルバス探す?あと敬語じゃなくてもいいんだけど?」
この辺の伝え方が、さりげなくて、やはりトモさんはソツがない。
「いや、まだ、恥ずかしいんで、もう少し敬語使わせて下さい。こちらこそ、よろしくです。」
こんな会話しつつ、駅前から出ている大きめなショッピングセンター行きシャトルバスを二人して探す。
「あれかなショッピングセンター行き駅前からってなってるし。」
「先に乗って待ってようか。」
バスに乗って、少し経つと動きだした。
「トモさんは、買いものではどんな感じで見て回りますか?」
「好きなところから先でよいけど、CDショップはみたいかな。新譜でてるかもだし。トーヤくんはどちらへ。」
「えと、本屋は見たいかな。あと、トーヤで呼び捨てでもいいよ。」
すると、
「いや、まだ、トーヤくんかトーヤさんでいこうかな。」
二人して笑ってしまった。
シャトルバスがショッピングセンターの出入り口近くに止まった。
料金を支払い、二人して降りて歩き、無事に入り口についた。
ショッピングセンターのなかに入っていくことにする。
「ここは、家族ともよくいくのですが、本屋さんに先によるのでいきましょう。」
歩きつつ、本屋さんからCDショップという順にすることに決めた。
本屋さんは2階にある。
2階本屋さん前で、1時間くらい中でみて回ることにした。
トーヤは別の本屋さんでもみた文庫を探したり、インターネットカフェのスタッフの話しで盛り上がった本を見たりする。
たしか、君のすべてを食べたい、だったかな。
あと、ファイナル定理とかはあるかな。
今度、インターネットカフェの店長に取り寄せとかきいてみようかな、など、つい仕事の話を考えてもしまう。
いろんなコーナーが出ているため、少しの間のつもりが、もう1時間近く経っていて、トモさんはどちらかな、と探してみると、雑誌コーナーで格好よく見ていた。
トモさんは、本屋さんでも何かと目立つ気がする。
気のせいかな。
「トモさん、お待たせです。」
「あぁ、こっちも雑誌に熱中してたよ。」
と返してくれた。
「何の雑誌ですか?」
ときくと
「最新グッズやファッションだよ。」
予想通り、格好よい返事だった。
「次はCDショップに行こう。」
割と本屋さん近くにあったCDショップに入る。
「トモさんはどんな感じの音楽をリスペクトですか?」
「リスペクトってトーヤくんこそ、いつもそんなノリなの?」
「きくのはロックとかJ-POPかな。」
「いえ、慣れていないから無理しました(笑)ごめんなさい。」
「J-POPで最新だとネズネズですか?ちなみに、わたしはいまヒックを探します。」
「ヒック良いよね。あの映画のか!」
「いいね。トーヤは趣味もいいね。」
「ありがとうございます。嬉しいな。」
「何だ。音楽の話しとかも、もう少しスタッフ同士してみると、よいかもですね。共通の話題とかありそう。そうすればもっと店内の様子明るくなるのに。」
二人して、最新のアルバムコーナーを周ったり、J-POPと描かれたコーナーや映画のBGMが流れている大画面の前で止まってみたりしている。
「お、最新のアルバムでてる。」
「いいな。」
「こっちの試聴できるかな。」
「惜しい、試聴には入ってない。」
「あ、映画の宣伝ポスターもあるよ。」
と話しながら歩いてると、
「トーヤくんは分かる?」
ときかれて、
「何でしょう?」
と答えると、とたんに
「アゲー!」
といわれた。
どうやら冗談かと思っていたら、
「最新の話題や最近の若者言葉が、わかんねー」
「一応、それって少し古い話題じゃないですか(笑)」
と二人して笑えた。
「これ買おうかどうしようか悩むー」
という話しだったため、
「目的のプレゼントを二人して選んでみてからまた戻ってくるか。」
「そうしますか。一周してる間に考えも違うかもですし。」
という話しに落ち着く。
決心してCDショップを出てみた。
次に向かったのが、イエローズというショップだ。
ここが女性雑貨やアクセサリーなど売っているところになる。
店内に入る前に、
「トーヤくんはこういったレディース扱いのお店はよくくるの?」
ときかれた。
「いえ、そんなに頻繁にではないですよ。」
「でも見て周るのは好きなので、入ったら、けっこうゆっくり店内周ったりはします。」
「新宿にいって、歩いて周ったときには、けっこう一人で女性小物見てみたり、服ながめたりは、してました。けっこう平気ですね。」
「トーヤってそうなんだね。」
「でもなっとくかも。」
「女性雑貨屋さんにいそうですか?(笑)」
「いそういそう(笑)」
トモさんがいてくれてよかった。
こういう会話続くのもトモさんのおかげだ。
先に言っておくことにする。
「トモさんきてくれてよかった。ありがとう。」
すると、
「まだ会話続くからね。終わりじゃないよ。買いものこれからするんだから。」
「そうでしたね(笑)」
なかなか明るいつっこみだ。
でも気持ち明るくなる。
イエローズの店内には、みごとに鮮やかな店内の装飾と、明るい照明に照らされている。
とりあえずまずは、トモさんにも選んでもらうために、一人ずつでアイテムを見て周ることにする。
棚に飾られたアクセサリー。
日用品にも使えるアロマ系。
疲れを癒す系のグッズ。
洋服や小物の雑貨。
帽子やストール。
いやしグッズの中に本もおいてある。
さぁ。
「うーん。リエさんに似合うのは、どれかな。迷うな。」
ひとりつぶやく。
とりあえず、店内もう一周することにする。
真剣にショーケースの中をのぞいていると、ときどきショップ店員さんに話しかけられたり、くすくす笑われたりはしている。
トモさんも似たような状況のようだ。
アクセサリーを見て周る。
アロマ系を見て周る。
いやしグッズを見てみる。
「トモさんはどう?そろそろ何か見つかった?」
「これとかは?アロマ系。」
「そうですね。いやしグッズ系もよくないですか?リエさん猫とかは好きそうですかね?」
「えーと、きいてくればよかったね。」
「帽子とかだと、もう趣味が不明ですよね。」
「やっぱきいてくればよかったね。」
これはトモさんの声だ。
「どれをもっていっても、可愛いとかは言ってくれそうかな?」
「たしかにそうだね。でも迷うね。」
「どうしますか?」
「どうしましょう?」
「うーん、どうしようか。」
トーヤとトモさんで二人して見合わせて、笑ってしまう。
ショップ店員さんが来たため、アドバイスをもらってみる。
「リエさんって明るめの印象で、大人しめな目ためですけど、恥ずかしがり屋なんです。可愛い系好きそうなんだけど、迷ってるんです。」
トーヤが説明している間で赤くなってきた。
トモさんが、手助けをして、説明を追加してくれる。
「可愛い系でも似合いそうなんですけど、趣味とかは詳しくなくて、どうでしょうね。」
スタッフの仲間としても、バスに乗ってから、これまでの経緯のとおり、やっぱりトモさんは優しいひとで、良いひとだ。
そう思う。
ショップ店員さんのおすすめは組み合わせで、
「アロマといやしのセットとかおすすめです。あとはアクセサリー系と何かのセットがおすすめです。」
とか。
この店員さんは、なかなかの商売上手である。
トモさんは、アロマ系がなかなかに気に入ったようである。
トーヤは迷ってはいるが、アクセサリーなら喜んでくれそう、と、なんとなく決まってきた。
何かのセットならばと思い、
「トモさんのよさそうなのと、こちらのとの組み合わせしましょう。」
「これとこれで、セットにしてもらう、とかは?」
と提案してみた。
近くできいていた店員さんも
「そういうの良いですね!」
と話してくれた。
迷って、迷ったが、トモさんはアロマ系の小さめなグッズにして、トーヤはハートとリングが合わさったような少し可愛い系のアクセサリーに決めた。
二人の分をセットにしてラッピングしてもらう。
これで、二人分で一つのラッピングしたプレゼントになった。
お会計をすませて、店員さんの
「ありがとうございましたー。」
という声をきいてほっとして、お店をでた。
少しそのまま歩きながら、
「けっこう可愛い系でまとまったし、よかったね。」
「セットにしたのも、二人で一つみたいでいいよ。」
と二人してほめあっていた。
「このあと、CDショップはどうする?」
トモさんにきいてみると、
「プレゼント買えたし、次は軽食にするか。」
「小腹もすいてきたかな。」
という話しになった。
以前一人で別のショッピングセンターを歩きまわったときには、Moのつくドーナツ屋にしたが、今度はここではMzハンバーガー屋にしようということになった。
お昼はすぎているが、おやつの時間少しすぎらしくMzハンバーガーの前までくると、それなりに混みあってきていた。
少しの間列に並んで待つ。
カウンターのメニューの前まできて、トーヤはテリヤキバーガーのセットにして、ホットコーヒーを、トモさんはダブルチーズのピクルスなしで、アイスティを注文した。
二人ともセットにして、注文をして、おおめのポテトMはシェアして分けてみようという注文になった。
店は混みあってはいたが、窓際の席をみつけて席に二人して座る。
頼んでみてから、
「量が多かったかな。」
とトモさんにきくと、
「まぁ歩き回ったから大丈夫。」
「食べられるよ。」
という返事。
窓の外は晴れ間が見えてきた。
「来たときは曇り、薄暗かったけど、明るくなってきたね。いい感じ。」
とトーヤが話す。
「そうだね、こっちは晴れ男だよ。」
「トーヤは少し雨男っぽいかい?(笑)」
「そうかも。」
「でも雨もそんなにキライでもないよ。
雨のめぐみ、とかいうし、外の屋根の下で、雨宿りしてきくパラパラした音とか良いし。」
「そうなんだ。」
「あー晴れた日には海とかいきたい。」
とトモさん。
「海で泳ぎます?トモさんは?」
すると、
「そんなに泳がないよ。」
「そうなんだ。わたしも泳ぎ得意ではないですよ。」
とトーヤ。
「でも海の景色、見るのは好きかも。」
「それは、わかります!」
「でも、夏とかに神社におまいりしながら、涼むのも、けっこういいですよ。」
「おお、何か願い事はする?」
「願い事はもちろん、ヒミツです。」
「お、シークレットかぁ。いいね、トーヤっぽいね。」
「トーヤっぽいていうのは、カクシゴトとか多そうって話しですか?」
「いや、願い事は本気そうっていうところの意味かな。」
「なるほど。」
「トモさんの願い事は?」
「やっぱ秘密だね。」
と、こんな雑談を含めて過ごしていると、案外長居をしてしまい、1時間近くは結果的には居てしまった。
「CDショップはどうする?」
「もう少しみてきても大丈夫。」
持ってきていたトレイを下げながら、話しをする。
「とりあえず、目的のは買えたし、大丈夫かな。」
とトモさんがいう。
「あ、じゃあ、さっきみたアルバムだけ、買ってくることにします。」
「どこで待ち合わせがいい?」
「じゃぁ帰り三十分くらいしたら、バス停のところで、合流にしましょう。」
「少し解散だね。」
「では、あとでね。」
「あとで。」
二人はトレイを片付けたところで、一度バラけることにした。
トーヤは一度CDショップにより、買いものをした。
そのあと、手洗いなどしてバス停の待ち合わせ場所まで、行くことにする。
楽しい買いもの時間が過ぎていく。
またトモさんとは出かけられるといい。
出かけよう。
でも海は遠いな。
とりあえず神社かな。
そんなことを考えて、またバス停前で、トモさんの笑顔に出逢った。