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再会の花  作者: 十矢
4/14

積極的アピール

ある日のアルバイト休みの日、昼までには、大学から出されている課題を終わらせようと集中して取り組んだ。

大学の課題を昼ごろまでに終わらせて、オンライン上で、大学ポータルにログインして、そのレポートを提出した。

昼休憩として、自宅で食事をすます。

その日のあとの時間は夕方まで空いたため、気分リフレッシュのためにも出かけることにする。

こんな晴れの日のときには、自転車で出かけるのは、とても気持ちがいい。

どこまで行こうかと考え、いつも(かよ)っているショッピングセンターを周ることにする。

ショッピングセンターまでは自転車を使うと20分くらい。

わたしはこんな晴れの日、少しの風にあたりながらの移動時間もけっこう好みの時間である。

あっという間に、買いもの場所までつく。

でも今日の野良猫には、会わず少し残念だ。

まずはショッピングセンター内にある本屋さんに行き、以前からの続きの本を手に取る。

少し読み進めた、その後本屋さん近くにある、雑貨屋をのぞいたり、日用品を眺めたりする。

ふと、小腹もすいたしと思い、Moドーナツにしようか、テリヤキがおいしいMzバーガーにしようか迷う。

けれど、家族との合流も夕方少し経つとあるために、簡単なおやつにしようと思う。

Moドーナツ屋さんは、まぁ盛況だが、女性客が目立つ。

目立つけれど、トーヤは気にはしないため、店内に足を向ける。

メニューをジーッと見つめていると、少し店員さんに笑われてしまう。

実はドーナツ屋さんはそんなには来ない。

どうにか3種類ほどドーナツを購入することに成功する。

そうこうする内、お店も混んできたため、サッと空きの席に座る。

購入した3種類のうち、チョコがけのさくっとしたドーナッツからにしようか、砂糖パウダーがかかるカラフルッたドーナツにしようか、モチッとプレーンなドーナツにしようか、とても迷う。

迷った末に、モチッとプレーンなやつに決めた。

これに決めた!と食べようとすると、


「あれトーヤ。トーヤくんじゃん!」


うしろから声がした。

食べるのやめ、と手を急ブレーキしてふり返るとヒカルさんともう一人がいた。


「となりいい?ていうか座るしぃ。」

「あ、どうぞ。」

「ほら、りぃちゃんも早くしな。」


もう一人はリエさんだ。

ここに来て、ようやくヒカルさんに紹介された、もう一人のスタッフの名前を思い出す。

まさかドーナツ屋で会うとは不覚!と思っていたら、


「何ドーナツ屋で会うとは思わなかった、っていう顔をしてるかな、トーヤくん。」


くすっと、リエさんも笑った。

そんなに顔に出てるとは考えていなかった。

ポーカーフェイスを練習しなくては。


「リエさんって、りぃちゃんって、呼ぶんですか?」

「あとポーカーフェイスをこれから練習したいと決意しました。」


すると、


「そう、りぃちゃんて呼んであげてね。」


とヒカルさんが答える。


「何ドーナツにしたの?」

「相変わらずテンション良いですね、ヒカルさん。」

「でもりぃちゃんって呼ぶには早すぎません、ねぇ?」


話しをすると、リエさんは顔が赤くて、少し戸惑っていた。


「あ、ごめんなさい。」


トーヤは謝ってみると。


「わたし緊張する性格で、トーヤくんと話しするにも、あまり話せなくて」


ていうリエさんの小さな声がした。


「とりあえずドーナツ食べません?」

「これはモチッとドーナツですよ!」

「えーそれって、そんな名前?」


とヒカルさんがいう。


「その名前はトーヤくんがつけたんでしょう?」


とリエさんがいう。


「えーっ、こういう名前ですよ。」


と返すことにする。

リエさんが今度は、


「あ、トーヤさんがいい?」


と聞いてきた。


「どちらでも大丈夫だけど、リエさんはまだちょっと、りぃちゃんって呼べなくて、すみません。」

「けっこう恥ずかしがり屋なんです。」

「あ、ちょっとドリンクとってきます。二人はもう頼んだのですね。ちょっといってきますね。」


席をはずしてドリンク注文しにいく。

ドリンクを忘れていたわけではなくて、二人のペースに飲まれている自覚ありなのだ。

一度立て直しをしようと、カウンターで


「ホットのレモンティーお願いします。」


と注文した。

それを持って戻るときにふり返ると、ヒカルさんとリエさんが、二人ともに、くすくすと笑っているところだった。

ドリンクをもって、歩いて戻り席につく。


「何です?何かありました?」

「え、この時期にホットなのっていう話しだよ。」

「えっまだホットですよ。ていうか、冷え性って大変なんですよ。エアコンの冷風苦手だし。」


話してみると、二人が


「何それー」


と笑う。


「ホットレモンにするか、ホットコーヒーにするかで悩んでいました。」

「それよりもドーナツ食べませんか?」


トーヤはようやくモチッとドーナツを食べ始める。

一つめを食べて、二つめを味わって食べて、三つめの食べ始めのときに、


「トーヤくんってモテだよねー。」


ヒカルさんがいう。

ゲホッとむせて、慌ててホットレモンティを飲むと、まだ飲みものの中身は熱くて、口がヒリッとした。


「もう何ですか?いきなりー。てかモテないですよ、ほとんどの場合。」

「モテルスキルを持ち合わせているのは、ヒカルさんです!」

「ね、リエさん。」

「リエさんもうなずいてますよ、ほら。」


こういうと、リエさんが


「ヒカルちゃんは明るいし、ともだち紹介してくれたし、ホント良い子だよ。」

「ヒカルちゃんステキ!」


これはリエさんの言葉。

するとヒカルさんは、


「りぃちゃんこそ、メチャ可愛いじゃん。」

「この間も前歩いている人を似ている友人と勘違いして声かけてて、慌ててすいません、ごめんなさい、すいません。て逃げちゃうし。」

「メチャ可愛でしょー。」


リエさんは目を少し険しくして、何言い始めるのっていう顔をヒカルさんに向ける。

たしかにトーヤ的にも、かわいらしいエピソードだ。


「えと、そういえば、この前ヒカルさんが紹介してくれたのってリエさんだったのですね。スタッフの衣装じゃなくて、私服でなんとなく分からなかったです。」

「スタッフの衣装ってネクタイYシャツとか、ズボンにエプロンとか、なんか見分けがつかない。」


特にスタッフで働いているときには、シフト時間で入れ替わってしまうと、トーヤはイマイチ覚えられていない。

ヒカルさんはいう。


「じゃヒカルが一番に覚えて」


続いてリエさんが


「リエが二番に覚えたってことだね。」

「イエーイ!」


とヒカルさん。

また続いてリエさんが


「イエーイ!」


二人してそんなテンションでハイタッチしている。

リエさんも見ため、可愛い系で少しおとなしい感じでもノリはヒカルさんと一緒のノリらしい。

どうりで一緒に行動するようになった二人をよく見るわけだ。

お互いに気があっている。

さらにヒカルさんは


「それで、どう?りぃちゃんとも、もっと話せそう?」

「時々休憩でも話すよ?いいね!トーヤいいね?」


ここにきてようやくヒカルさんが休憩時間に、話しをしにきた理由が分かってきた。

そうか。

リエさんをトーヤに紹介しようと懸命だったのか。

積極的なアピールの中でヒカルさんのともだち思いがあったとは驚きの一面だ。

素直に感心してしまう。


「ヒカルさんってともだち思いなんですね。感心しました。リエさんもこれからもお願いします。」


こう話し終わる前に、キャーと叫ばれてしまい、それにびくっとトーヤはなってしまった。

そろそろ女子トークが始まりそうだし、そろそろ逃げたくなってきた。

慌てて、ドーナツ3つめをごくりと食べる。

ごまかすように、ゆっくりと紅茶を飲む。

まだ少し熱い。


「もうそろそろ家族と合流しますので、これで失礼しますね。ありがとうでした。」

「リエさん、ヒカルさん。また楽しみにしています。」


持ってきていたトレーを下げるとき、二人に手をふると、二人で手をふり返してくれた。

良い二人なんだな、と仲よさ気な二人を見て、心が嬉しくなる。

あと女子トークが始まる前でよかったとトーヤは思った。

Moドーナツ屋さんを出て、日常になっている家族との合流場所の本屋さんに向かう。

本屋さんで、家族と合流すると、今日の出来事を話しながら、入り用の買いものをすます。

買いものを終えると、少し早めの夕食だ。

足りない買いものを思い出したら、帰り際に別の場所による時もある。

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