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再会の花  作者: 十矢
11/14

そう初恋の話し

授業による課題として出されていた、科目二種類のレポートをまとめて提出し終えた。

提出はオンラインですんだため、自宅で椅子に座りながら、ふーっとひと息つくことにする。

提出し終えると、あとは大学は一足早めの夏休みに入る。

これからトーヤは、四人でのボーリングの予定があるため、出かけの準備をする。

およそ着飾る衣装のないトーヤは、ジーンズに長袖シャツ、ジャケット上着に、バックをかけるという姿で、出かけることにする。

腕時計もつけてと。

早めの待ち合わせとして、十四時に集合としている。


「いってきまーす。」


と玄関をでる。

自転車を走らせて、駅までいく。

この時期の自転車移動は暑い。

でもなぜだか少し楽しい。

駅前の駐輪場所で自転車をとめた。

次に駅から電車で移動し、待ち合わせ場所に近い駅まで移動する。

ボーリング場に近い駅にトーヤは下りた。

歩いてボーリング場の前につくと、もう他の三人はついていた。


「おそくなったかな、ごめん。」


素直にトーヤはあやまった。


「すると、おっそーい(笑)」

「とこれは、冗談。三人いまそろったところだよ。」


とヒカルさんと、二人の声は怒ってはいなく、むしろ笑い声になっていた。


「四人そろったし、いこっか。」

「とりあえず二時間くらいねー」


ヒカルさんが、率先して、ボーリング場入り口を入っていく。

カウンターで靴をかりて。

プレイ数を伝える。

入り口を入ってすぐのカウンターには花が活けられていた。

ひまわりだ。

なかは喧騒のただなかで、ゲームセンターのなかのような、ゲーム機とボールの威勢のよい音。


各それぞれで、ボールの種類を選んだ。


「みんな席ついたー?」


ヒカルさんは今日も元気らしい。

リエさんが威勢よく、


「誰順からなの?楽しみだね。」

「ボーリングって久しぶりかな?」


とトーヤに話しかけてくれる。

受付でゲームに登録するとき、登録名一番から、ヒカル、リエ、トーヤ、トモとして、席はその都度入れかわるし、気にしないね、とこれはトモさんが、サポートしてくれる。

それぞれ靴を履き替えながら、


「まずは準備体操ー。」


ヒカルさんが、いいながら、鼻歌でラジオ体操第一をきざんでいる。

トモさんが笑いながらも、


「よし、軽めのラジオ体操でもするか。」

「じゃ四人でラジオ体操だね。」


リエさんも賛成して、立ちあがり、四人で少し円を組むような位置についた。


「一、二、テ、テ。三、四、テ、テ。」

「五、六、、。」


リズムを声にだしながら、運動をしていると、途中、通りかかるボーリング場スタッフや他の入ってくるお客さん方が笑っているのが分かり、だんだんリエさんの勢いがなくなってくる。

トーヤがいう。


「りぃちゃん、手首とか痛めないように、準備してね。」

「あと足とかもひねらないようにー。」

「もう、何その心配性はー。」


すると、ヒカルさんが

「あ、たしかにりぃちゃんならやりかねない。」

「しっかりと準備してね。」

「ひーちゃんまでー。」


トモさんがすぐに、


「リエさんは運動けっこう得意そうだよ、大丈夫。」


とフォローいれると、


「それはそれ、プレッシャーだよっ。」


と、リエさんはいう。


「得点や記録は、目指すものではなくって、走ってだしたっていうその経緯を大事にしなくっちゃね。」

「あれ、りぃちゃんって陸上だったけ?」

「ううん、テニスだけど。知り合いの子が陸上やってて、受け売りなの。」

「だから、ボーリングも楽しまないとね。」

「はーい!」


トーヤが元気よく返事をしてみた。


「なんか子供に戻ってるみたいだよ、トーヤくん。」

「ふふふ。ボーリングけっこう好きなんだよ。楽しみ」

「さぁ、やろっか。」

「まず一番はヒカルさんです。」

「お願いしまーす。」


ヒカルさんが、自分で選び持ってきたボールを抱えてレーンまで歩いていく。


「ヒカルいっくよー。」


掛け声とともに、ボールはうまい勢いでレーンを転がる。なかなかに、いいでだしでピンを倒す。

2回めなげるも、1ピン残すのみ。

次はリエさん。

ボールが重そうにみえるが、足とりはしっかりと。

でも、投げるときには不安そうな顔をみんなに向けてから、投げる。


「あー。」


という声がしつつ。

けっこうピン残しとなる。

次の2投めもそんなには当たらず。

次は、トーヤ。

変化球で狙って投げてみるも、あまりピンは減らすことができない。

2投めもあまり倒れず。

四番はトモさん。

ストレートを2回続けて、勢いもありスペアをとる。

2順めで慣れてきたのか、ヒカルさんは絶好調。

リエさんとトーヤはいまいちで、トモさんが派手に倒していく。

3順めでは、ヒカルさんはミスがある。

3順めは、ヒカルさんは、ピンはあまり減らすことができない。


「少しずつ感覚が戻ってきたよ。」


とリエさんがストライク。

トーヤとトモさんは少しずつピン残しであった。

少しずつ白熱するボーリング。

スコアが進んできたところで。


「少し喉渇いたね。」


とトーヤがリエさんに声をかける。

その後、


「飲みものいるひとー??」


とメンバーに声をかけたあとで、自販機を探しに席を離れる。

すると、


「あ、わたしも。」


とリエさんがついてきてくれた。

リエさんと自販機のあるエントランスふきんまで歩く。

二人で歩く途中、トーヤはくるときには気付いていなかった、飾られた花に気づいた。

どうやらひまわりのようだ。

少し立ち止まってトーヤは眺める。

以前の記憶がよみがえった。

以前、花をよくみる機会があったのは、きみの隣で歩いていたときだったな。

でも、いまは隣には笑顔のリエさんだ。

リエさんが不思議そうに問いかける。


「ひまわりに何か、想い出でも??」


リエさんに問われてみると、ふと気まぐれのような、ボーリングの偶然のスペアのような、そんな勢いそのままに、話しをきりだしていた。


「初恋の話しなんだけど、自販機のところにいきながらで、いい?」

「初恋?のはなし?」


リエさんは驚いたようだったが、隣を歩いてきてくれる。


「そう初恋の話し。中学のころ。」

「いいよ。でも急にだね。」


それには答えないで、トーヤが話しだす。


「陸上部だったきみ。走るのが得意で、走る姿はとても似合っていた。」


こう話しだした。

隣のクラスで、学校行事や男女別にならなかったときの選択授業など、または休み時間などしか時間が合わない。

でも、部活時間だけは別の話し。

部活時間、外周を走るときには、きみの姿に出逢えた。

ここまで話したあと、自販機で二人して、飲みものを買う。


「なんだか素敵だね。」


リエさんはそう言ってくれた。

再びトーヤは話しだす。

学校行事で、二人が時間重なったときには、写真をとりあった。

学校の放課後には、二人して並んで歩いていた。

どうして、ここまで記憶がクリアになったのだろう。

そうトーヤは、考えて、すぐに思いあたる。

数ヶ月前に会ったからだ。


「この前、偶然、陸上のその子に会ったんだ。」


そこまで話すと、リエさんは、素直に驚いていた。


「偶然ってあるんだね。そうなんだ。」

「まだ、好きなの?」


ストレート過ぎる聞き方でリエさんはきいてくる。


「もうわからない。」

「でも、現在(いま)は好きなひとができたよ。」


ここまで話しをしているうちに、席にいるトモさんとヒカルさんの二人のところまでついた。それからはリエさんは、ごく自然に、


「二人にも買ってきたよ。」


と飲みものをトモさんヒカルさんに渡して、ボーリングの輪のなかに入っていく。

リエさんに、話せてよかった。

でも、次の機会には、リエさんにはっきりと言わないと。そうトーヤは考えていたが、同時にもう一人のきみのことも想い出した。

そうだ。

やっぱり言わなくちゃいけないな。

今日はっきりわかった。

やっぱり、きみには話しておかないと。

ボーリングは、なかなかに盛りだくさんであった。

でも、トーヤとリエさんはさっき二人で歩いてきたときの影響か、口数が少ないことに、ヒカルさんは気づいていた。

ヒカルさんは、二時間のゲーム終わりぎわ、りぃちゃんに


「トーヤと何かあったのー?」


話しをふってみるも、


「ううん、何も」

「何かあったらいうんだよ。」

「ありがとー、でも気のせいだよ。」


という返事だけだった。

ゲームの終わりぎわ、ヒカルさんが、皆の飲みものを片付けてくれた。

ボーリング二時間を切り上げて、結果はトモさんがより多くのピンを倒していて、なぜか


「勝ったから、おごるよ。」


とみんなに飲みものをおごってくれた。

今度は、玄関のホール部分で自販機の飲みものをいただきつつ、トモさんの勝利を祝っている。

入ってくるお客さんには、若干変な目でみられていた。

しかし、そこも楽しいひとときである。このあと、


「カラオケはどうする?」


とリエさんが話すも、


「また次の約束でもしようか。」


ということで、ここから外にでたあとは、解散となる。


「カラオケに続いて、ボーリングも楽しかったね。」

「楽しめたー。」

「でもボーリング、カラオケって続けると大変かも。」

「カラオケはまた今度だね。」

「ボール投げるのけっこう大変ー。」


みんなそれぞれで感想をいいながら、これで解散、となりそうだったとき。


「ね、トーヤくん。このあとよい?」


とリエさんから言われる。

帰りには時間も早めだし、と考えて。


「いいよ、どこにする?」

「じゃ、解散のあとMzバーガーでね。」

「わかった。近くのショッピングセンターのだね。」

「じゃ、そこで合流だね。」


もしかしたら、トモさんとヒカルさんもこのあと予定を入れてるのかも、とトーヤは思いながら、リエさんの提案にのっかる。


「じゃ解散だね。また。じゃぁ。」


トモさんが話して、少しずつ流れ解散になった。

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