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第二話 その者試験を受ける

ようやくの第2話でございます。ようやくストーリーが進みます。お楽しみください。

家を出て数週間が経った。道中野生動物を狩り魔物に気をつけ野営をする時もあった。家を出る時に貰ったお金は底をつき袋はすっからかんになってしまった。でも翌日には城下町を守る城壁が見えてきた。


「ここが聖都メルムング…すっごい人の数!…分かっちゃいたけど、うちの村とは大違い」


城壁の中に入ったリーフェルが目にしたのは人がごった返しになるほど賑わった市場。

城へ続く道を中心に路地が広がりそこに大小様々な店が並ぶ。

メインストリートにあるのを見るだけでも数十…いや数百にも及ぶ数の店が見える。

あちらこちらで値切る声や井戸端会議らしきものをしている声が聞こえ如何に賑やかなのかが分かる。

今回の入団試験は最初に城に行ってそこで色々説明を受けるのだったなと母親に渡された紙に書いてあった。

それに従って城の方に向かって歩いていく。


「っ…同じ街道とは思えないな…」


城に向かうに連れ賑やかな雰囲気から変わり、恐らく入団試験に望む者達の剣気に満ちていくのが肌にピリピリと伝わってくる。

城の周りには堀が掘っておりそこに跳ね橋がかけられてる。周りからは鎧の鎖が擦れるチャリッチャリッという音が聞こえ気がさらに引き締まってくる。




「よくぞ参ったな。未来の騎士達よ…儂はこのメルムング王国3代目の王兼騎士団総軍隊長…アルガリア・メルムングである!」


白い髭を生やした初老の王が玉座から立ち上がり名乗りを上げた。

玉座の間は代々王が座る玉座を中心に階段が並び、金で縁どりされた真っ赤な絨毯が敷かれている。

王は肩から赤と金で彩ったマントを羽織り、マントの下には鎧を着込み、その腰には鞘に収まってもなお威圧感を放つ剣を携えている。

あれが『建国の剣』として名高い聖剣『エクスカリバー』。

この国を創り上げ騎士団を創設した『ギルムド・メルムング』、彼をその地位にまで導いたとされる『選定の剣』。

その剣が私たちを見定めるように圧を放つ。


「うむ、静かになったな。コホン…我が国は代々騎士団による警備、そして魔物共の駆除により安寧秩序を保っている。魔物には魔物で作られた武器と幾つもの層によって出来た魔物たちの巣窟、通称『ラビュリントス』にて発掘または魔物の体内から稀に見つかる武器達、我らはこれを『神武具』と呼び、対魔物の切り札だと考えておる。今回の入団試験はラビュリントスに行き、そこで神武具を見つける、もしくは魔物を狩ってここに戻ってくることじゃ、予め伝えておく、くれぐれも無茶はするな、命懸けでやれとは言わん、ラビュリントスは稀に大物が上階に来たりする。儂は命を大切にして逃げて来たものを決して笑わんし笑わせん。それを肝に銘じておくように、武運を祈っとるぞ」


不安になる気持ちを抑えるように激励で言葉を締めた。

ラビュリントス、世界各地にその入口があり地底の全てが埋め尽くされてるのでないかと言われている程の広さを誇る大迷宮。

時折入口が発見され、未だに全ての入口は発見されてないとか。


「ラビュリントスには騎士団一番隊軍隊長が案内するようじゃから、あとは任せるわい」


そう言って王様はまた玉座に座った。それと同時に誰かが階段を上り玉座の横に立つ。


「あ〜っと、紹介を受けました。騎士団一番隊軍隊長のウィッグ・マルクルです。おねぇしゃーす」


鮮やかな翠の腰マントをはためかせ、身軽そうな鎧に身を包み、髪の毛とおなじ茶色の薄い無精髭を生やした男は先程の厳かな空気をなんの気にも止めず、マイペースな空気をこの場に運んできた。


「え~っと、まぁなんだ?あれだ、あ〜っとそうそうラビュリントスに行くんだったか。とりあえずその格好じゃ行っても死ぬだけだからさ。うちんとこの装備渡すからそれに着替えに行こか」


のらくらと気だるげな口調で喋り始めたが後半には軍隊長らしい風格のある声が垣間見えた。

玉座の間から降りたウィッグは騎士の卵たちを手招いて案内する。



流石国の武器庫と言うべきか、ありとあらゆる武器が置かれており、薄くしなる剣や棘のように先のみが刃になっている剣、一体誰が使えるのかと言わんばかり巨大な斧槍、ここにない武器はないのではないかと思わさせるほど広い。


「ん〜じゃぁまぁ、なんだ?俺は外で待ってるからさ。使いたい武器見つかったら外に出て鎧に着替えてもらうからよ」


そう言うとウィッグは外に出ていく。

周りの人達は既に武器を選び始めている。


(あっ、スタートダッシュ遅れちゃった)


少しだけ焦りつつとりあえず近くの武器を漁ってみる。



「よし、これで全員だな?」


ウィッグが周りを見渡し全員それぞれの得物を見る。

リーフェルが選んだ武器は魔物の骨で出来た無骨な手槍とこれまた骨を研いで出来た大剣。

そうこのリーフェルは世にも珍しき一槍一刀を同時に操る戦闘術の使い手(とは言え我流だから全く認知されてないが)。

しかしながら周りを見回すと色んな武器が見える。片手斧であったり手甲と合体した盾であったりシンプルに剣だけであったり、その多様さは流石はあらゆる使い手が集まる騎士団と言うべきか。候補者だけでもここまで多くの武器の使い手が集まるという事実にリーフェルは一人歓喜していた。

そんな風に歓喜している間にもウィッグは前に進み鎧を着る部屋へと案内した。


「えっと、こっちが女、こっちが男な。まぁなんだ?一応最低限のそういう所は配慮されてっからさ。安心して着替えてな。着替え終わったらまたここに集合よ」


そう言われるとみんなぞろぞろと鎧を着替えに中に入っていく。

それに流れるようにリーフェルも部屋に入ろうとすると…


「おい嬢ちゃん、そっちは男部屋だぜ?」

「あ、いや私男ですけど」


しばしリーフェルを止めたウィッグと止められたリーフェルの間に沈黙が流れる。


「…え?」

「…え?」

「「えっ?」」


二人の声が揃う。リーフェルとしては何故止められたのか理解出来ず、そしてウィッグは目の前の女が本当は男という事実に脳が止まる。

今更ながらリーフェルの容姿は艶のある薄緑の長髪を後ろで纏めてだけの髪型で確かに男にしては細い方だが筋肉はしっかりある方ではある。

しかしリーフェルが考慮していなかったのはそこではなく顔、眉目秀麗でドレスを着せたら一国の姫と間違われてもおかしくないほどの美貌はあるのだ。その上リーフェルは生まれて今日に至るまで一切自身の顔を見たことがないというある意味の奇跡の人である。


「あ〜っまじかァ…そのなんだ?止めてすまなかった」

「?…まぁはい、ありがとうございます」


なぜ止められ、なぜ謝られたのかを理解できないままリーフェルは今度こそ部屋の中に入っていく。

部屋は色んな鎧たちで埋め尽くされており、身軽に動けるように最低限のところにしかついてないものもあれば、頑強なしっかりとした鎧もある。

広さは先程の武器の部屋よりかは狭いがそれでもその場で試着などできるようになっている。


周りからの視線を感じながら自身にあった鎧を選んだ。武器が重い分鎧は軽くするため右肩が出るような形の薄い金属の鎧を着けた。

下半身も関節周りが動きやすいような魔物の皮で出来た物を使った。


「よし着替えたな。さっきよかマシな格好になったな。んじゃ着いてきてくれ」


ウィッグの後について行くと段々と城の中の雰囲気が変わっていく。

どんどん地下へ、深く深く、地下へ地下へ。

体が少し重くなったか?と思い始めてきたタイミングで先頭が止まった。

ここは城の最下層、地獄への道、すなわちラビュリントスへの入口のひとつ。

入口の前には門番が二人立っている。門番がこちらに気づくと敬礼をしウィッグに挨拶をする。


「あい、いつもお疲れ様」


ウィッグが軽く挨拶するとこちらに体を向けて話し始める。

「こっから先は正真正銘地獄さ、まだ第一階層だからそこまでの強敵は出てこないがそれでも常に命懸けで挑め、まぁ即死罠とかそんなのないからさ。程よく肩の力抜いてな?あでもやべぇって思ったら迷わず逃げてこいよな。」

「ウィッグ様!」


ウィッグが話していると門番の二人が話に割り込もうとする。

ウィッグの後ろにはカエルの顔に人の歯を持ち体が猫で翼が生えた巨大な魔物『ウィスパー』が今まさにウィッグに噛み付こうと口を開け飛び込んできている。


「なに、ここまで逃げてくりゃよ――」


いつの間にか包帯で巻かれた長い棒がウィッグの手に現れていた。ほんの一瞬後ろを向いたように見えた。

そして飛び込んでくるウィスパーに対してそれが振るわれる。突風がウィスパーを血飛沫を纏いながら吹き荒れる。

包帯はあの突風で弾け飛びその下には一本の槍が見えた。

総身がリーフグリーンの鮮やかな色をした槍。槍の穂先は途中分かれ十手のような形になっている。


「こんな風に護っからよ、まぁ頑張ってきな」


魔物一匹殺したその顔はいつも通りの無気力な表情だった。

これより参るは地獄への一本道。








普段気だるげだけど戦闘になる切り替わるおじさんって最高だと思いませんか?

感想等々お待ちしております。

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