不死
25××年、組織は人類かねての念願である不老不死を成し遂げた。
不老不死になる手法を確立させたのだ。
組織はすぐさま世界中に広告を出した。
「不老不死になりたい方募集!」
するとたちまち何十万人もの人々から応募が来た。あまりに多すぎるかと思われたが、組織はその全員を不老不死にすると言う。しかも対価はいらないとまで言った。
そして見事に、数十万人を不老不死にした。
この話が公になると、さらに多くの応募が殺到することとなった。
それでも組織は来る者を拒まず、その全員に不老不死を与えた。
そうして、不老不死を得た人類は数百万人にまで増えた。しかし、問題になると思われていた人口問題は一切発生しなかったのである。
一体、組織はどのようにしてここまで都合よく不老不死を成し遂げたのか。
それは、人の電子化であった。
人の中身を電子世界に移すことによって、人は不老不死になれるかつ場所や食料を必要としない。素晴らしいアイデアであった。
だがしかし不老不死とは、老いや死の概念を取り除くもの。死の概念が無いとなればすなわち生の概念も無い。生死を問えない“モノ”と化す。
電子世界で不老不死になった彼らはもはやヒトと呼称して良い存在なのだろうか。
さらに、電子世界の電源スイッチは組織の手元にある。死ぬことはなくとも、世界ごと消える可能性が残されていた。
組織に務める職員はみなこう呟くという。
不老不死なんてやはり叶わない夢なのだ、と。