心の底に潜む内なる恐怖
続くエルドのターン。
余裕のドローフェイズを終えて俺ではない本物の蓮丈院遊月が抱いていたエルドへの感情という口撃に添えて繰り出す攻撃に対して、俺は伏せていた一枚を起動させる。
「そんな都合良い自己解釈で、俺を語るな!」
起こしたアクシデントカードは〈ダメージハンデ・エグジット・リバース〉。
フェズ=ホビルクとの死闘で使った〈ダメージハンデエグジット〉の亜種で効果はその真逆。
カウンターによってAPが1400にアップした〈エヴォルナイトゲールワンピ〉をデッキに戻し、元々のAPが0より低いプレイヤー以外は戻したカードのAP分だけアップさせる。
相手にだけ浴びせるAP1400分の威力がこもった爆弾をエルドに向かって蹴飛ばす。
見事にエルドの鼻先で爆発し、既にAPが2650まで溜められたエルドに、バーストするほどのAPを与えられると思ったが。
だが、ダウンどころかアップの効果すら干渉させない〈アイギスバレッタ〉に守られたことで、エルドは恐ろしいほど無表情のまま灰色の爆風をくぐり抜け、再度ワンピの効果による一撃を喰らわせる。
「本気でそう思うか?」
さらなるダメ押しにと、アクシデントカードの効果を得たシューズの効果まで浴びせ、こちらの鎧を確実に削ぎつつ、迎撃の準備として一枚伏せることも忘れない。
手札七枚貯まるのを待つよりも相手が先に折れるのを待つ方が早いのか。
そう選択したくなるほど、こちらの反撃の手段が次々とはたき落とされてゆく。
それでも俺はまだ屈するわけにはいかない。
破壊された〈エヴォルクラウスシューズ〉の効果でデッキから〈ブラッデルセン〉ブランドを落としつつ一枚を引いた後で、改めて俺にターンがくる。
近所の回転寿司屋みたいなにおいがすると罵った〈ヤマトカミカゼ オスシワンピ〉をコーデし、この効果でデッキから三枚のカードを落としてわずかだがAPを上げる。
そこからミュージックカード〈御山讃頌〉を賺さず発動させたことで、このターンにデッキからランドリーに送った枚数だけ、相手の着るコスチュームの効果を無効にしようと試みる。
だが、山の加護も虚しく、エルドの方が一手早いのか、割り込んだ〈うっかり幸い防埃ビニール〉というふざけた名前のアクシデントによって、無効効果すら適用させられなかった。
だんだんと考えが弱気になる。
今から伏せる一枚ですら、叶うかどうか怪しいと悪い方向へ考えながら。
「ならば己の躰の底で眠っている自分自身に聞いてみるといい!」
続くエルドのターン。
〈ミネルオリーヴァワンピ〉の一撃が迫る。
そのとき俺は〈オスシワンピ〉の効果でランドリーに送っていた一枚〈エヴォルビンズピンズ〉を呼び起こし、頭に飾ると同時に装着と同時に【飾血】でAPを捧げる。
限界の200も与えなければならないが、その捧げた【飾血】の回数だけ相手からの効果を受けなくなる。
「この狭い学園の中だけの頂点という、価値もない己の誇りを守る!」
ここで初めてエルドの〈ミネルオリーヴァワンピ〉の効果を防ぐことができた。
「そのためだけに、【女帝】となった私をわざわざ別格として持ち上げるよう周りに吹聴したのは他でもなく彼女自身だとな!」
それでもエルドにとっては些細な問題でしかなく、すかさず手札から発動した〈ラブアローミリオンシュート〉というミュージックが発動され、ハート型の切っ先を持つ無数の矢が放たれたことで、無敵効果が完全に剥がされる。
無効にされたら再発動を繰り返すことで、無理矢理AP100を削る一撃によって俺は神殿外に弾かれるまで吹き飛ばされてしまった。
蓮丈院遊月 AP400 VS 藤丸エルド AP2650
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