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登場、クジャクのマスコット

「ほう? あのまま突き進んだ場合、俺はこんな感じで負けていたのか」



 あの激戦だけで何時間も経ったのだろうか。


 それでも夕日の沈み具合は変わらず、そして人気のなさも同様。


 つまり、世界の時間は一秒も進んでいなかったのだ。


 今見せられた映像は、俺があの時未来を変えるターニングポイントに気付かず、そのまま直行した場合の時間軸。


 予想通り、俺はまんまとフェズの敷いたレールの上で愚者の様に踊らされていたわけだ。


 スマホどころか電気そのものを封じられている中で、俺にもう一つの未来を映写機に写った映像として見せたのは機械ではなく、何やらぬいぐるみに似た弾力のある物体。


 白菜一玉ぶんの大きさに青白い羽毛を持った、つぶらな瞳と嘴を持ったペンギンを彷彿とさせる生き物。


 いや、尻に七色の尾羽が千羽鶴の様に生えていると言うことは、同じ鳥類でも孔雀というべきか、どこか女児向けアニメに出そうなデフォルメ具合だった。



「まあ、実現しなかった結果を惜しむように俺に見せたところで、現実は変わらない。約束だぞ、俺の質問に全て答えてもらう!」


「うん、約束。彼なら安心して任せられるわ」



 ここに来て初めてフェズが顔を緩め、腕に乗せていたぬいぐるみに目を下ろした。



「ふむ、少々危なっかしいところがあったが、じきに改善されることを願おう。半端に頭が回る奴も使いようだのぉ」



 ぬいぐるみが喋った。


 鳥のように甲高くも嗄れた声と、年寄りじみた口調で。


 もういちいちオーバーリアクションで驚くのも馬鹿らしい。



「お前もマスコットか。だがジェネトモとは少し違うな」


「マスコットは正解じゃ。じゃが、儂はジェネトモとは違う種類のマスコット――おっと、名前は伏せておこう。安易に明かして良い身ではないのでな」



 膨らみの凹凸具合はともかく、肉体的には少女であるフェズの胸を背凭れに寛いでいるマスコットが、妙に偉ぶった物言いで情報を伏せる。



「マスコットであることは認めるのか」


「ふむ。何しろ、儂は各次元世界に派遣させたマスコット達を統括する長のような存在。こうして、腰を上げて表に出ることがないほどの重鎮を任されておる」


「次元世界だと? ここは単なるアニメの世界ではないのか」


「貴公の住む世界の住人にとってはな……」



 孔雀のマスコットがなにやら勿体ぶる。


 どうも俺が認識している情報と、こいつらが持っている情報に齟齬があるらしい。



「お前達は何者だ」


「おおよそ感づいていると思うが、儂らもこの世界の者ではない」


「それはわかっている」


「同時に、貴公の住んでいた世界の者でもない」



 その点は驚かない。


 どう考えたって、俺の記憶を易々と操れる芸当ができる人間なんて、俺の住む世界にはいなかったからな。


 こいつの様に、存在自体がテレビ局の暇なネタにしかならない、ずんぐりとした喋る謎の生き物の存在も。



「もう一度聞く。お前達は何者だ」

ここまで読んでいただき、誠にありがとうございます。


「面白かった!」

「続きが気になる!」

「いいから早く決闘しろよ」


と思った方は、下にあります☆☆☆☆☆から、作品の応援をよろしくお願いいたします。

また、誤字脱字、設定の矛盾点の報告など何でもかまいませんので、

思ったことがあれば遠慮無く言っていただけると幸いです。


あとブックマークもいただけるとうれしいです。


細々と続きを重ねて行きますので、今後ともよろしくお願いします!

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