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05

セドムの町を出て西へと向かう。

指定された街道は道幅も広く、そこそこ整備されていて走り易かった。


(平均40km/hだとして十時間で400km・・・・・馬車は確か15km/h位だったよな・・・一日150km、三日で450kmか。いや、荷馬車だともっと遅い筈・・・でも楽観視は出来ないよな・・・・・やっぱりこれって結構キツイ日程だろ・・・それになんか見落としてる気がするんだよなぁ・・・・・お、LV上がったな



 種類:オートバイ LV9 名前:ニール

  耐久:270/280 魔力:81/90

 スキル

  イグニッション(アクティブ時:前照灯・警笛・方向指示器)

  自動修復(小) 小物入れ 所有者保護

 所有者:リサ・シルフライン



(スキル増えないなぁ・・・LV10に期待するか・・・・・)


俺の心配を余所に、リサは報酬の事で頭が一杯なのかご機嫌で鼻歌を歌っていた。


ヌメイラ迄の道程は問題無く進み、二日目の昼過ぎにヌメイラの冒険者ギルドへ着いたのだが・・・・・


「こんちわ~セドム支部から報告書を受け取りに来ました~」


「あ、はい、聞いてますよ。ちょっと待ってくださいね・・・・・はい、此方がヌメイラからの報告書と依頼票になります。王都で達成印を忘れずに貰って来て下さいね。それと、そちらの魔道具は此方で預かるので良いんですよね」


「ええ、私は宿屋に行くからニールの事はお願いね」


(ちょっ!ちょっと待て!その依頼票見せてみろ!これって一つの依頼じゃなく複数の依頼じゃないのか?!しかもここに報告書を取りに来るのが依頼に含まれてないぞ!待てって!今直ぐここを出るんだ!このままだと間に合わなくなるぞ!)


俺の心の叫びも虚しくリサはギルドを出て行ってしまう。


(あの馬鹿、何でちゃんと依頼票見ないんだよ!・・・・・拙いぞ二十日で往復する依頼じゃなく十日と八日で王都まで配達する依頼二件と八日で王都からヌメイラ迄と十日で王都からセドムまでの四件の依頼の可能性が高い・・・・・行って帰るだけで四件って言葉に騙されてる・・・・・しかも一件でも間に合わなかったら報酬は無しに・・・・・拘束料も報酬に含まれてる筈だから完全にタダ働きになっちまう!くそっ!伝える手段が無い以上、あいつが自分で気が付くしかないのかよ・・・・・)


悶々と夜を過ごし、翌朝に為ってリサが来たのは開門後、結構経ってからだった。


「おはようニール、それじゃ行きましょうか」


(おはようじゃなく、おそようだろ・・・・・はぁ・・・こいつは痛い目見なきゃ解らないのかね・・・・・俺と会った時も依頼失敗したってのに、暢気なもんだ)


現状どうする事も出来ないので、異世界ツーリングだと割り切って楽しむ事にした。

ヌメイラの町を出て街道を只管北上。周囲にあった木々も徐々に減って行き翌日には西側に湖が見えて来た。


「ニール!あれがアラバ塩湖よ!ハビラ王国の主産業の製塩場も湖の彼方此方に在るの。どう、凄いでしょ!」


(おおっ!確かに凄い眺めだなこりゃ。塩のせいで周囲に高い木が生えて無いから遠くまで良く見えるし、そもそもこんなでかい湖見た事無いぞ)


アラバ塩湖をを左手に見ながら街道を挟んで反対側には背の低い草原が広がり、街道が世界の境目の様に見えた。

これだけ見晴らしが良ければ盗賊の心配はないし、魔物が居ても発見も早く逃げられる。安全な順路と言うのも納得だ。



次の街に付くとちょっとした問題が起こった、水がタダではなかったのだ。

川も井戸の水も塩分を含んでいるので、そのままでは飲料水としては使えず蒸留しないといけない為だ。

ギルド職員に交渉したが、旅費に含まれている筈だと言って取り合って貰えなかった。

リサは此処まで節制して来なかったので、後半厳しくなるか持ち出しになるだろう。自業自得である。


王都に近づくにつれ旅商人と思われる馬車が増えてくる。追い越し擦れ違う度にギョッとした表情で見られるが直ぐに慣れた。

巡回している兵士達に止められたりもしたが概ね順調・・・・・だと思いたい。

リサ自身、疲れた様子も焦っている様にも見えないので大丈夫なのだろう。


九日目に到着した王都南の衛星都市のギルド職員の話では、ここを早朝に出れば馬車でも夕方には王都に着くと言う。


十日目。衛星都市を出発、暫く走りアラバ塩湖を眺めながら昼食。と言っても俺は食べられないしリサも干し肉を齧っているだけだが。


「ニール、明日は王都で観光や買い物とかしたいわねぇ。私も王都初めてだし、楽しみだわ」


(何言ってんだ・・・そんな暇有る訳無いだろ・・・・・こいつ今日中に王都を出発しないと一日足りなくなるって気が付いてないな・・・・・)


更に進み王都の城壁が見え始めた所で状況が変わった。巡回している兵士達にやたらと止められたのだ。

流石は王都だ警備が厳しい。見た事も無い奇妙な形の走る魔道具と、それに乗るこれまた奇妙な格好の人間なんて警戒対象でしか無いと言う訳だ。


そんなこんなで、王都に入ったのは夕暮れ近くで、ギルド本部を探し回って報告をしたのは終業間近だった。


「あ、間に合って良かったですね。もう少しで依頼失敗になる所でしたよ」


「え?・・・・・まだ十日も有るでしょ?何言ってるのよ」


「あら、依頼票見てないんですか?セドムから十日、ヌメイラから八日が期限の配達依頼でセドムへの報告期限が二十日ですよ。はい、これがヌメイラで、こちらがセドムに配達して貰う書類と依頼票です。ヌメイラで達成印を貰ってセドム支部にこの依頼票四枚を提出して達成になるから失くさない様にね。後、依頼内容はちゃんと確認した方が良いですよ」


額から汗を流し見る間に顔色が悪くなって行くリサ。


「そちらの魔道具は此方で御預かりしますので、宿の方に・・・・・もしかして王都は初めてですか?ここ王都で日暮れ以降に宿なんてお貴族様が使う様な所しか空いてないと思いますけど・・・・・宿は取って・・・ないですよね。そう言う方が結構居るので冒険者ギルドの仮眠室で良かったらお貸ししますよ。雑魚寝ですけど」


「・・・・・・・・お・・・お願いします・・・・・」


意気消沈と言った感じで項垂れて仮眠室へと向かうリサだった。


(やっぱり予想通りだったな。しかし遣るなマーシャさん、嘘は付いてないし受ける様に上手く報酬をちらつかせて誘導する。そんな旨い話は早々無いってリサも勉強になったろ)


翌早朝、寝不足と言った顔のリサに押されて王都を出発した。

最後まで読んで頂き有難う御座います。

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