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俺達は席に着いてメニューを見ながら話を始めた。
「・・・・・はぁ・・・まさか叔父さんがあんな人だとは思っても見なかった・・・・・俺は見る目が無い・・・・・」
「ま、まぁそう落ち込むなよ。取り敢えず飯にしようぜ、旨い物食って頭の中切り替えて話し合おう」
「ああ、そうだな・・・・・しかし、本当に高いな・・・マモンなら高級店に近い値段じゃないのか?」
「ほんとだわ・・・・・特に変わった料理もないし、何でかしら?」
「商業ギルドで相場を見てきたけど、調味料は特に高かったよ。おそらく輸入に頼ってるんじゃないかな。材料を輸入して加工品を販売、輸出してるとか」
特に目立った料理もなく適当に頼んだ料理を食べながら話を続けた。
「それでだ、これから如何するか、なんだが・・・・・俺は当初の予定通り此処で別れた方が良いと思うんだ。あんた等はあいつの顔も見たくないだろうけど、俺達に付いて来てまた襲われたらって思うとな・・・次も守れる自信は無いし・・・・・まぁ、これだけ広い街だし、城を挟んで反対側に行けば滅多に遭う事も無いだろ」
俺の提案通り三人共此処で別れる事になった。アリアと仲良くなったアマンダは寂しそうにしていたが、危険を承知で付いてくる事も無いわな。
「しかし、宿代も馬鹿にならなそうだし、住む所は早急に決めないといけないな。それと仕事か・・・・・雇ってくれる所が有れば良いんだが・・・・・」
「仕事の心配は要らないだろ。なんなら開業するのも有りだと思うぞ」
「いやぁ正直もう経営はしたくない・・・かな・・・・・出来れば職人としてやっていきたいんだ」
「それじゃあ取り敢えず北地区で宿を取って、明日から二手に分かれて行動しよう。俺達とエイルは装飾品店を回って売り込みで、ミリアさんとアリアは不動産屋巡りで」
北地区へと移動し宿を取った後に商業ギルドへと向かい、北地区で大手の装飾品店と不動産屋の場所を幾つか調べて宿に戻った。
翌日、朝食の後に二手に分かれて行動開始。当初の予定と違って男女に分かれて行動した。アマンダをミリアとアリアに付けたのは護衛の為である。アマンダには『飛ばない鎌を出さない殺さない』と念を押したら嫌な顔をされた。
俺とエイルはダメ元で最大手の店から行って見たんだが、呆気なく採用された。
この街と言うか、この国では職人の地位は高く、腕のいい職人は独立している為に専属の職人が足りない位なんだそうだ。
エイルが作った装飾品を高額で買い取ってくれた上に、専属として破格の給金で雇って貰える事が決まり、契約は住む所が決まってからで良いと迄言ってくれたので信用出来そうだ。
そんな訳でその後はアマンダ達と合流し、職場近くの物件から見て周って、少し離れた所でそこそこ広い家を購入。入居は三日後となったので、それに合わせ宿屋の予約をして、入居まではのんびり街を見て過ごした。
入居当日。と言っても荷物を言われた所に収納から出して置くだけなので半日も掛からず終了。俺は商業ギルドへ塩を売り、そのお金で食料の補充をし明日の出立に備えた。因みに水はタダで井戸から汲み放題だった。
そして翌日。
「それじゃ行くけど、俺達に手紙残して子孫に迷惑掛けるなよ」
「ははは・・・解ってるって・・・・・だが、もし近くに来る事が有ったら顔見せに来てくれよ。いつでも歓迎するからさ」
「・・・・・アリア・・・元気でね・・・・・」
「うん・・・アマンダさんも元気で・・・・・」
「ニールさん、アマンダさん・・・本当にお世話に為りました」
別れの挨拶を済ませて久しぶりにオフロードバイクに跨り、アマンダを後ろに乗せる。一つ空吹かしをして「それじゃ!」と言って走り出した。
少し進んだ所でミラーを見ると、三人が頭を下げていたのでホーンを二回鳴らして振り返らずに左手を高く上げて振った。
アマンダは俺の背に顔を伏せたままで、門を抜けても暫くの間声を殺して泣いていた。
これからもこうした事は何度も有るだろう。出会いと別れを繰り返し成長してくれればと思い、一路東へと向かった。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




