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暫く泣いた後、落ち着きを取り戻した俺は、店員に謝罪し理由を説明した。


「・・・・・えっと・・・貴方がこの置物の元になってる魔道具・・・なんですか?」


「ああ、そいつを作ったのはアインだと思う。この店『ゴタード装飾品店』を創った奴なんだけど、その頃の事を何か聞いた事は無いか?」


「・・・いえ、そうじゃなくて・・・・・あなた人ですよね?魔道具とか言われても・・・・・」


「ん?ああ、そりゃそうか・・・・・じゃあこれでどうだ」


まぁ行き成り自分は魔道具ですと言われて信用する奴も居ないなと、俺はスキルを使ってオフロードバイクに変化した。


「ヒイイィィィ!化け物~!助けてお父さ~ん!」


目の前で人が行き成り変化して驚いた店員が叫びながら奥へと入ってしまった。


(・・・ちょっ!待ってくれって!・・・・・ああっ!変化したら声も出せないのかよ!ああもう、どうしたら・・・・・)


「・・・・・ニール・・・流石に今のは私もどうかと思うわ・・・・・せめて前もって変化するって言っておくべきだったと思うんだけど・・・・・」


(くっ・・・・・正論過ぎて反論出来ねぇ・・・・・)



  *   *   *   *   *   *   *   *   *   *



その頃商業ギルドではニールが変化した事で厩に置いてあった分体が行き成り消えて騒ぎになっていた。


「どう言う事です!預かった魔道具が消えたなんてあの方に何と言って詫びたら良いのか・・・・・」


ニールはこの国で貴重な小麦粉を大量に売ってくれた上客で、ギルドとしては出来れば何度か足を運んで欲しい所だったのだ。


「そう言われましても本当に行き成り消えたとしか・・・・・珍しい物だから馬番の皆で見てたんですよ、誰かが盗んだとかありえません」


見た事も無い魔道具で弁償する事に為ったら一体幾ら掛かるのか解らない。如何した物かと職員達が頭を抱えていると兵士達が雪崩れ込んで来た。


「ここにニールとか言う旅商人が来なかったか!?黒目黒髪の男で連れの女は長い黒髪だ!移動用の変わった魔道具に乗っていたのだが誰か知らないか!」


「あ、あのう・・・・・その者が何か犯罪でも犯したので?」


「いや・・・そう言う訳ではないのだが・・・・・公爵閣下の命で御連れする様にと。お前達も見かけたら丁重に扱い城の方へ出向く様に伝えてくれ、頼んだぞ」


公爵縁の者らしき話を聞き、既に魔道具の紛失とやらかした後で丁重にと言われ、自分達の首が物理的に飛ぶのではと職員達の顔色は青を通り越して白くなっていた。実際彼らには落ち度は無いのだが、とんだ災難である。



  *   *   *   *   *   *   *   *   *   *



店員の女の子が奥に行ってしまい如何した物かと考えていると、奥から一人の男が出て来てアマンダに問いかけた。


「・・・・・な、なあ、お嬢さん・・・その魔道具がニールってのは本当か?」


「ええ、本当よ。貴方ニールの事知ってるの?」


「あ、ああ代々店主にだけ口伝で伝わってる事が有るんだが・・・・・まさか実在したとは・・・・・」


「あ、ちょっと待ってて、今からこれが人型になるけど驚かないでね。ニール、戻って良いわよ」


(驚かないでって言われても無理だと思うんだが・・・・・まぁこのままじゃ埒が明かないし、仕方ないか・・・・・)


人型に戻ると案の定驚かれたが、逃げ出す事も無く話の続きをした。


「す、すまないね。それであんたがニールだって証拠に質問に答えて欲しいんだ。『始めて遭った時あたし以外に誰が居た?』」


「それはゴブリンが八匹だな。俺が光と音で威嚇したらリサまで自分も威嚇されたと勘違いして立ち止まってさ、あの時は焦ったよ。そう言えば店番してた女の子の悲鳴が同じだったな、見た目も似てて驚いたけど」


「は、ははは・・・・・本物だ・・・これで漸く私達の役目も終わる・・・・・これを渡して欲しいと代々受け継がれて来た、どうか受け取って欲しい」


手渡された物は古ぼけた小さな木箱で、蓋を開けると中には手紙が入っていた。


「その箱は状態保存の魔法が付与されててね、正直何度売ろうと思った事か・・・・・これで私達は自由になれた。以前からマハン王国の親戚に声を掛けられていてね、近い内に引っ越すとするよ」


「・・・・・ひょっとして経営が厳しいのか?」


「・・・ああ・・・・・王家や貴族にコネは有るんだが、正直厳しいんだ・・・・・作物の育ちにくい最北の小国だ、一般市民に装飾品を買う余裕は殆んど無いのが現状でね。鉱山が有るお陰で材料だけは安いが・・・・・」


「そ、そうか・・・長い事待たせてすまなかったな・・・・・そうだ!直ぐに引っ越すなら手伝うよ。荷物なら俺の収納に入れちまえば荷造りもいらないし、移動速度も速いから直ぐに着くと思う。それに食料も沢山買い込んで有るから今直ぐにでも出発出来るぞ」


「ま、待ってくれ。行き成り言われても決断出来る訳無いだろ。向こうに着いてからの住む所や当面の生活費だって工面しなきゃならないし、妻や娘の賛同も得ないければ・・・・・」


「金の心配なら要らないよ、金貨で二千枚以上持ってるから。受け取れ無いってんなら今有る商品は俺が全て買い取るからさ、奥さんと娘さんを説得して来ると良いよ」


「え?・・・・・ああ・・・そうか、これはチャンスなんだろうな・・・だが、そこまでお世話に為って良い物か・・・・・」


「何だ、そんな事気にすんなよ。元々お金はリサに貰ったもんだし、リサの子孫だ力に為りたいんだよ」


「・・・・・解ったあんたを信じるよ。引越し資金を貯めるのも苦労しそうだしな・・・妻と娘を説得してくる・・・・・ああ、店は閉めとくか、どうせ客も来ないしな・・・ははは」


そう言って店主が弊店の看板を出そうとした所、兵士が店内に入って来た。


「ああ、ゴタードさん、ここにニールと言う旅商人が・・・・・おお!良かった!ニールさん公爵閣下が貴方を御呼びです。ご同行願えますか」


「は?!俺、この国のお偉いさんの事知らないんだけど・・・・・って、あれか?あのネックレスの件でかい?」


「いや、あれを見る前から豪い剣幕でな。あれを見て『間違いない』とも仰っていたが・・・・・」


「・・・・・ん~・・・解った。直ぐ行くけど貴族相手の作法とかあまり知らないからなぁ・・・・・その辺正直に話すしかないか。それじゃゴタードさん、ちょっと行ってくるから宜しく」


兵士達の後に付いて歩きながらリサからの手紙を読みつつ、面倒な事になりそうだと溜息を溢し城へと向かった。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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