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マモン王国王都マグラス。

北側の山脈と二重の城壁に十mを越える水堀に守られた城塞都市。

城門正面の堀に掛かる橋は幅六m程の木製で、有事の際は破壊して敵の侵入を防ぐのだろう。

大陸最北の地で冬は雪に閉ざされ、夏場でも山頂から1/3近くは雪が消える事は無い。

主産業は鉱山から取れる各種金属と、それを使った武器や防具と装飾品等と、東側の塩害のない地区ではトウモロコシやライ麦と、それ等を使ったお酒である。


橋を渡り城門でギルド証を見せて二重の城壁を潜り街へと入ると、先ず目に付いたのは幅十m程の石畳の道の先に有る王城だった。


「ハジブの街とは大違いだな。路地も広めで見通しも良いし空気が旨い気がする」


「そうね~、あそこは空気が重い感じがしたわ」


ともあれ先に用事を済まそうと、王城目指して真っ直ぐ進んで行くと街の中心付近に商業ギルドが有り、帰りに寄ろうとそのまま進んで行く。

城門少し手前でバイクから降りてその場にアマンダを待たせて、一人で門番の所まで行き話しかけた。


「お仕事中失礼します。私はニールと言って旅商人をしている者ですが、隊長さんか少しでも偉い人に取り次いで貰えませんか?」


そう言って門番に銀貨を二枚握らせると、仕方ないなとか言いながら笑顔で中に入って行き部隊長を連れて戻って来た。


「始めてみる顔だな・・・・・君かね私に用が有ると言うのは?」


「はい、私はニールと言う旅商人なんですが、これを国王陛下か国の歴史に詳しい人に渡して欲しいんです」


アンモン家の紋章を兵士に渡し、序に銀貨を五枚握らせた。


「これは・・・・・王家の紋章に似ているが・・・模倣品か?まぁ良いだろう、私では騎士団長位にしか取り次げないがそれで良いか?」


「ええ、その時にさっきの言葉を付け加えて頂ければそれで十分です。あ、これはお礼です、部隊の皆を労って下さい」


更に銀貨を五枚渡し頭を下げてアマンダの元へ戻り、商業ギルドへと向かい始めた時、豪華な馬車が入れ違いで門の前に止まった。

馬車の窓から外を見ていた男がバイクに乗って走り出した俺達に気が付き、馬車が止まると同時に外に飛び出し振り返った後、近くに居た門番達に問いかけた。


「なっ!速いっ!・・・もうあんな所に・・・・・お前達!あの者達はここへ何をしに来たのだ!答えよ!」


馬車から飛び降りた男を見てその場に居た兵士達が一斉に跪き、部隊長が手に持っていたネックレスを差し出した。


「こ、公爵閣下・・・あ、あの者はニールと言う旅商人で、これを陛下か歴史に詳しい者に渡して欲しいと頼まれまして・・・・・」


「こ、これは・・・・・間違いない・・・お前達!今直ぐあの者達を探し出して連れて来るのだ!けして機嫌を損ねる事の無い様丁重にだ!急げ!」



  *   *   *   *   *   *   *   *   *   *



その頃何も知らないニール達は、アデイルの商業ギルドで手に入れた小麦粉を売り、塩とトウモロコシを買ってギルドを出た所だった。


「・・・・・な・・・なんで・・・・・・・・」


「ニール、どうしたの?・・・・・ちょっと!何処行くのよ?!」


宿を取ってから街中を散策しようと言っていたニールがアマンダの声も聞こえていない様で、ふらふらと吸い寄せられる様に道の反対側に歩いて行くと、そのまま一軒の店に入って行った。


「ちょっとニール、どうしちゃったのよ。この店に用事なの?」


店に入った後もアマンダの問いに返事もせずに奥に有るカウンターへとふらふらと歩いて行く。


「いらっしゃいませ。何かご注文でしょうか?・・・・・え?!お、お客様!どうなさいました!?」


ニールはカウンターの前で立ち止まり、店員をじっと見つめた後に更に奥に有る棚に目をやると突然ぽろぽろと涙をこぼし始めた。


「・・・・・すまん・・・すまねぇリサ・・・ずっと待っててくれたんだな・・・・・俺・・・ずっと眠っててさ・・・・・大変な時に傍に居られなくて・・・本当にすまなかった・・・・・うわあああぁぁぁぁ・・・・・・・・」


人目も憚らず大声を上げて泣き出した俺に驚き、どうしたら良いものかとおろおろするアマンダと店員。


店の名は『ゴタード装飾品店』。店員はエルフで薄い緑の瞳と金髪のくせっ毛でリサととても良く似ていた。

そして、カウンターの奥の棚にはアインが作ったのであろう、デフォルトのスクーターとオフロードバイクを模った20cm程の置物が飾られていた。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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