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01

林の中で横倒しになり、カラカラと後輪が空転する音だけが響いていた。


(はぁ~豪い目に遭ったな・・・・・まさかスクーターでジャンプする事に為るなんて思いもしなかったわ・・・・・あ、あの娘は何処だ?おーい!大丈夫か~!)


少し離れた所で仰向けに倒れているのが見えたが、助け様にも近寄る事さえ出来ないので気絶しているだけだと思いたい。


(ん~どうするかな・・・ゴブリン達は撒いたみたいだけど、他にも何か居るかもしれないし・・・・・静かにしといた方が無難か・・・・・取り敢えずスペックでも見とくか)



 種類:オートバイ LV2 名前:無し

  耐久:83/210 魔力:38/55

 スキル

  イグニッション(アクティブ時:前照灯・警笛・方向指示器)

  自動修復(小) 小物入れ



(う~ん・・・・・何かLV上がってるな・・・・・ゴブリン跳ね飛ばしたし何匹か死んだのかね?耐久は・・・そりゃ下がるわ、派手に飛んで傷だらけだし・・・・・魔力が減ってるのはスキルを使ったからなのか、それとも燃料なのか・・・両方かもしれないな・・・・・しかし・・・何かチートくれよ!定番だろ!・・・・・はぁ・・・自動修復があるだけましか・・・・・大体小物入れって何だよ・・・俺が使う為のスキルじゃねぇだろこれ・・・・・何にしても・・・生きててくれよ・・・・・・・・)


身動きも取れず、音を立てる訳にも行かないので大人しく修復が進むのを待ちながら周囲を見張っていると、彼女がもぞもぞと動き出した。

上半身を起こし周囲を見ている様は正に寝起きと言った感じで警戒心の欠片も無かった。


「ん~・・・・・ふぁぁ・・・なに・・・・・何であたしこんなとこで寝てんの~・・・え~・・・・・あっ!そう言やゴブリンに追いかけられてたんだった・・・逃げ切れたのかなぁ・・・・・あ・・・あれ、あの変な乗り物は何処かしら・・・・・・・・・・あ、あった!」


(なんか豪いのんびりした娘だな、死に掛けたとは思えん・・・まぁ生きてて良かったよ・・・・・あ・・・耳が長い・・・エルフなのか。バタバタしてて気が付かなかったけど結構可愛い?薄汚れてて髪に枯葉が付いてるけど・・・・・)


まだ意識がはっきりしないのか、のろのろと立ち上がり、ふらふらと歩いてこちらに近づいて来る彼女の耳は長く、良く漫画等に出て来るエルフその物だった。


「・・・ひ、酷い・・・こんなにボロボロになって・・・・・壊れちゃったのかな・・・うぅっ・・・ヒック・・・ごめんねぇ・・・あたしを助けたばかりに・・・ヒック・・・・・ごべんねええぇぇ~!」


(おいおい、良く見ろ治って来てるだろ。泣くなよ、敵が来たらどうすんだよ・・・あ、そうかエンジン掛けりゃ良いのか・・・カシュ・・・タンタンタンタンタン・・・・・ほら大丈夫だ泣きやんでくれ。今はとにかく逃げないと、だろ)


「・・・あ・・・良かった・・・ヒック・・・動いてる・・・壊れてなかったんだ・・・グスン・・・よがっだああぁぁ~!」


(あ~もう、どうしたら良いんだよ!いい加減泣き止んでくれ・・・ピッ!ピッ!ピッ!ピッ!ピッ!・・・・・)


「ヒッ!な、何?どうしたの?何か有ったの?・・・あ・・・そ、そうか、取り敢えずここを離れないと・・・・・でも、さっきみたいにならないかな・・・・・あんたの事上手く使えたら良いのに・・・・・あ、今起こしてあげる、待ってて」


彼女は俺を起こそうと奮闘したが、その度に反対側に倒れ斜面を滑り落ち、木に立て掛ける事で何とか俺を起こす事に成功した。


「・・・ふぅ・・・ごめんね傷増やしちゃって。でも動いてるから大丈夫・・・なんだよね?・・・・・先ずはあんたの事上手く使える様に調べないと・・・あ、凄い・・・傷が直って行く・・・良かったぁ・・・・・形は違うけど馬や馬車みたいな物だとしたら手で持つ所が手綱みたいな物だし、左右に動くから行く方向はこれで決めるのよね・・・・・進むのはこれよねさっき凄い勢いで走り出したし・・・止まるのは・・・あ、この金属の棒が動く・・・・・これで止まれるんだとしたら握ったまま押してみれば・・・・・やった!これで何とか為りそう!後は、ここに座るのよね?さっき乗っかった時柔らかかったし・・・あ、やっぱり馬みたいな乗り物なんだ。握る所とこの棒で速度を調節すると・・・倒れ易いけど足も付くし何とか為りそう」


(時間は掛かったが理解して貰えて良かった・・・・・マニュアル車だったら・・・無理だよなぁ・・・・・俺も教えて貰わなかったら乗れなかったと思うし・・・・・まぁこれでここから移動出来そうだけど・・・下りだからなぁ・・・・・おいおいアクセル回すな、惰性で進むんだよ・・・・・ブレーキは左のだけにしとけ・・・ああ、言わんこっちゃ無い・・・・・まぁ俺が喋れない以上、身体で覚えるしかないか・・・麓に着くまでに壊されなきゃ良いけど・・・・・)


それから何時間たったのだろうか。何度も倒され木にぶつかりながらも何とか麓の街道に出た頃には昼を越えていた。

彼女は街道脇の木に俺を立て掛けると地面に座り込んだ。


「・・・あ~疲れたぁ~・・・あんた言葉理解しているのよね?《ピッ!》やっぱりそうなんだ・・・あたしさぁ、あんたの事連れて帰りたいんだけど良いかな?《ピッ!》良かった・・・・・問題は・・・立て掛ける所が・・・って最初あんた立ってたわよね・・・・・あ、これってこういう風になってたのか・・・ごめんね、もっと早く気が付いてれば・・・よっと!おお、これで立て掛けなくても良いって訳ね、ほんと良く出来てるわ~・・・・・後は・・・あんたが言葉を理解してるって知られたくないのよ。珍しい魔道具って貴族とか偉い人に目を付けられたら取られちゃうんだ。だから、あたし以外に使えないって事にしたいの。それでも無理に奪いに来たら一緒に逃げて欲しいんだけど・・・それでも良い?《ピッ!》良し!それじゃ一緒に帰ろう!あ、あたしはリサ、リサ・シルフラインって言うんだ、あんたは・・・って喋れないのよね・・・・・名前、私が付けても良いかな?《ピッ!》そうねぇ・・・馬みたいなもんだしスレイプニール・・・じゃちょっと大げさか・・・・・じゃ『ニール』でどう?」


(ま、良いか・・・ピッ!)


『固体名登録には所有者登録が必要です。所有者の解除は所有者の死亡、又は九十日の行動停止となります。リサ・シルフラインを所有者として登録しますか?Y/N』


(え・・・名前付けんのに制限あんの・・・・・まぁ死亡は解るけど九十日の行動停止って・・・・・免停かよ!ま、他に頼る相手もいないし世話に為るんだ文句は無いっと・・・・・なんだ・・・これ・・・・・身体が熱く・・・・・・・・)


「え!?どうしたの!横と後ろが光って・・・・・あ・・・あたしの名前・・・・・」


スカイブルーの両サイドのカバーに「リサ・シルフライン」の白い文字が浮かび上がり、白の無地だったナンバープレートには「216」と黒い数字が表れた。


(う~ん・・・・・ニールって読むんだろうなぁ・・・これ数字で表せない名前だったらどうなったんだろ・・・・・216・・・ちょっと無理が有る様な・・・神様に遊ばれてる気がして為らない・・・・・)


「これってあたしの事認めてくれたって事で良いんだよね?《ピッ!》有難う!ニール!」


抱きついてシートに頬ずりするリサを見ながら、中身が三十二歳の男だと知ったらどうなるんだろう等と要らん事を考えていた。

最後まで読んで頂き有難う御座います。

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