17
街道に出て西へ回頭した所で一旦停めて深呼吸。
久しぶりの運転でちょっと気を張り過ぎたのか、身体が硬い気がした。
そう言えばタンデムも大学時代の彼女としたきりだったなと、肩越しにアマンダと眼を合わせて苦笑い。
「この先に有るセドムって町で必要な物買ったら東へ向かおう。戻る形になるけど準備はしといた方が良いからな」
アマンダからの返事は無かったが、俺の背に顔を埋め腰に回した腕に力が篭った。
「どうした?随分と大人しいけど気分でも悪くなったか?」
「何でもない」と顔を伏せたまま首を横に振るアマンダ。
「なら良いけど、何か有ったら何でも言えよ。これから一緒に旅をするんだから遠慮は無しで行こうぜ」
そう言ってセドムへ向かって走り始めたのだが、大人しすぎるアマンダが気になって十分もしない内に路肩に停めた。
相変わらずアマンダは俺の背に顔を埋めたままだったが、身体を捻ってガシガシと乱暴に頭を撫でてやる。
「ひゃぁ~!なに!何なの!ちょっとやめて!何て事するのよ!」
「わはははは!やっと元気出たみたいだな。何考えてんのか知らないけどしおらしいのはお前に似合わないぞ。要らん事考えてないで普通にしてりゃ良いんだよ」
「・・・だって・・・・・変な事言って嫌われたり捨てられたく無いもの・・・・・」
「アホか。何度注意しても直らないなら解るけど、行き成り捨てたりしねぇから心配すんな」
アマンダは俺と眼を合わせた後、俺の背に顔を伏せて両腕に力を込めてギリギリと締め付けて来た。
「ぐあぁ!お、折れる!千切れる!中身出るから止めれ~!」
「フン、さっきのお返しよ」
「ははは・・・やっと調子出て来たじゃねぇか。それじゃ行きますか!」
西へ向かって再出発。特に話をする訳でも無く進んで行ったが、顔を伏せずに辺りをキョロキョロと見回しているので大丈夫だろう。
暫く進んで行くと正面から騎兵が六人程こちらに向かって来るのが見えた。巡回かなと速度を落として行くと、兵士達が横に並んで槍を構え道を塞いできたので少し離れた所で停車してバイクから降りた。
「・・・・・ニール・・・あいつらやる気みたいよ・・・・・」
「ん?アンモン家の紋章が有るから大丈夫だ。俺が話し付けて来るからお前はここで大人しくしてるんだぞ」
「それは解ってるわよ。でも本当に大丈夫なの?あんなのに遣られるとは思って無いけど」
俺はアマンダに笑顔で「大丈夫だ」と告げ、頭を撫でてから兵士の方へと両手を上げて歩いて行った。
「止まれ!貴様等何者だ!何処へ行くつもりだ!」
「俺達は旅の者で敵対する気は無いし、あれは移動用の魔道具で害は無い。この先のセドムに用が有るんだ、通してくれないか」
「セドム?何を言っている?この先に有るのは王都ケラクの衛星都市アデイルだ!」
「・・・・・は?・・・・・え?・・・ケラク?アデイル?何だそれ?!ここはハビラ王国のアバタ領だろ!あんたこそ何言ってんだ!訳解らねぇよ!」
「そんな国なぞ聞いた事は無い!ここはハルハ王国だ!旅人と言ったな、身分証は有るか!」
兵士の言葉に混乱しつつも逆らう訳には行かないと何とか言葉を搾り出す。
「・・・セドムで商人登録するつもりだったんだ・・・・・今持ってるのはこのネックレス位だ」
「何か勘違いしているようだが商人志望と言う事だな。一応検めさせて貰うぞ。そのまま手を上げて大人しくしていろ、良いな」
俺が頷くと三人の兵士が近づいて来て、首に下がっているネックレスを調べて首を横に振った。
「見た事の無い紋章だな、これでは身分証には為らん。街に入るには入街税が掛かるが金は持っているか?」
俺はポケットから出す様に見せかけて、収納からリサに持たされた金貨を一枚取り出して兵士に渡した。
「・・・・・こいつは使えるか?」
「見た事の無い金貨だな・・・・・ふむ・・・私が商業ギルドへ連れて行ってやろう。あそこなら換金出来るかもしれんし、放って置いて面倒事を起こされても困るしな」
「すまない、助かるよ・・・・・正直何が何だか・・・今は少しでも情報が欲しいんだ。換金出来たら飯くらい奢るよ」
「気にするな、換金出来なければ追い出すだけだ。何が有ったかは解らんが武器も持って無い様だしな。あれは移動用の魔道具と言ったな、私達に付いて来ると良い」
「ああ、解った。直ぐに追い付くから先に行っててくれ。俺はニール、彼女はアマンダって言うんだ宜しく頼むよ」
急いで戻ってバイクに跨りアマンダを乗せて兵士達の後を追った。何が有ったのかとアマンダに聞かれたが、今は状況の整理が出来ていないので後で話すと言って先を急いだ。
兵士達はバイクを見て警戒していたが、特に聞かれる事も無く俺達を先導して行き、暫く進んで行くとセドムが有ったであろう場所には別の街、衛星都市アデイルが見えて来た。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




