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ガシャガシャと金属を叩く様な音に気が付き目を覚ます。


「・・・・・う・・・・・あ・・・あったまいてぇ・・・ん?・・・痛み?・・・何だこれ・・・俺の声?・・・・・えっ!何で人になってんだ?いっ!・・・ずっと寝てたから身体中がいてぇ・・・ククク・・・ははははは!・・・・・どうなってんだよ・・・痛みなんて何年振りだよ・・・ははは・・・・・取り敢えず現状を確認しとくか・・・スペック・・・じゃ見られないのか・・・・・」


行き成りの展開に混乱しつつも異世界転生物らしくなったもんだと思いながらステータスの確認をした。



 種族:付喪神オートバイ 名前:無し

  生命力:30000 魔力:15000

 スキル

  自動再生 収納 ガレージ 魔力回復力増加 物理攻撃耐性

  魔法攻撃耐性 状態異常無効 変化 分体生成



あまりの事態に思考が停止する事小一時間。



「・・・・・はっ!・・・何だこれ?!付喪神ってあれだろ、道具が長い年月経って神とか精霊が宿るとかって奴・・・・・ああ~もう訳解んねぇよ・・・ステータスって筋力とか知力とかって表示されるもんじゃないの?LV表記すらないしどうなってんだよ俺!」


落ち着く所か更に混乱し、かと言ってどうする事も出来ず取り敢えずリサの残してくれたベッドに寝転んだ。

中々落ち着かずにゴロゴロと転がり、周囲に置いて有るリサの残した野営道具等が入った木箱が目に入り最後の言葉を思い出す。


『さぁ、あんたは自由よ!何処へでも行きなさい!走れぇ!ニール!』


「・・・・・はぁ・・・そうだな・・・折角話せる様になったけど、今戻る訳には行かないよな・・・・・かっこ悪いし・・・・・」


取り敢えず街道に出て東にでも向かうかと、シャッターを開けるとそこには腰まで有る長い黒髪に真紅の瞳とドレス姿の十八歳位の美少女・・・・・が居たので無言でシャッターを閉めた。


「ちょっと!何で閉めるのよ!出てきなさいって!貴方あの時の乗り物なんでしょ?!あの時は悪かったわ!同族に成ったんだから仲良くしましょうよ!貴方が出て来るのをずっと待ってたのよ!」


大声を上げながらガシャガシャとシャッターを叩く音を聞いて、目覚めた時に聞えたのはこれかと思いながら、俺の知らない情報を持ってそうなのでそのまま話をしてみた。


「おい、同族って言ったな?お前はあの大鎌だったって事か?」


「そうよ・・・ご主人様に名前を戴き大切に使われて私が生まれたのよ。ご主人様が亡くなった後、眠りについて精霊王になったの。貴方もそうなんでしょ?あのエルフを狙ったのは契約を解除すれば貴方も同族に成ると思ったからで、同族に成った貴方に危害を加える理由なんて無いのよ」


何だか微妙に俺とは違うなと思ったが、教えてやる義理も無いので黙っておく事にして話を続けた。


「お前は自分の連れを殺された奴が仲良くしてくれると思ったのかよ?」


「あれは・・・・・ご免なさい・・・私ずっと一人だったから・・・・・初めて同族を見つけて嬉しくて・・・興奮して我を忘れたって言うか・・・・・元々殺す為の道具だったから・・・・・その・・・本当にご免なさい・・・・・」


「・・・・・はぁ・・・ほんと馬鹿だな俺は・・・・・お人好しなのは日本人の性なのかね・・・・・おい、ちょっと離れてな」


今にも泣きそうな声で訴え続ける女の子を邪険に扱うなんて出来る筈も無く、警戒しつつシャッターを開けると、スカートの前を握り俯いて赤い眼を更に赤くした彼女が上目遣いで此方を見ていた。


「・・・・・何泣きそうな顔してんだよお前・・・はぁ・・・しょうがねぇなぁ・・・・・まぁ入りな、座って話でもしようぜ」


「・・・ゆ、許してくれるの?」


「・・・まぁ実際怪我もしなかったし、十分反省してるみたいだしな。でも信用した訳じゃないから、そこは勘違いするなよ」


俺はガレージの中に詰まれた木箱の中からコンロを出し、お茶の用意をしながらベッドを指差し座るように言った。


「今お茶を入れるからそっちに座わんな」


「・・・うぅ・・・・・やっぱり許してくれないのね・・・・・」


「はぁ?何でそうなる?座って話をしようって言っただろ」


「・・・・・だって・・・ご主人様は奥様によくベッドで御仕置きしてて・・・・・奥様が『もう許して』って言ってもご主人様は止めなかったし・・・・・」


「ブッ!人聞きの悪い事言うな!俺はそんな性癖持ってねぇよ!・・・・・はぁ・・・何もしやしねぇよ、お茶飲みながら話をするだけだから心配すんな」


彼女がのそのそと歩いて警戒しつつベッドに座り、此方をちらちらと見てきた。

俺は取り敢えず彼女の言うご主人様の事を聞いてみる事に。


「お前のご主人様ってどんな奴だったんだ?どうして亡くなった?」


「ご主人様は貴方と会った山の周辺を治めてた人で、私を使って襲って来る人を沢山殺してたわ」


あの辺りは王家の直轄地で東の王国まではかなり距離が有る筈だ。


「ご主人様はとても強かったけど、家臣に裏切られてあの山の隠し部屋に逃げたんだけど、途中で奥様が怪我をして隠し部屋から動けなくなったの」


ハビラ王国の歴史は国中回っていた時に結構聞いたが、やはり覚えが無かった。


「ご主人様は奥様が亡くなられた後、自分の胸をナイフで刺して自害したわ・・・・・あたしを残して・・・その後、私は眠りについて目が覚めた時にはご主人様と奥様の亡骸は無くなっていたわ」


無くなってた?誰かが持ち去ったのか?だとしたら大鎌を持って行かなかったのは変だが・・・・・まぁ取り敢えずは保留だな。


「それで、お前は何で次の主とか作らなかったんだ?別に同族でなくても良かっただろ」


「だって・・・人は直ぐ死ぬじゃない・・・・・何度か襲われた事も有るけどちょっと叩いただけで簡単に死んだわ・・・・・同族なら余程の事がなければ死なないし・・・歳も取らないからずっと一緒に居られるでしょ」


彼女のその台詞に今更ながらに思い知らされた。


俺はとっくの昔に『人』では無くなっていたのだと。


そして俺と彼女は同じ人型でも俺は元『人』で彼女は元『物』なのだと。

彼女は主を失った時と同じ悲しみを味わいたく無いが為に人との交流を拒み、同族を探し、待ち続け、その弊害として彼女は精神的に歪な成長をした子供なのだとそう理解した。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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