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ヌメイラで食料と水の補給をして直ぐに出発。流石に速さにも為れて来たようで、体力的にも余裕が出て移動距離も伸びてきた。

ヌメイラから二日後に領境に到着。商業ギルドの登録証と領主からの依頼表のお陰で問題なく通して貰えた。


「そう言えば冒険者ギルドから貰ったニールの通行証、セドムに返しに行かないといけないわね。この依頼が終わった後、アバタ領南部の穀倉地帯に有るゲベルって交易都市に行って、塩を売って小麦粉を買って王都に戻るつもりだから途中で寄りましょ」


(おお、中々手堅い選択だな。アラバ塩湖周辺は作物が育ちにくいし王都なら需要も有るしな)


奴が追って来ている可能性を考慮して補給以外で町や村には寄らずに移動し、四日後にはツォアルに到着した。


(お~伯爵様の領都だけ有って確りした造りだな)


領都ツォアルは、高さ7~8mは有る石造りの防壁に囲まれた街だった。

街から少し離れた所でデフォルトのスクーターに戻り門へと向かう。

門番に依頼票を見せると直ぐに領主館に行く様にと言われ、領主から通達が出されていたであろう事が伺えた。


「何か順調すぎてちょっと怖いわね・・・・・まぁいざとなったら国境越えちゃいましょ」


目抜き通りを真っ直ぐ南に向かい、中央広場を西に向かうと鉄の柵に囲まれた御屋敷が見えて来た。

屋敷の門番に小包と依頼票を渡して受け取りのサインを貰う様に頼み、暫く待っていると領主様が直接礼を言いたいから中に入る様に言われたが、貴族に対する振る舞いを知らないからと遠慮すると、領主様が門の所までやって来たのでリサは慌ててその場に跪いた。


「そなたがこれを届けてくれた商人か。良くぞ間に合わせてくれた、感謝する。此度の功績に報いたいのだが、何が良い?遠慮なく言うが良いぞ」


「・・・・・いえ、特に何も・・・報酬はギルドから戴きますし、あたしは仕事をしただけですから・・・・・」


「ふむ・・・・・では借りにしておこう。何時でも取り立てに来るが良い」


領主様はそう言うと屋敷に戻って行った。

屋敷の扉が閉まるとリサは立ち上がり門番から受け取りのサインが入った依頼票を受け取った後、商業ギルドへ向かい報酬を受け取り、補給をしてから街を出た。


「あ~何かすんごい緊張した・・・・・あんたの事聞かれたり取られるんじゃないかってドキドキしたわ」


(俺はお前がとんでもない事要求するんじゃないかってひやひやしたよ)


「・・・・・でも、喜んで貰えたみたいだし良かったわ。こんな依頼ならまた受けても良いかもね」


(そうだな・・・配送業ってのも悪くないか・・・・・まぁ暫くは旅商人やりながら良い依頼が有ったら受けりゃ良いだろ)


街道を南へ向かって直走る。

二日目には周囲に畑が見え始め、三日目には見渡す限りの畑が続き、五日目には交易都市ゲベルが見えて来た。


「大きいわね~・・・・・あたしもゲベルは初めて来たけど王都と同じ位じゃない?」


(領地にこんなでかい都市抱えてるなんて、あの領主王家への影響力かなり大きいよな・・・・・何時でも取り立てに来いなんて大物過ぎだろ・・・・・にしても、この都市でも手に入らない物って何だったんだろ?)


交易都市ゲベルは二重の防壁と堀に囲まれた二万人規模の都市で、東と南の王国との交易拠点でハビラ王国最大の穀倉地帯を抱える都市だった。

まぁ、二方向を他国に囲まれているから当然守備兵が多い訳で・・・・・門に着く前に何度も止められ、中に入る為の列に並んでいたら詰め所に連れて行かれやたら調べられた・・・・・主に俺が。

 

「まぁ良いだろう、ギルド証も本物だしな。だが、面倒だけは起こさないように!」


「解ってるわよ、怒鳴らなくても良いじゃない。ニール、行くわよ」


街に入った俺達は取り敢えず塩を売りに商業ギルドへ向かった。


「まさか王都のギルド本部より大きいとは思わなかったわ・・・・・」


流石交易都市と言った感じの建物は王都の物より縦横が1.5倍程も有って、裏の厩には大型の馬車が何台も並んでいた。

リサは俺を止めると中に入って行き、暫くすると職員を連れて戻って来たので俺は三輪になると職員が驚きの声を上げたが、リサがこう言う魔道具だと説明し、訝しげな表情を浮かべる職員とリサがリアボックスの中から塩を取り出して行き中へと戻って行った。


(あいつ大丈夫かね・・・・・足元見られたり言い値で売ったりしてないだろうな・・・・・)


暫くすると商談を終えたのかリサと職員が戻って来た。


「ニール、後ろ空けて頂戴。どれだけ入るか試してみたいのよ」


(ああ、そう言や小物入れって範囲を超えてたよな・・・・・容量書いてないし試した方が良いか)


俺がリアボックスを開けると職員が小麦粉の入った袋を次々と入れて行く。

十袋・・・二十袋と入れた所でリサが職員を止めた。


「そこまでよ、それ以上は買い取れないわ」


(え・・・こんなに買い取れるってお前塩を幾らで売ったんだよ・・・・・)


「では此処から先はギルドからの依頼で王都の本部に運んで戴けますか?そうですね・・・・・一袋に付き大銅貨一枚で五十袋、合計銀貨五枚でどうです?」


「ん~どうしようかしら・・・・・ああ、こうしましょ、もしも王都まで十五日以内に着いたら銀貨八枚、間に合わなかったら五枚で良いわ」


「なっ!王都まで十五日だって!?そんなの無理に決まってる!間に合うと言うなら銀貨十枚、大銀貨を出そうじゃないか!」


「それじゃ商談成立って事で良いわね?明日から十五日で依頼票作って頂戴ね。後は小麦粉も入れちゃってね、流石に明日の朝から搬入に時間取られたく無いからさ」


「・・・・・良いでしょう。おい、私は書類を用意して来るから搬入を済ませて置く様に」


そう言って職員が中に戻って行くと他の職員の手によって次々と小麦粉の入った袋が入れられて行った。


「・・・ゴクリ・・・ほ、本当に入りやがった・・・どうなってんだこいつ・・・・・」


(うん、俺も驚いたわ・・・マジでどうなってんだ俺?・・・・・あれか、所謂収納魔法とかインベントリとかそんな感じか?)


小麦粉を全て入れ終わる頃には職員が戻って来てリサに書類を渡していた。


「それじゃ、あたしは宿屋に行くから。ニール、明日から頼むわね」


(あいつセドムに寄るって事忘れてんじゃないだろうな・・・・・)


去っていくリサの背中を眺めながらそんな事を思いつつも夜が更けて行くのであった。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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