097.爺、偉い方と話すのじゃっ!
玉座のような椅子に納まっておる方は辺りの様子に溜息を吐き告げる。
「どうやら示さねば分らぬようだな」っとのぅ。
何をっと思っておつたらの、徐に立ち上がり儂の前へと。
辺りの者達が驚き息を呑む。
そんな中で…いきなり儂の前にて跪き頭を垂れたのじゃ…な、なにをしておるのじゃ?
あまりのことに唖然とした儂は驚き慌ててのぅ。
「な、なにをなされますのじゃっ!
儂なんぞに、そのようなことをっ!」
貴人に触れて良いのかも分からぬゆえに、あわあわしてしもうたわえ。
そんな儂への、頭を垂れつつ応えがの。
「ナリサラ教はザイルーン教の下級教の1つに御座りまする。
その教皇である余の立ち位置はザイルーン教司祭と同等。
そしてユウ様はザイルーン教の大神たるナルサリューン神のお孫神たる女神アルスラーナ様より寵愛を賜りし方。
主筋の大教の主神筋に認められし御方に対し礼を尽くすのは当然でございます。
皆も確と自覚するようにっ!」
貴人が大声にて告げるとじゃっ!この場に居た全ての者が跪き始めて…止めてくれぬかえっ!儂のライフは…
「いやいや、儂のような若造には過ぎたることじゃてのぅ。
お立ち下さらぬかえ?」
身に触れるのに戸惑ったのじゃがの、こうなっては埒が明かぬゆえにのぅ、貴人たる教皇様を支えるように立ち上がさせることにのぅ。
するとの、にやりっと笑ってウインクなんぞを…確信犯かえ?食えぬお方のようじゃてのぅ、ふぅ。
ただのぅ…
「何故に儂が教皇座へ座らねばならぬのじゃえ?」
そう、儂は教皇殿に誘われるようにして教皇が座しておった玉座のごとき教皇座へとのぅ。
「余より上位の御方を迎えし時の当然たる処遇ですな。
いやぁ、余も教皇たる前のことを久し振りに思い出して新鮮ですわい」
そう告げて笑っておるのじゃがの、大丈夫なのかえ、これ。
なにやらシスター・アンジェリン殿の立場も儂の従者と言うことで向上しとるようでのぅ。
当然のように上座へと位置を譲られ戸惑っておるわえ。
いや、あまりのことに動転し、緊張にて真っ蒼な顔にて震えておるのぅ。
なにやら気の毒になってしまうわえ。
「あのですじゃ、儂は別にザイルーン教の信者と言うわけではないんですがのぅ。
教会に属しておるわけでもないのですわい。
その儂がの、このような場にて貴人が座す席へ納まる謂われはないのですがのぅ」
困惑して告げるのじゃがのぅ、教皇様はニコニコして取り合わぬようでの。
「なんの、そのような些細なことは神々の長一族が1人であらせられる女神アルスラーナ様より寵愛を賜ったことに比べれは些細なことです。
今、寵愛を賜られた祝いの席を用意させておりますゆえ、席が用意できますまでしばしお待ちを。
旅から戻られた宮廷調理師のグランシェフであるラセヨツラ氏を招いて宴席料理を誂えるように取り計らっておりますぞ。
ただ…弟子が来てからとのことで、いまお弟子様を探しておりましてな。
その者が来しだい宴席料理に取り掛かっていただける段となっておりまする。
ラセヨツラ氏が造る宮廷料理を存分に楽しんでいただきたい。
氏が造る料理は格別ですので、このような宴には最高でござりますぞ」
そんなことをの。
いやぁ~それは絶対に調理不可能っと言うことではなかろうか?
じゃってのぅ、弟子たる儂が持て成される者としてここにて座しておるのじゃぞぃ。
無理ゲーっと言うものじゃろうでのぅ。
いや、全く関係ないはなしなのじゃがの、無理ゲーで思い出したことがのぅ。
昔懐かしき家族ゲームと言うゲーム機にてシューティングゲームをしておった時のことじゃった。
地形が岩石砂漠と言う設定なのか黄色でのぅ。
儂の機が撃つ弾も敵が撃つ弾も黄色…背景と弾が同化したようにて見え辛いどころの話ではのぅ…
そんな無理ゲーにて苦戦しておる儂を見て友人が告げるのじゃよ。
「大丈夫、こっちの弾も保護色!」っとのぅ。
おお、確かに儂の機が撃つ弾も背景に同化して保護色ゆえ、敵に対しても…んっ?
敵機はゲームプログラムにて対戦ではないわけで…「んな、わけ、あるかぁぁぁぁいっ!」っと。
思わず突っ込んだところにて撃墜されてしもうたわえ、何すんなら…っと言うことをの。
そんな全く関係ないことが脳裏にの。
いや現実逃避と言わんでくれぬかのぅ、自覚はあるゆえにの。
ここに黙って座しておっても後々が恐いゆえにのぅ…
「あのですじゃ」
「なんでございましょうや」っとニコヤカに受ける教皇様への。
「ラセヨツラ師匠の言われておられる弟子とやらは儂のことと思いますぞい。
ですのでのぅ、儂がここに居る限りは調理が進まぬことになりますまいか?」
そう告げるとの、この場に居られる方々がキョトンっとのぅ。
そんな彼らへアンジェリン殿がの。
「ユウ様はラセヨツラ様、セルフィス様、ゼルフト様、ゼルダ様、ダリル様、カンム様より教えを賜っておられますわ。
教義につきましては、不肖私より言上もうしあげさせていただいている次第でございます」
アンジェリン殿が告げると、皆が唖然とのぅ。
いやの。
「押し掛け弟子ならぬ押し掛け師匠達でしてのぅ…儂の取り合いにて揉めることもありますのじゃ。
なんとかなりませぬかのぅ」
思わず愚痴ってしもうたわえ。
っと言うかのぅ、儂が厨房に赴かねば先に進みそうにないゆえにな、シスターに案内させて移動したぞい。
後はアンジェリン殿、よろしくのぅ。
咎めるような目で見ても儂にはどうすることもできぬゆえに頼んだわい。
しかし…儂を持て成し祝う宴席料理をの、何故に儂が造らねばならぬのじゃえ?
解せぬぅっ!




