008.爺、仰天じゃっ!
「1つ尋ねたいのじゃがのぅ」
「何でしょうか?」
声をかけると女神殿が不思議そうに首を傾げなさる。
「いやのぅ、昔に3Dフィギュアを作成した際のデータがヴァルジェに残っておった筈なのじゃよ。
旅先で貸衣装を纏った姿を撮った代物なのじゃが、それを取り込むことは可能かえ?」
そう尋ねるとのぅ、女神殿が何やら操作して確認しておるぞえ。
「どうやらヴァルジェを装着してログインされたようですわね。
ヴァルジェとリンク状態となっておりますわ。
この状態でしたら取り込み可能と思われますけれど…取り込まれますか?」
「そうじゃのぅ、取り込めるならば取り込んだ方が楽に作成できるじゃろうが…
ふむ、アバター作成とやらは頻繁に行えるのかのぅ?」
何度もお気楽に行えるならば気にする必要もなかろうてのぅ。
「いえいえ、頻繁には厳しいですわね。
1人が保持できるアバターは1つだけですの。
作り直しは可能ですけれど…その際には育てたアバターを消し去って1からアバターを育て直す必要がございます。
それを考えますと、再度アバターを造る方は稀ですわね。
まぁ、どうしても行き詰ったような場合にアバターを消して造り直す方もおられはします。
ですが基本的には推奨しませんわ」
ふぅむぅ、時間をかけて育てたアバターを消失してまで再度造る気にはなるまていのぅ。
そう考えるとじゃ、今のアバター作成は稀有と言うことじゃ。
何度も経験できぬのであれば、色々と行ってみたいのぅ。
「例えばじゃ、基本アバターで色々と試した後でヴァルジェよりデータを得ることは可能かのぅ?」
「えっ?できますけれど…どうしてですの?」
天使殿が理解できぬように首を傾げておるぞえ。
「いやのぅ、折角アバター作成が行えるのじゃ。
色々と見てみるのも面白いと思えてのぅ」
そう告げると天使殿が呆れたように儂を見て告げる。
「良いですけれど…普通は面倒臭がって行われませんわねぇ。
ですが、色々と造ったシステムを活用していただけるのはクリエーター冥利につきるでしょうね。
ならばクリエーターに代わってお願いいたしますわ」
そう告げて、にっこりっとのぅ。
そう言う話ならば、色々と突いてみるかのぅ。
今の儂と同じ姿のアバターが儂の前に浮いているそうな。
いやのぅ、鏡もないゆえに、儂の姿が今どのようになっておるのなどわからぬからのぅ。
とりあえずは目の前のアバターを弄ってみようと作成メニューに目をやるとじゃ、男と女という項目がのぅ。
これは一体、なんじゃろか?
不思議に思って触ってみるとじゃ!
タマヒュンどころか、玉の…玉の感覚がぁっ!
驚いたわぇ、長年連れ添った相棒が消え去ってしもうたわえ!?
それに…胸が思いぞぇ!なんじゃぁぁっこりぁぁぁっ!
っと、どうやら女子になってしもうたようじゃっ!
ビックリじゃよっ!