079.爺、狩りは続くよ、何処までも…嫌じゃっ!
う~むぅ…何が不味かったのであろ?
次に見付けた鳥竜種の群れを討伐したのじゃがな、弓矢の使用を禁じられてしもうたのじゃ。
いや、単に用意した矢を複数同時に射りつつ、次々に番えて放ち続けただけなのじゃが…はて?
「弓矢の鍛練ではなく刀術の修練を行えと申しておる。
誰が弓矢で無双しろと言っておる?」
いや、そがぁに不機嫌にならぬでも…はい。
どうもダリル様はは複数の敵と接近戦を所望されておるご様子でな、儂的にはリスクが高ぅて嫌なのじゃが…駄目かのぅ、ふぅ。
完全に飛び道具は禁止されてしもうたゆえ、次に見付けた獲物は単身にて突撃せねばならぬように。
いや、それならばのぅ、身体強化を…えっ?駄目?さいですかい、はぁぁぁっ…
なれば、できるだけ弱い敵が良いのじゃがの。
って、ヨッシャァァァッ!
現れたのはコボルトの群れじゃ!あれならば容易く狩れるわえ。
じゃがのぅ、昨日もコボルトを狩ったばかりじゃというのに、また群れと出会うてしもうたぞぃ。
この近辺にコボルトが生息しておる話しは聞いてはおらぬゆえ、他所から流れて来たのであろうが…いったい何が起こっておるのじゃ?
まぁ、コボルトていどであればのぅ、まったく苦戦なんぞせぬでも討伐可能じゃてな。
次々に切り捨てて討伐完了しゃてのぅ、向かって来るのよりも怯えて逃げるのを逃さぬように討伐する方が苦労したわえ。
しかしのぅ…
「確かにコボルトが現れるか…黒狼といい、この辺りでは見掛けぬと言われておる魔獣や魔物であるが…」
儂が思っておったことをの、ダリル様が呟くようにな。
そう、変なのじゃよ。
鳥竜種は、たまに現れはするらしいでな、それほど珍しいと言うわけでものぅ。
じゃがのぅ、魔物や魔獣が頻繁に彷徨く地ではないとの話しじゃったが、こう容易く出会うておるとのぅ。
しかも黒狼は森林地帯でもお目にかからぬ種であったと記憶しておるぞい。
では、どこから?
そんなことを考えつつコボルトの始末をな。
解体して素材を得た後は、魔術を用いて地を穿ち埋めてしもうたわえ。
この地にとっては良い肥料となるであろうよ。
その後とは村の結界外を沿うように移動して行ったわけなのじゃがの、しばらくは普通の兎や狐や鼬なんぞの小動物や小鳥なんぞしかのぅ。
猪や野豚、野牛なんぞにも出逢うたがな、食材は十分に足りておるで相手せずに進ぞい。
なにせ移動距離が長いでのぅ、一々相手しておったら日が暮れるでな。
村を出た頃は容易く魔獣や魔物に遭遇したと言うに、獣の類としか遭遇せぬようになってしもうたわえ。
こちら方面には居らぬやもしれぬのぅ。
そう思いはしたのじゃがな、今から引き返す方が無駄じゃてのぅ。
そう思いつつ移動しておるとじゃ、何やら不穏な気配がな。
「ダリル様!」
「ううむぅ、これは…」
ダリル様も察せられたようじゃな。
これは結構厄介な雰囲気を纏った生き物の気配じゃて。
その気配方向には鳥や獣の気配が感ぜられぬわい。
ふむ、そちらに居る生き物の気配を感じとって逃げ去っておるのじゃろうてのぅ。
ダリル様と頷きおうてから、そちらへと歩みをの。
いやはや…これだけ遠くにて姿が視認できるのかや。
巨人?そう言うても良いであろうがのぅ、オーガのような鬼族ではないようじゃぞ。
じがのぅ、3m以上の背丈を誇る人型の生き物がのぅ。
狩った獣の毛皮を身に纏い、倒木を棍棒代わりに携えておる。
肌は暗緑色にて青緑色の頭髪をな。
足は短めじゃが腕は長い、そしてはち切れんばかりの筋肉が盛り上がっておる。
猫背にて歩むでな、その顔は見えぬが…どう見ても知性が宿っておるようにはのぅ。
棍棒代わりの倒木は右手に持っておるが、左手には何かを斃して得た生肉を持っておってな、それを口元に運びつつ歩んでおるわい。
巨大な蛮族…いや、原人とでも言えば良いのかえ?
「なにゆえ、このような場所に『オーグ』が?」
そうダリル様が言葉を漏らされる。
オーグ?話しには聞いたことがあるがのぅ、確か…あれは、ここより遥か北の地にて生息しておる巨大種であった筈。
そんな物が、なんでこんな場所におるのじゃっ!?
「あれは、中々に面白きかな」っと笑うダリル様。
いやいや、ちと待てぇいっ!
「面白きではないですじゃっ!
アレが本当にオーグじゃったら、かなりヤバイ生き物ですぞっ!
中隊以上の兵力にてあたって勝てるやどうか…って、ダリル様!」
儂の言葉を無視して、嬉々として走り出すダリル様。
この戦闘狂めがっ!
放ってもおけぬゆえ、儂も後へと続くことにのぅ。
本当に、ほん、とう、にぃぃぃっ、難儀なことじゃてっ!




