064.爺、森を抜けたぞぇっ!
昨夜っと言うか今朝になるのじゃろか?熊の魔獣に宿営地が襲われたゆえに叩き起こされたわけじゃがのぅ。
寝る前に「魔獣の襲撃に遭わねば良いのじゃが」などと考えねば良かったわえ。
良く考えたらの、あれは良く言われるフラグと言うヤツに違いないわえ。
なにせ、ここはリアルではなく環境シミュレーターとは言えゲーム世界ゆえにのぅ。
お約束的なことが発生することもありえるでな。
いや、ありえるのかえ?
ともかくじゃっ!今後は迂闊なことを考えるのは避けた方が無難じゃろうてな。
そんなことを思いつつ馬車にて読書中な儂であったぞぃ。
しかしのぅ、森林地帯では獣や魔獣、魔物の襲撃なんぞはあったのじゃが、食材に薬材だけでのうて様々な素材の宝庫でもあったわえ。
宿営地へと逗留する間に何度か森の中へ分け入り採取などをのぅ。
そこら辺はゼルダ婆様とラセヨツラ様に指導されながらじゃが、セルフィス様にも魔術関連の素材などもな。
ゼルフト様に鍛冶に関する薬材についても教えて貰うたわえ。
焼き入れ時に浸ける液体を特殊な薬材を使用した代物にすることで効果がのぅ。
シスター・アンジェリン殿も薬材には詳しいようじゃが、ゼルダ婆様には敵わぬようで悔しがっておったわい。
そんな彼女は儂の従者じゃと言い張って同行するゆえにのぅ。
そんな儂らが森へと分け入るわけでな、護衛にダリル様だけではと言うことで騎士も数人ほど同行しておったわえ。
残った騎士達は野営の準備に追われることにのぅ。
っと言ってもじゃ、調理場は儂が小箱へ仕舞うとるコンテナを展開するだけで良いでな、野営用にテントなんぞを設営するだけじゃがな。
いや、あれはテントと言うよりは天幕じゃがの。
夜間は火を絶やさぬように篝火を焚いて周囲を警戒せねばならぬゆえ、その準備なんぞも行っておったわえ。
ま、短時間とは言え森での採取にて様々な代物を得てのぅ、空間拡張した袋へと収納しまくったぞぇ。
大半の食材はのぅ、その日の内か次の日の朝に調理してしもうたがな。
色々とあったが、数日とは言え濃い日々じゃったわえ。
そんな思い入れが深くなった森林地帯ともお別れじゃな。
今しがた、街道が森の外へとのぅ。
うむ、森林地帯を抜けたようじゃて。
森林地帯を抜けた先は岩がゴロゴロと転がる岩石地帯であったわえ。
いや、下生えの草々を鑑みるに草原とも言えるのかえ?
草原地帯に無数の巨大岩石が転がると言い表したら良いのじゃろうが…なんと呼べば良いのじゃ、これ?
ま、なにはともあれ、そのような場所に出たようでのぅ。
巨岩を避けるように街道が続くゆえに、今までと違うて道はクネって真っ直ぐとはのぅ。
昼食は森の中で終えており、午後の遅い時刻に森を抜けておるぞい。
途中に何箇所か村や町が存在しておるのだとか。
良質な草々が生えておるゆえに牧畜が盛んな地域なのじゃとか。
一応は岩石を除去して造られた畑なんぞも存在はしておるらしいわえ。
ただのぅ、開墾が困難ゆえ、あまり大きな畑はのぅ。
ゆえに皇都方面より穀物なんぞを運んで来ておるそうな。
逆に乳製品や肉類なんぞは、こちらより皇都へとのぅ。
ふむ、この地の特産品もありそうじゃてな。
っ!っとなればっ!ラセヨツラ様の調理修行が苛烈になるやも…い~やぁ~!
して、夕日が沈む直前っと言った時間にな、森林地帯へ一番近い村へとのぅ。
宿屋が数軒ほど存在しており、儂らは一番大きな宿へとな。
まぁ、皇都へと続く街道沿いに設けられた村ゆえに、立ち寄る旅人も多いでなぁ。
そのためか宿もシッカリしており、サービスも行き届いておるわい。
各部屋へシャワールームが設けられておるのは当然としてじゃ、なんと大浴場も完備しておるのじゃとか。
近場に熱泉が湧く場があってな、そこより熱泉を引いておるそうな。
それを埋めてから湯船へとのぅ、まぁ熱泉から熱湯を引いておる間に随分と冷めるゆえ、そう埋めぬでも良いらしいがのぅ。
じゃがの、マナより生み出すお湯ではなく天然温水、しかも温泉じゃぞっ!
この世界でも温泉は中々に贅沢とのことでな、今すぐにでも入りに…
「御一緒しましょうか?」
いや、シスター・アンジェリン殿?何を?でも…折角じゃから…
いやいや、若者たる者の葛藤が…ぬっ?リアルでは爺?既に死んでおるゆえにノーカンじゃわい。
っとは、駄目かえ?
などと考えておるとじゃ。
「何をしておるのじゃ?調理に取り掛かるぞい」っとドナドナ再び。
あ~れぇ~、温泉~…
はい、産地直産たる品々を使用しての調理を行いましたぞい。
郷土料理なんぞをメインに色々と叩き込まれましたわい。
うむぅ、確かに美味かったですがのぅ…食べ終えて食休みしたらの、鍛冶仕事をのぅ。
村の鍛冶場にて色々と…
村の鍛冶師達からは手伝って貰えて助かると大層喜ばれたが、何でじゃっ!
当然のように待ち構えるダリル様に鍛練を受けさせられた後、ようよう温泉へとのぅ。
快楽、快楽、溶けてしまいそうじゃぞい。
ようやく温泉にて一息吐いておるとじゃ。
『猪股様、今、よろしいですか?』っとな。
なんで、今じゃぁぁぁっ!




