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059.爺、治療は終わりで良いのかのぅ?

「本当にありがとうございました」っと感謝し続け跪いておる少年を立たせる。

彼の両親と妹にも感謝をのぅ、くすぐったい限りじゃが…


「いやなに、儂は祈っておったに過ぎぬわえ。

 全て女神様のお力じゃてのぅ」


そう告げたら謙遜する慈悲深き者として崇められてしもうた。なぜに?

ほんに儂は魔力と氣を練っておったに過ぎず、それを媒体として奇跡を起こしたのは女神様なのじゃがのぅ。


逆に言えば奇跡を行使するために利用されたとも言えるわえ。

ま、儂も少年を救いたかったわけじゃし、別段構わんがのぅ。

それに高位存在たる神に逆らえぬでのぅ…


何時の間にか夕日も沈み夜となっておった。

他の怪我人を心配しておった儂へシスターが告げて来るぞい。


「他の怪我人も全て完治しておられますわ。

 女神様の奇跡が村全体に及びまして、怪我人どころか病人さえ癒されたそうです。

 この村の名であるイトラにて『イトラの奇跡』と呼ばれることとなるでしょうね。


 ユウ様の御名は語り継がれることとなるのですわ」


ウットリとした表情にて、そのようなことを曰うシスター。

いや、そんな小っ恥ずかしいことは止めて欲しいのじゃが…無理かのぅ、ふぅ。

なにせ村に留まる全ての者達へと影響したことゆえ、既にこのことは広まってしもうとるそうな。


実に面倒なことになったものよのぅ。

日も暮れたゆえ、お礼を告げる少年宅を辞し皆の下へと戻るぞえ。


儂らは無事じゃった宿屋を接収して、その宿屋にて留まっておる。

これは皇国にて貴賓たる宮廷魔術師のセルフィス様、宮廷調理師ラセヨツラ様に宝級鍛冶師たるゼルフト様の名にて行われたようじゃ。


いや、お三方のことを知った領主が宿を押さえて、こちらへ遣いを寄越したと言うのが実際の話しではあるのじゃがの。

同行者に武神ダリル様と大魔女であるゼルダ婆様も居ることが知られ騒ぎになったのは別の話しじゃて。


っと言ってものぅ、騎士達や教官達も含め全員が忙しく立ち回っておったでな、宿には寝に戻ておった程度じゃて。

そんな宿へと戻った儂はの、戻ると同時にラセヨツラ様に捕まってしもうたわえ。

そう、夕食の支度じゃてのぅ。


儂の従者となったシスターは少年とその家族を連れて教会へと戻っておる。

彼女はのぅ、儂へとかしづかんばかりじゃったゆえ、儂に調理させようとするのを見たら目を剥いたことじゃろうて。

何故ゆえにか儂の信望者みたいになっとるでのぅ、厄介な同行者が増えたものじゃてのぅ。


夕食を作り終え食そうとしておるとシスターが宿を訪ねて来たわえ。

既に彼女の同行はダリル様とセルフィス様が承諾しておる。

それは皆へと周知済みじゃてな、直ぐに通されて食堂へと現れたぞい。


夕餉はこちらにて振舞う旨は伝えてあったでな、結構急いでこちらへと向かって来たとみえるわえ。

行き絶え絶えっと言った感じでな、疲れ果ててしもうとるではないか。

そがぁに急がんでも良かろうにのぅ。


呆れながら彼女が給仕に案内されて席へと納まるのを待つ。

そして…


「村の危急に色々と立ち回っていただき感謝いたします。

 この村の領主として感謝の念が絶えませぬ。


 今宵は慰労にて料理を振舞う筈だったのですが…本当に、これらの料理をユウ様が?」


困惑したような顔で儂を見て告げる領主殿。

ううむぅ、何故か儂が主賓扱いになっておってな、儂を含む皆を慰労する感じじゃったわけじゃがのぅ。

その主賓たる儂が振舞われる料理を作ってしもうたわけじゃ。


そりゃ慰労する側からしたら困惑しかないわな。


「ふぉほほほっ、それも修行の1つですですからなぁ」


儂と共に席へと収まったラセヨツラ様が楽しげにな。

いや、アナタのせいで、ややっこしくなっておるのですが?困ったものじゃて。


その後は晩餐を終えてから就寝へと。

皆はまだ起きておるようなのじゃが、流石に儂は限界じゃて。

では、お休みじゃっ!zzzz

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