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041.爺、ポエマー、なのかえ?

2頭立ての馬車が隊列を組み街道を進んで行くぞい。

まぁ、その馬車の1つに儂も搭乗しておるわけじゃがのぅ。

同行しておる馬車の内の2台は旅に使用する品などが搭載されておるそうじゃ。


儂が造った空間拡張魔術陣を刻んだ魔導具みたいな品は世に出回っておらぬ。

そしての、このゲームにはアイテムボックスやインベントリーなどというゲームお約束的な便利機能などないのじゃよ。


魔術陣としての理論は以前から確立はされておったのじゃ。

ただのぅ、複数属性の魔力を同時と言って良いタイミングで魔術陣へ流さねばならぬ制約がのぅ。

それを経て、初めて魔術陣が起動できるゆえ、世に空間拡張の魔術陣はほとんど普及しておらぬそうな。


それでも数個ほどが世に存在しておるらしいのじゃがの、手提げ鞄ていどの入れ物の容量を倍以下にするのが精々らしかったわえ。

じがの、儂には…そんなの関係ねぇっ!じゃっ!


なにせ全属性持ちじゃからの。

さらにじゃ、晶石へ全属性を付与し、それを砕いて粉にしてから混ぜ込んだ金属より紡ぎし金属糸。

それにて織りだした布で造った鞄なんぞは空間拡張機能増大に優れておるからのぅ。

むろん、全属性晶石粉を混ぜ込んだ合金で造った合板なんぞを使用した品も同様じゃてな。


まぁ、この試みに成功したのはサコン殿が帰郷した後ゆえにサコン殿は知らぬがのぅ。

サコン殿経由にてプレイヤーなどに知られたら大騒ぎになっておったことじゃろうて。

いやの…皇都では現に大騒ぎになったそうな。

教官殿達が抑えてくれたそうゆえに、儂への影響はなかったが…なにやら大変じゃったらしいわえ。


まぁ、儂しか造れぬオーパーツ的な機能ゆえ、(おおや)けにはしておらぬのじゃ。

そういうことでの、旅に必要な品々は空間拡張された代物へは入れられずに馬車へ積んでおる。

人数が多いゆえ、そのような品々を運専用馬車が2台用意されておるそうな。


しかしのぅ、振動が激しい馬車じゃわい。

一応は板バネにて振動を抑えておるとのことなのじゃがの、同乗者達の体が跳ねておるわえ。

んっ?儂かえ?儂はの、衣服や鎧が衝撃を吸収分散させるゆえ、例え振動を受けても大丈夫じゃ。

じゃがの、魔術陣を縫い込んだ座布団が全てを解決しよるでのぅ。


んっ?どのような機能かじゃと?

なに、簡単なことじゃて、儂と座布団の間に隙間ができるように儂を浮かせておるだけじゃてのう。

まぁ摩擦などもなくなるゆえに、座布団の上へと儂を座標固定する機能も合わせて刻んでおるぞい。

ゆえにのぅ、儂は気楽に馬車の旅を楽しんでおるわえ。


そんな儂へ同乗しておるセルフィス様がの。

「さてユウよ、お主から借り受けておる袋へと蔵書を色々と入れて来たでな、読んでみるが良い」

そう告げ、以前に貸した軽量化と空間拡張の魔術陣が刻まれた袋から本を取り出し儂へと渡してくる。


この世界ではな、ある程度の製紙技術は発達しておるのじゃ。

ゆえに庶民でも本を購入することは可能じゃぞい。

じゃがのぅ、魔術書などの専門書は流石に高価じゃてのぅ。


いや、そもそも市販されてはおらぬゆえ、なかなかお目にかからぬのが実態だて。

それでもセルフィス様クラスの魔術師ともなれば様々な蔵書をのう。

以前にも色々と拝見させて(もろ)うてはおるのじゃが、知らぬことが載っておる書物へ目を通すことができるのはありがたいことじゃてのう。


儂はセルフィス様が渡した本を受け取りページを開くが…思わず眉を顰めてしもうたわえ。

そんな儂を見ておったゼルダ婆様がのぅ、杖でセルフィス様の頭を小突き告げる。


「ぬしゃぁ、何を小僧へ読ませておるのじゃ。

 せめて古代魔術帝国の書物ならばまだしも、神代の神字にて書かれた書物など読める筈がなかろうが?」っと。


ああ、これは、そのような代物であったのかえ。

いや実はのぅ、儂は知らぬ言語も習わぬでも操れるみたいなのじゃ。

一種のバグではないかと思うちょるのじゃが…


そう言うことでの、渡された書物も読めるわけなのじゃが…


「いや、ゼルダ様…一応は読めるのですがの、なにせ書いてある内容がですのぅ」っと、告げるとじゃ。

「ひょっ!読めると申すか!?して、やはり難解たる内容かえ?」っとな。


その問い掛けに儂は困ってしもうたわえ。

仕方なきゆえ、応えるわけじゃが…


「それがですの、日記と言うか…ポエム帳と言うような代物でしてなぁ。

 これは個人のプライバシーに関する品であるゆえ、いかに故人の品と言えど読んで良いものか…

 まぁ、儂としては、あまり読みたいとは思えぬ品ですわい」


むず痒いっと言うかの、背中を掻き毟りたくなるような文言の羅列がのぅ…

趣味が悪過ぎじゃっ!

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