039.爺、いよいよ旅立ちかえ、あ、行きそびれてしもうたぁっ!
なにゆえに文句を言われたのか首を捻ったものじゃがの、結局は便利じゃと言うことで問題はないようじゃな。
いや、ならなんで文句言われたし?
なんでもの、「いいぞ、もっとやれっ!」っと言うことであったのぅ、はて?
でな、足らぬ物はなかったようなのじゃが…「足りないどころか過剰でしょ」っとキャサリン嬢に呆れられてしもうたわえ、解せぬぅっ!
まぁ旅の準備としては問題ないようでな、検査は無事に終わったぞい。
で、のぅ。その検査中に、つい愚痴がのぅ…
「3ヶ月しか通っておらぬに放り出されるのかえ。
まだまだ未熟な身であるに酷い話じゃて」っとのぅ。
したらの「ユウさん…これだけの代物を造っておいて、それを言うのですか?」っとジェロウ教官に呆れられてしもうたわえ。
いや、納得できぬでの、つい言うてしもうたわえ。
「もう半年、いや、3ヶ月も通えればのぅ、こんな設備毎にバラバラに造らぬでも良い力量になっておったじゃろうよ。
そうなれば小屋程度の設備も小箱へと収めて運べるようになったじゃろうのぅ。
そうさのぅ、半年以上あれば施設レベルでも可能であったやもしれぬ。
そう考えたらのぅ…」
そう応えたら呆れられてしもうたわえ、なぜに?
魔術教練所での荷物検査を終えた儂は生産教練所へと向かうぞい。
そこで思い付くまま、様々な設備箱をのぅ。
よくよく考えてみればじゃ、足らぬ物が多いこと、多いこと。
いやの、洗面所にシステムキッチン付きの厨房施設じゃろ、食堂もじゃしリビングなんぞも必要じゃろう。
じゃが儂が居るところは何処じゃ?生産教練所の生産施設であろ?ならば、早々に気付くべきじゃったわえ。
そうっ!生産設備を準備するのを忘れておったのじゃっ!
なんと言うことじゃっ!
慌てて用意したわえ、鍛冶設備に錬金設備、調薬設備に皮革設備などなど、粗方造り終えたら朝方になってしもうたぞい。
ふぅい、徹夜かえ、今までも何度かしておることじゃがの、旅立つ直前に行うこととなろうとはのぅ…
まぁ幸いなことに、この肉体は若いアバターゆえにな、この程度ではビクともせぬからのぅ。
ま、眠いのは眠いのじゃが…
荷物は検査した後、そのまま持ち込んでおるで問題はないのじゃがの、結局は預かり屋へ行きそびれてしもうたわえ。
まぁ、引き出さぬでも金銭的余裕はあるで良いか。
少しでも旅先にて贅沢できたらなどと思うてしもうたが、考えてみたら卒業試験の旅ゆえに、そのような暇もないかもしれぬわい。
そのように納得しつつ教練所の生産設備にて使用した設備などを片付け清掃をの。
それを終えて宿舎へと戻り朝食じゃ。
日課の散歩が行えなんだが、ま、仕方あるまいて。
食べ終えた儂は集合場所である門扉前へと移動するのじゃった。




