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032.爺、旅の準備、いやバイトじゃわえ。

卒業試験として晶石産地を巡る旅へと出掛けることと決まった儂は旅の準備を行うことにとのぅ。

とは言え、流石に今日は無理じゃてな。

バイトも入っておるし、移民管理局へ旅立ちを報告せねばならぬわえ。


宿舎も出ることとなるゆえに、その対応もあるじゃろうて。

流石に村から持ち込んだ荷物を持っての旅は無理であろうからな、荷を預かり所へ預けねばなるまいて。


そうそう、国の都合にて晶石産地巡りを行うゆえに預かり所の代金は旅より戻るまで国が肩代わりしてくれるそうな。

こちらに来て購入した家財などもあったゆえ、預け賃が如何ほどになるかと戦々恐々しておったのじゃが助かったわい。


儂は魔術教練所を辞し、先ずは宿舎へと戻ることにの。

管理人には既に連絡が届いておったようでのぅ、卒業試験の晶石産地巡りへ旅立つことへの祝いを告げられたわい。


まぁ、教練所を無事に卒業へと漕ぎ着けておるゆえの祝いの言葉ゆえ、素直に礼を告げたのじゃがのぅ…

卒業試験にて旅とは…未だに釈然とせぬのじゃんが?


宿舎への宿泊は旅から帰って来てからも行えるそうなのじゃがの、流石に部屋は別の者へと貸し出されるそうな。

ゆえに旅から帰って来たら別の部屋が宛てがわれるんじゃと。

やはり荷物は預かり所へと預けるしかなさそうじゃのぅ。


儂は部屋へと戻ると預かり所へと預けるための荷を纏め始める。

っと言っても独り身の仮屋住まいゆえ、荷はそれほど多くはないがのぅ。

纏めた荷物は持つことは可能なのじゃが、皇都へ来た当初の儂では持てぬ重量へとのぅ。


じゃがほんに師匠から借り受けた空間拡張袋は、ほんに便利じゃわえ。

ただ重量軽減の魔方陣までは付与されておらぬゆえ、重量が変わらぬのが難点かのぅ。


ふふふ、じゃがの、今の儂ならば楽勝で持てるのじゃよ。

荷に重力軽減の魔術を施し、身に身体強化の魔術を纏う。

さらにじゃ、氣を心身に巡らせ肉体強化を施すとのぅ、荷は発泡スチロールでできた擬似物ごとき軽さへとな。


片手どころか小指でも持てそうじゃわい、ま、バランス崩して落とすのが関の山ゆえやらぬがな。


儂は荷造りを終えた荷を持って預かり所へと向かう。

預かり所へは既に話が通っておるようでな、すんなりと手続きを終えたわえ。

買った寝具類も預けたゆえ、今日から数日は宿舎備品の寝具を借り受けることとなるぞぇ。


荷を預けた儂はバイト先へとの。

店へ辿り着いた儂は店長へ晶石産地巡りの旅へ出ることとなったことを伝える。


「そうですか…卒業試験のために晶石産地巡りの旅をねぇ…

 正直、君に抜けられると痛いのですが、そうも言えないですからなぁ。

 で、以前からお願いしていましたけれど…」


ああ、まだ諦めておらなんだのかえ?

店長から教練所の卒業後に、ここへ就職せぬかとの打診をのぅ。

いや、儂はそれても良いのじゃが…


「恐らくは無理でしょうな。

 今日も魔術教練所の鍛練室にて儂の処遇を巡って言い争っておってのぅ。

 あちらにて、まだ揉めておる状態ゆえ、儂の一存では…」


ほんに困ったことじゃわえ。

店長も流石に、あそこで揉めている連中が誰なのかを知り諦めたようじゃて。

肩を落とす店長を尻目に仕事へ入ることにな。


今ではサブとしてチーフを補助しつつメイン料理なども手掛けておるのじゃが。

この店は1階は喫茶なのじゃが2階はレストラン、3階は高級レストランとなっておるのじゃ。

はじめは喫茶部門の見習いであったのじゃがの、今では全階の料理を手が空いたら行う嵌めに。


なんで、こうなったし?

まぁの、給金は良いゆえに不満はないのじゃが…店一番の高給取りとなっておるが、なにか?

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