022.爺、学科適性検査かえ?
魔術教練所の職員に連れられて待合室から出て廊下を進む。
迎えに来たのはグラマラスな美女じゃったわえ。
ウエーブのかかったロング・ブロンドベアを無造作に流しておるのう。
サファイアブルーの大きな瞳と大きな睫毛が特徴的じゃが、恐らくは付け睫毛じゃろうてのぅ。
あんなに長い睫毛など有得んわいっ!
ピンクルージュを引いた唇はヌメヌメと光、淫靡な感じでのぅ…
整った顔なのに思わず唇に目が行きそうにのぅ。
それだけでも大概なのじゃが、白衣の下が袖なしの肩出しミニワンピースとでも呼べは良いのかのぅ…
白い肌に黒く露出の多い衣服を纏い、白衣を引っ掛けておる形じゃて。
入室して来た時は白衣を腕に引っ掛けるように持っていたでな、下の衣服が丸見えじゃったのじゃがのぅ、それが白衣で軽く隠されることで逆に…
むむ、困ったことじゃて。
ハイヒールをカッカッと響かせつつ先導してくれとるのじゃが、何気に目のやり場にのぅ…
入室して来た時にな。
「お待たせしましたかしら?
これより適性検査室へ移動して検査を行います。
では着いて来てください」
入るなり告げて白衣を纏うと部屋を出よったわい。
儂が応答する間もなく移動し始めるゆえ、慌てて後を追う嵌めになったわえ。
そして、無言で進む彼女の後を追って廊下を移動しておるところなのじゃがのぅ…白衣に隠れておるとはいえ、グラマラスな肢体が白衣に透けて見えてのう。
うむ、なんとも煽情的で困ってしまうわい。
眼福、眼福っとな。
そんな嬉し恥かし道行も長くは続かなくてな、検査室とやらに着いてしもうたわえ。
もう少し移動しても良いんじゃよ?
「着きましたわ。
ここで学科に対する適性検査を行います。
室内には様々な検査機器が置いてあります。
精密機器が多いので、勝手に触らないように気を付けてください。
破損した場合の弁償代など個人負担で賄えない単位となりますので」
それは恐いのぅ…ただでさえ保持金は少ないと言うのに借金でも抱えてはやって行けぬわえ。
なので重々しく頷いて了承したぞえ。
彼女も軽く頷き検査室へとの、儂も直ぐ後に続いたわえ。
室内は検査機器が雑然と置かれており、先導される通りに動かねば危うい感じじゃった。
いや、高価な精密機器を置いちょるのなら、もう少し整理して欲しいものじゃてのぅ。
彼女の先導にて検査室の一角へと導かれる。
「そこの椅子へ座っていただけますか?」
そう指示されてな、言われたように椅子へとのぅ。
儂が椅子へと収まるとじゃ、彼女が儂へと告げる。
「では検査を始めましょうか」っとのぅ。
じゃがの、儂が彼女に口を挟むことにのぅ。
「済まぬがのぅ、まずは自己紹介などさせて貰えぬかえ?
儂はユウ・ノイマと言う者じゃ。
昨日、ドムドント村より皇都へと来てのぅ、難民管理局にて魔術適性ありと聞き伺ごうちょるんじゃ」
そう告げると、目をパチクリさせた後で彼女がの。
「あら、自己紹介ですか?
まぁ良いでしょう。
私はキャサリン・グリーグですわ。
皇都下級貴族出身の魔術研究員ですの。
教員達の時間が取れないとのことで臨時で検査に参りましたけれど…
通常は生徒と接することはありませんわね。
まぁ、アナタが研究員などになれば別ですけれど…
さて、まず最初に行う検査ですけれど、晶石との適合検査ですわね。
まぁ、大半の人には適合性など皆無ですので形式的な検査ですけれど、適合者が稀有であるため、いの一番に検査する決まりになっていますわ」
そう告げつつ何やら検査するための端末より機器端末を儂へと接続しておるぞい。
そうじゃのう…心電図などで体に付ける代物のようなと言えば良いのじゃろうか?
ちと形状や付け方が違うが、まぁ同じ感じと言うことでの、そうとしか言い合わせれんのじゃて仕方あるまいてのぅ。
そしてキャサリン嬢が検査機器を起動して検査が始まったわけじゃがの。
「有り得ないわっ!
なんと言う適合率なのよっ!
こんなの聞いたこともないわっ!
しかも付与適性まで出ているじゃないのっ!
これって理論上での話で実際に適合者が現れたこともないって聞いているわよっ!
どう言うことなのっ!アナタ、何者っ!」っと詰め寄られてしもうたわぇ。
いや、何者っと言われてものぅ…
儂は頬を人差し指でポリポリと掻きつつ。
「いや、何者と言われてものぅ…
さきほど告げたようにドムドント村出身の元農民じゃてのぅ」
そうとしかのぅ。
まぁ加えるならばトラインを始めたプレイヤーなのじゃが、流石にそれを告げるのものぅ。
困ったことじゃて。




