表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/147

001.爺、廉価VRを知る!

ううむ、補聴器の具合が悪いのか良く聞こえんのぅ・・・

眼鏡も合わぬようになったのか良く見えぬ。

歳は取りたくないものじゃてのぅ。


会社を定年退職して久しい我が暮らしじゃが、老人1人暮らしにてなんとか生きておる。

蓄えは少ない故に贅沢はできぬが、老人ゆえに食も細り食費も昔よりは掛からぬでな。


まぁ、そのぶん治療費などの出費は若い頃よりは増えてはおる。

じゃが行政の補助にて生きて行くには苦労はせぬな。


以前に発生した世界規模の流感にて多くの高齢者が亡くなったことがのぅ。

少子化と言われていた原因の1つに高齢者の増大があった訳じゃが、高齢者の多くが亡くなったゆえに解消されたと言っても過言ではなかろうて。

まぁ、今の働き盛りの者達が老齢化した頃には以前と同じとなろうが、その時には儂は生きておらぬでな。


あの流感にて高齢者が減ったゆえにか老人に対する行政のケアが厚くなったのは良いことじゃて。

っと言ってものぅ、なんとか生き残った老人のみが、その恩恵を受けれておるわけじゃがな。


あの時は儂も何度か生死を彷徨ったものじゃて。

なんとか生き残ったゆえに、老人1人でも生きて行ける時代を生きておる。

独身貴族などと言われておったが、男1人にてこの歳まですごすこととなるとはのぅ。


体も以前のようには動かぬようになったゆえに、散歩程度にしか外出ものぅ。

最近はテレビの音も聞き取り難く、映像も良く見えぬ始末じゃて。

それでもテレビくらいしか暇を潰す術ものぅ。


そんな聞き取り難いテレビの音にて聞き取った内容に興味をな。

それはバーチャルリアリティと言われる技術の話じゃったのじゃよ。


バーチャルリアリティ…そう、VRと言われる技術は遥か昔に実現した技術ではあったのじゃ。

じゃがのぅ、当時は個人的に所有などは夢のまた夢。

漸く個人所有が、などという話になった時の値が数千万でタンクベッドタイプでのぅ。

とてもではないが庶民が手を出せる値ではなかったわい。


定年を迎えた後の老人には無理と言うことで諦めたわい。

その後も値は下がり、数百万、数十万クラスにまでなったのは知ってはおったが…

まさか数万レベルで買えるようになっておるとは思わなんだでな。


その番組にて紹介されていた最新のVR機器は3万円台とのことじゃ。

今の時代、ネット環境はテレビ送受信に付属しておるでな、ネット環境は全ての家庭にほぼ普及しておる。

つまり、機器を買ってくればVR可能とのことじゃった。


何時もは、この手の情報番組は見ぬので知らなかったのじゃが、たまたまチャンネルを間違えてのぅ。

補聴器の調子が悪ぅて補聴器を調べている間に番組が変わってしもうたようなのじゃよ。

全く気付かなんだわい。

そしてのぅ、なんとか補聴器の調子を戻しての、ふと画面をみるとな、この特集じゃった訳じゃよ。


ううむぅ…5万までならば虎の子の金で出せる範囲じゃが…当分は節制が必要かのぅ。

じゃが、テレビを見るのも苦労しておる昨今、肉体の状態に左右されぬVRには惹かれるのぅ。

番組の情報では頭部に巻くヘアバンドのような代物にて脳波との遣り取りを行うのじゃとか。


以前は眼鏡と首輪のようなコントローラーを装着して端末接続しておったらしい。

それが昨今ではヘアバンドタイプが主流なのじゃとか。


ううむぅ、儂が最後に知った頃には大仰なヘルメットタイプじゃったのじゃがのぅ。

時代は代わるものじゃて。


しかし仮想空間の概念自体が1995年にはあったという紹介には驚いたのぅ。

なんでもアメリカSF作家であるJ・P・Hという作家様が仮想○間計画という小説を出していたそうな。

そんな昔からVRという概念がのぅ…軽いカルチャーショックじゃったわい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ