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出会い②

入学式が終った後、連絡事項と自己紹介のために再び教室に集められた新入生一同は先生が教室に入ってくるまでの少しの時間にこれから学校を過ごすグループの枠となるものを形成し始めていた。

勿論それは少年も例外ではない。少年は近くの席にいた頭の良さそうな子に声をかけていた。

「僕、外山。外山涼。これからよろしく。」

少年、外山涼が声をかけたのは体の線は大して太くなくだが極端に痩せ細ってるわけでもない。そんな普通の容姿だが、どことなく頭の良さが伺える進学校にはありふれた子だった。

「あぁよろしく。僕、佐竹尊。こちらこそ、これからよろしく。」

お互いに自己紹介を終えた二人は先生が入ってくるまでの間入学式の話で盛り上がっていた。

周りを見渡すと周りも入学式の話が不思議と多いように涼は感じた。

そのため涼は少し切り口を変えて尊に話題を振ってみる。

「やっぱり他の人も入学式の話が多いみたいだね。」

「そりゃそうだよ。やっぱり話題の共通点は柊谷さんだと僕は思うよ。」

(やっぱり)

涼はこれから増えるであろうライバル達の思春期特有の恋愛に対する勉強や部活を遥かに上回るやる気に呆れながらも、自分もその一人であることを自覚しそれが周りにバレないように気を付けるようにした。

それでいつつも少しでも柊谷滴に近づこうとするのはやはり涼も一人の高校生だということだろう。

「あぁ綺麗な人だったものね。」

涼はあまり興味があると認識されないように言葉を選びながら会話する。

「やっぱり美人さんはモテるんだね。しかも男女問わず。」

それなりの進学校であるので工業系や農業系の学校と違って男女の人数が片寄ることはないのにそれでも普通に座っていてもこれだけ話が聞こえてくる辺り彼女の美しさが高校生離れしてるのが分かる。

「すまない。待たせた。」

教室のドアを開けて担任の先生が入ってきた。その時の音が引き金になって周りの会話がピシャリと止む。

「まずは入学式お疲れ様。これからの学校生活を始める上での連絡事項を伝える。」

先生は坦々と落ち着いた様子で連絡事項を伝える。その様子は入学式前と大差なかった。

だが完全に事務的な訳ではなく所々注意点を入れる辺りやっぱり先生なんだなと涼は思った。

「以上で連絡事項は終わりだ。次に自己紹介を始めてもらおうか。出身校と入りたい部活、趣味、特技。これらを押さえて発表してくれ。それじゃあ出席番号順で頼む。」

こうして始まった自己紹介が終わる頃には既にグループは枠組みではなくしっかりとしたものになっていくのを涼は感じた。

どうやら尊は自身の雰囲気と合いそうないかにもな人間達と一緒になるようだ。

尊は口には出さないものの何となく察する程度には涼は空気が読めた。

自己紹介を終えた後は、各々下校なり学校探索に出かけるようだ。

「涼はこれからどうする?」

尊から話を振られた涼は恐らくこれは遊びの誘いに繋がるだろうなと思った。

だが残念ながら涼には遊びよりも気になることがあった。

「これから図書室見に行こうと思うんだ。これからお世話になるところだし。」

涼は昔から本が好きだった。決して多くは読まないがそれでも一週間に二冊程度は読むほどの立派な読書家だった。

「図書室?本好きなの?」

尊の問いに答える涼。

「うん。それが目当てでここに入ったぐらいだし。ここの蔵書数は県下一位だからね。」

「そっか。それじゃあ明日辺り用事がなかったら放課後遊びに誘うよ。」

「うん。その時はよろしくね。それじゃあお先に。お疲れ様。」

こうして尊と別れた涼はそのまま真っ直ぐ図書室に向かった。一年生の教室は一階にあるお陰で別館にある図書室には渡り通路からすぐに行けるようになっている。

幸いにも学校の開始と共に図書室も開いてることは今日、先生が言っていたので逸る気持ちに従って急いで図書室の扉の前まで来た。

図書室に入る扉は大きく扉ガラスから見える部屋は本の蔵書の多さを実感させるには充分な広さを誇っていた。

その時涼の目には人の集団が入り込んだ。

何やらその集団は一心不乱に本を読み、パソコンを打ち時にペンを走らせている。

元からあまり気が大きくない涼はその光景に少し怯えながらもゆっくりと図書室の扉を開いた。

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