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序章
始めての投稿です。
更新はおそいですが、予定は三部作となっております。
夜遅くに雪が降っていたと記憶している。祖母が長く続く陣痛の波が収まった頃、一度家が気になるからとタクシーで帰ってしまって、
私の母は一人とても心許なかったと思う。
もしかしたら泣いていたかもしれない。
病室で、痛みと寂しさと悔しさできっと泣いていたと思う。
あの人は、決して人前で泣かない人だから。
そんな風にして君は生まれたんだよ。
一晩中母を苦しませ、規格外の四〇〇〇グラムをはるかに超えて。
明け方。この世にただ一つ、私と同じ血を引く存在。
私を地上につなぎ止める鎖。
きっとそのために、天は私に君を遣わせたんだと感じています。
―弟よ。君は私が姉で良かったですか?