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ゆきばな  作者: ハデス
2/14

プロローグ

 ――その桜には、伝説がある。


 もう、ずっとずっと……何十年も何百年も花を咲かせることのないその桜。

 それでも、八年に一度。

 雪が舞う中で、たった一日だけ。

 心の底から通じ合った恋人同士だけが、咲き誇る桜を見ることができるのだと言う。


 そんな話を、彼女から聞いた。


「それで……その桜を見ると何かいいことでもあるのか?」

「ううん、別に」

「つまんねえの。何か願いがひとつでもかなうとか……せめてテストの山でも当たるとか、そういう特典はないわけ?」

「……あのね」

「そもそもさ……そんなことあるわけねえじゃん」

 そうやって返した俺に。

「そうだけどさー」

 彼女は少し頬を膨らませてから――

「でもさ」

 と、微笑んで。


「……本当だとしたら、ちょっと夢があっていいと思わない?」


 桜の木の下には死体が埋まっているとか。

 桜の花びらは、あの世への入り口だとか。

 そういう話よりも、ずっといいと思うよ?


「――そうかあ?」

「そうだよ」


 そう言われれば、そうかもしれないと思った。

 確かに、悪くはないと思った。 


「いつか……一緒に見られるといいね?」


 ――そう言って、また微笑んだ彼女に。

 俺は、なんと答えたのだろう。

 どんな返事を返したのだろう。

 もう、思い出せない。

 記憶は、そこで止まるから。

 その先は、覚えていないから。


 彼女は、もういない。

 一条琴海(いちじょうことみ)

 風になびく、ながい黒髪。無邪気だった、その笑顔。

 大好きだった恋人。

 俺が、本当に大好きだった彼女は、もうこの世界のどこにもいない……。


 今回の作品は、それほど怪異描写はありません。前作「むらさきひめ」と多少リンクする予定ですが、未読でも問題ないようにいたします。ちょっとしたお遊びの様な感じにいたします。

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