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Star Dust-Drop-  作者: 鳥海水瀬
.1-はじまりの朝-
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-はじまりの朝-3

初めて見るギルドの中。

見た事のない機械や大きなボードが辺りにたくさんあり、食事もできる休憩場もあってと建物の中は外から見るのとは全然違い人の多さも比べ物にならないくらい多く、賑わうギルドを見ていると誰かを探しているピンク髪のお姉さんと目が合った。

そのお姉さんは手に持った二枚の写真と俺達を交互に見て見つけたと言わんばかりの笑顔になって俺達の方へと走ってくる。

「やっと見つけたー!君達が今日から入るって言われているアオイ・シャルムーンさんとジュン・クロスフォード君だね?」

「あ、はい!」

「…そうです」

勢いに押されて少し後ずさりしてしまう。

「そうかそうか。ようこそ!ギルド、アラルトルーフェへ!私はあなた達の担当になったユミル。ユミル・セシリアよ。ギルドに入った以上はどんな立場の人達でも関係なく、みんな同じだからね。分からない事とか出てきたら受付けにいる人や私達先輩に訊いてね」

左手を背中に隠して右手を胸に軽く添えて優しく微笑み、綺麗なお辞儀で俺達を迎えてくれた。

挿絵(By みてみん)

「んじゃ早速、最初のギルド登録から行こうか。この登録カードに名前を記入してもらおうかな」

手招きで連れられ受付けまで行くとカードを渡された。

そのカードを受け取ると登録用の機械で文字を打ち、名前や住所を記入していった。

「できたかな?次にそのカードを持って向こうの布がついてる所で写真を撮るよ。変顔とかする人がたまにいるけどちゃんと撮るんだよ~?」

くすくすと笑いながら次の写真を撮る所まで俺達を連れて行く。

布を捲り、中に入ると椅子とカメラとモニターが備えつけられていてカードを機械に差し込むとモニターが撮影に変わった。

狭いスペースを背景に、モニターには自分の顔が映る。

(写真を撮るというのはやっぱり慣れないなぁ)

モニターに光るボタンが浮かび上がり、分からないまま取り敢えずボタンを押してみた。

「撮影を始めます。3・2・1」

機械がカウントを始め、慌てて姿勢を正す。

カウントを終えるとカシャっという撮影音が聞こえ、撮影が終わると機械から自動的にカードが出てきた。

俺の後に入ったアオイも写真を撮り終えて機械を隠す布から出てくる。

「これが依頼を受ける時に受付けに渡すカードになるから絶対に無くさないようにね。無くした場合は作り直さないといけないってのもあるけど悪用されないように登録変更したり手間もかかってと大きな罰金になるから気をつけてね」

「罰金っていくらくらいかかったりするんですか…?」

「ん~?それは無くしてからのお楽しみだね!あとは…と、ジュン君は武器って持ち運びに邪魔~とか思ったりする?」

「武器ですか?邪魔…ではないですけど双剣なので多少、動きにくかったりはします」

「ふむふむ。なら、自分の意志で消したり出したりできると便利とは思ったりしない?」

「そんな事ができるんですか?」

「それができちゃうんですよ。こっちにおいでおいで~」

またまたユミルさんに連れられて違う機械の所に向かって歩き始める。

辿り着いた機械の前に来ると、さっきまで使っていたものとの大きさが全然違った。

「よし、この台にその双剣の片方を置いてみて」

言われるままに大きな台に剣を置くと、機械はその剣のデータを読み取るように端から端までスキャンしていく。

「次に今置いた剣を持つ方の手をこの手形に置いてみてくれるかな」

指示された所に右手を置くと剣と同じようにスキャンされていった。

スキャンを終え、大きな台に顔を向けると、そこに置いていたはずの剣が消えていた。

「……え!?」

機械の周りを探しても俺の大事な剣は見当たらなかった。

「あはは、面白い反応だね。無くなったりはしてないから大丈夫だよ」

「無くなってないんでしたら、俺の剣は何処に行ったんですか?」

「右手を出してみて。そして念じるのよ。剣よ出て来~いってね」

半信半疑ながらも右手を出して念じてみる。

ただ念じただけだったのに一瞬で剣の形を形成し、右手に現れた事に驚いて剣を落としかけてしまった。

「おわっ…!」

「とまぁ、そんな感じで持ち運びは便利になるのよ。消す時も同じように念じるだけで消えるよ。あとはもう一つもだね」

残った方の剣も台に置いて右手と同じ事を左手にもしていく。

「これで一通りの登録は終わったかな。次はギルド員らしく依頼をこなしていくよ。まだ二人は初心者だから簡単な依頼をこなしてもらおうかな」

連れられて行く所は入った時に見たボードが並んでいる所だった。

「このボードに貼ってある紙がギルドへの依頼よ。やりたい仕事が見つかったらこの紙を持って受付けに行くの。その時にさっきのカードを忘れずに」

「わかりました」

一つずつ数ある依頼書に目を通していく。

配達や調達に探し物、お手伝いとたくさんの依頼がこのギルドに集まっていた。

「簡単な仕事はっと…。うん、最初はファーマリーのお手伝いかな?キャットゥールの毛刈りのお手伝いをお願いするね」

差し出された依頼書を受け取る。

「大変だとは思うけど、初仕事頑張ってね!」

「はい、頑張ります」

「が、頑張ります!」

ユミルさんと別れて依頼書とカードを持って受付けへと向かった。

「すみません。これをお願いします」

「はーい。ファーマリーの依頼ですね~。…お二人の登録は終わりました。頑張ってくださいね」

「ありがとうございます~」

初仕事の依頼の所であるファーマリーは俺達の家と同じように山の上に建っている。

家からは見えていただけで行く事なんて出来なかったけど、行けない所に行けるとなると少し嬉しいものだ。

「ファーマリーって私達の家から見えてた所だよね?」

「そうだな」

「あそこには行った事がないから楽しみだな~。でもキャットゥールってどんな生き物なんだろう?」

「んーと、猫のような羊のような…。顔が猫っぽくて体は羊っぽいらしく、この目で見た事はないから良くは分からないけど、意外と可愛い動物らしい」

「猫羊か~…。早くもふもふしたいな~。もふもふ~」

「んじゃ、少し急ぐか」

「うん、走ろう!」

「え!?…はぁ、走るのか」

走り出したアオイの後を追いかけ、ファーマリーに着くまでずっと走り続けた。



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