-大きな捜し物-3
遅めの昼食を食べ終え、これからどうするかを考える。
「これからどうしようか?何かもう決めていたりする?」
「んー?特に決めてないな~。何か無いか観に行ってみるか?」
良さげな依頼が無いか、端から端までボードに目を通す。
だけど今日はこれといって良いモノは見当たらない。
ふとギルドボードに顔を向けると依頼書が数枚貼られているのが見えた。
足を向かわせ依頼書を読んでみる。
皇帝からの依頼も貼ってあったけど、書いてある内容は今の俺達には難しそうだった。
もう少し簡単そうなのを探していると人捜しについての内容を見つけた。
『方向音痴の十七才の息子が独り、リジェモーレに行くと言って家を飛び出してから帰って来ません。ゼロと言う名前です。黒の長いマフラーに大きな鎌を持ち歩いているはずです。誰か捜してもらえませんか…お願いします…』
「迷子…か」
依頼書を読んでいるといつの間にかナツキ達が後ろに立っていて驚いた。
「…リジェモーレと言えばここからずっと北にある鉱山の街だよね。行くまでに看板もあるし、道に沿って歩いていればよっぽどな事が無い限り迷わないと思うんだけど…」
「方向音痴、だからな。タンザリーファに行ってしまえば捜すのは大変になるだろう」
「でも、大変な事になる前に捜しに行かないと!」
「だな」
ハルトとナツキの顔を見ると頷いてくれた。
ハルトは仕方ないって顔をしていたけど。
登録を済ませ、出かける準備をしてから帝都外へと向かった。
リジェモーレがあるのはアルーナウェントから最北東端。
ナツキが言っていたように真っ直ぐ道に沿って歩いて行けば道に迷う事は無い。
普通は。
途中ですれ違う事が無いように周りをしっかり捜しつつ橋を三つ越え、リジェモーレへと向かった。
鉱山の街、リジェモーレ。
レンガで作られた建物が均等に並んで建っていた。
ここの鉱山では宝石の原石が多く採れる為、他では無い宝石のアクセサリーを売っている店が多い。
高い宝石を買い求めて貴族の女性で賑わっている店もあった。
街を歩いている地元の人を見つけ、黒の長いマフラーに大鎌を持った少年について訊いて回ってみても知らないと同じ言葉しか返ってこなかった。
まだ訊いてない人に訊いてもやっぱり同じ言葉しか貰えず、タンザリーファの方へ迷い込んだのかと考えていた。
だけど諦めかけてた時につるはしを持った一人のお兄さんが見かけた事を教えてくれた。
『街の奥にあるグレスタン鉱山の中』
何をしに行ったのかは分からなかったけど、ちゃんとこの街に辿り着いているというのが分かって一安心だ。
『中は蟻の巣みたいに迷路になってるから気をつけた方が良いぞ。奥に行けば魔物の棲処があるからな』
注意事項も教えてもらい、お礼をしてから急ぐようにグレスタン鉱山へと走って向かった。