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Star Dust-Drop-  作者: 鳥海水瀬
.2-二つの出会い-
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-二つの出会い-3

依頼も早く終わってギルドに戻り、もう一つ依頼を受けようかと思いボードを見つめる。

ふと横を見ると普段貼られる事が無かった赤いボードに依頼が貼ってあるのを見つけた。

赤いボードはギルド側からの依頼が殆どだ。

どんなものがあるのかと思い見てみると森林調査だった。

詳しい内容はルコルトの森でいかにも怪しい集団を目撃した人がいたらしい。

だけど怖くなって直ぐに逃げ出したからそれが何者なのか分からず、その怪しい集団を違う誰かが調べに行くという事。

少し気になりその依頼書を手にして観ているとアオイが紙を覗き込んで観ていた。

「依頼書をじっと見つめてどうしたの?……森林調査?行ってみる?」

「ん?ああ、少し気になってな。……行ってみるか?」

咄嗟に言ってしまったがアオイは行きたそうに頷いていた。

引き返す事もできず、やると決めたのは良いが何故か胸騒ぎが止まらない。

何かが起こりそうな気がする。

「危険だと思ったら引き返すんだぞ」

(……何事も無ければ良いが)

不安ながらも受付けに依頼を渡す。

ついさっきだが既に二人がルコルトの森に向かって行ったらしい。

これは四人以上の依頼だから向こうで待っているって事だろう。

待たせ続けるのも悪いと思い、急いでルコルトの森に向かった。

ルコルトの森はアルーナウェントから南東の方向にある。

道中、ログウェンとドグアを何匹も倒しながら走り、森へと入って行った。


ルコルトの森の通路には少し泥濘ができていた。

泥濘に足を取られながらも奥へと進む。

魔物に出会う事も無く通路にはみ出た枝をはね避けながら順調に進んで行く。

何事も無く辿り着けるかと思っていると目の前を六本の足を持つ虫が走るように横切って行くのが見えた。

「あ……」

小さく声を漏らすと急にアオイは立ち止まった。

足音が聞こえなくなり、歩く足を止めて振り返るとアオイは顔を引きつって固まっていた。

どうしたかと訊いても口をパクパク動かしているだけで何があったのか分からない。

声をかけながら顔の前で手をひらひらしていると突然、俺達の上にある木の枝が揺れ始めた。

風かと思っていたけど揺れ方がかなり不自然だった。

念の為に武器を構える。

葉を擦り合わせるように大きな音を立てると黒い塊が糸を垂らしながら木の枝から勢いよく落ちて来た。

「ひぃ…っ!!」

目の前に現れたのはアラネアだった。

アオイの大嫌いな蜘蛛だ。

「やっぱり……。蜘蛛だけは嫌ぁぁぁぁぁ!」

「おい!それ以上そっちに行くな!」

手を伸ばしても遅すぎた。

半泣きになりながら来た道を戻って行こうとするアオイだったけど、別のアラネアが目の前に現れてしまって硬直していた。

額に手を当て溜め息を吐いたあと、急いで目の前のアラネアを倒した勢いでアオイの元へ駆け寄り、ブラブラ揺れているだけのアラネアを吹っ飛ばす。

再び硬直したままのアオイの顔の前で声をかけながら手をひらひらさせた。

「…あ!ごめん」

「大丈夫ならいいさ。アラネアが出てもさっきみたいに離れるなよ?」

小さく頷き、またアラネアが出てこないかとビクビクしながら俺の背中の服を掴んで歩く。

(無意識ながらも可愛い事をしてくれる…)

安心する事にあれからアラネアは出て来なかった。


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