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オバール人達の地球  作者: 赤屋根
第一章 スナメリ
4/8

サヌドゥークが姿を消した後も、緊張の糸はとけなかった。

いつまた再びサヌドゥークが姿を現すか分からない。

そんな俺の心配をよそに、フロンはギンモクの木と焚火の間で、死んだように眠りこけた。


翌朝、日が完全に昇りきってから、安全地帯キャンプに向けて出発した。

フロンは、肩を貸してやれば自力で歩ける程に回復していた。

「どこに行くの?」

「俺の住んでる安全地帯キャンプだよ」

聞いてくるフロンに、そう答える。

「人間達の、住む処」

一瞬考えるような表情をし、そう言い放つ。

「あぁ」


フロンは楽しそうだった。

安全地帯キャンプに着くのを心待ちにしているようでもあった。


道中は順調で、これといった危険に遭遇しなかったにも関わらず、安全地帯キャンプについた時は、日暮れに近かった。


キャンプは、川辺にある。

川辺の、森の毒牙を逃れた平らな土地に、キャンプを囲うようにギンモクの樹が植えられている。

キャンプには監視塔があり、そこにいる見張り番が俺の事を見つけたのだろう。

キャンプから幾人かがこちらに駆け寄ってきた。


駆け寄ってきた人の中には、親しい友人の姿もある。

みなそろって、安堵と険しさの両方をその顔に浮かべている。

さぞかし心配をかけただろう。


「おい、無事だったのか」

「心配したんだぜ、もう生きてねえと思ってたよ」

「悪かったよ、心配かけて」

俺の無事を見て取ると、皆の関心はフロンへと移った。

「お前、どうしたんだよこの女」

「森で倒れてたんだ、帰る安全地帯キャンプがないって言うからつれてきた」

フロンは自分をまじまじと見つめてくる人間達に、曖昧に微笑みかえした。

「天使みてえだ」

誰かががそう言った。

俺の肩に腕を回しているために、フロンの顔はすぐそばにある。

光のとざされた森から出て、初めてフロンの顔をみる。

天使と呼ばれた少女は、確かにそう形容されるにふさわしかった。

ただし、天使の顔には疲れが浮かび、頬や額は泥で汚れている。


「どけ、通してくれ」

フロンを見ようと群がってくる人間達をかき分け、とりあえずキャンプを目指す事にした。



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