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gloria  作者: ユズリ
彼と彼女の出会いのお話
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彼と彼女の出会いのお話 4

◆◇◆◇◆◇



 生き埋めになりかけたがロットーに無事助けられたフィニアは、助けられて書庫の外に出たついでにおそらく四日ぶりに風呂に入って体を洗う。こんな有様だから妹に嫌われるのだろうが、駄目兄貴のフィニアはそれに気づかず、「あー、さっぱりしたー」とか暢気な笑顔で言いながら風呂から上がって自室に向かっていた。


「そういえばご飯も食べてないな……」


 ちょっとお腹が空いていることに気づき、フィニアは自室のドアを開けながら食べ損なったご飯はどうなるんだろうと考える。が、直ぐに食事のことはどうでもよくなり、彼は部屋にも持ち込んでいた魔術書を手にとって読み始めた。


 しばらく部屋のベッドに寝転がりながら本を読んでいると、ドアがノックされる。


「フィニア王女ー、入っていいですかー」


「んー? ロットーか、入っていいよ」


 今度はちゃんと護衛の声が耳に入り、フィニアはベッドに寝転んだまま返事をする。ロットーはドアを開け、「失礼します」と形式的な挨拶をして室内に足を踏み入れた。


「どうした?」


「いや、最近はもっぱら食事運び係でしたけど、でも俺一応本来は王女様の護衛なんで。側にいないと給料泥棒って怒られちゃうし」


「あぁ、そう。あ、そういえばさっきはありがと。死ぬかと思ったよ」


「いやいや、気にしないでください。つか王女が死んじゃうと俺も失業しちゃうので、出来ればもう本棚に喧嘩売って突っ込むなんて無謀で馬鹿な行動取らないでくださいね」


 ロットーはフィニアに許可とることもなく、そこらの豪華な椅子に腰掛ける。フィニアが「別に本棚に喧嘩売ったわけじゃないんだけど」と不満げな顔で言い本を閉じると、彼はその言葉を普通に無視して「そうそう、さっきマリサナに会ったんです」と話し始めた。


「マリサナ? そういえば最近会ってないな。元気?」


「元気だと思いますよ。っていうか王女、マリサナどころじゃなく陛下たちにさえ最近顔見せてないでしょ」


「あー……そうだな、父さんにも母さんにも会ってないな……」


「地下にひきこもってばかりいるからですよ。両陛下とも心配してましたよ、フィニア王女のこと。俺この前二人に真顔で『あの子は生きてるのか?』とか聞かれましたし。姿見せない王女が心配なんですよ、お二人とも。俺は主に王女の頭の中が心配なんですけど……」


「俺の頭の中はいつでも正常だって」


「引きこもって怪しい魔術書読み漁ってるくせに、堂々とそう返事しちゃうところが不安なんですけど。ま、それはいいとして」


「や、よくなくないか?」


「いいんですよ。よく考えたら王女の頭の中身は正常じゃない状態こそ正常なんだって気もしたので、この話はこれで終わりです」


「おぉ、正常じゃないのに正常ってそれどういうことだ? 裏の裏は表みたいな意味?」


「だから王女、少ない脳みそで難しいこと考えようとしないでください。王女は馬鹿なんですから」


「ば、馬鹿っていうなって。俺結構頭良いと思うんだけど……魔術の研究とかしてるし」


「ぶっちゃけ少ない脳みその考える力全部を魔術の事に使用してますよね、王女って。だから魔術のことに熱中すると周り見えなくなって、ご飯も食べないし寝ないし風呂にも入らなくなるんですよ」


「えぇ、俺の脳みそってそんなに少ないかな。でもお前の言うとおりな気もしてきた……うわーへこむ。グラムでいうとどれくらいなんだろ、俺の脳みそ」


「そうですね、りんご一個分の重さぐらいあれば良いほうじゃないですか?」


「りんご一個の重さってどれくらいだよ。っていうかそれって青りんご?」


「さぁ」


「青りんごか赤いりんごか気になってきたじゃんか、んなことどうでもいいのに」


「どうでもいいってわかってるのに気にしちゃうところが王女らしいですよ。ホント馬鹿」


「うるさい。あぁでも気になる、あとりんご食べたい」


 フィニアが頭を抱えて悩み始めたので、ロットーは話を元に戻そうと「ところでマリサナのことですけど」と言う。フィニアは頭を抱えたまま、「あぁ、うん。なに?」と聞いた。


「コハクちゃんが怒ってたって、そう彼女言ってましたよ」


 ロットーがそう彼女からの伝言を伝えると、フィニアは伝言の内容よりも「ちょっとまて、お前いつの間に俺の妹を『ちゃん』付けで呼ぶようになったんだよ」と、そこが気になったらしくそう問う。ロットーはそれに突っ込まれるとは予想していなかったのか、ちょっと驚いたような様子でフィニアにこう返事を返した。


「いつって……この前コハクちゃんが俺に『あなたホントはマリサナみたいな真面目人間じゃないんだし、無理して様とかで呼ばなくていいですよ』って言ったんで……まぁ、それでちゃんで呼ぶことになりました」


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