怖くない映画
〆切当日に急いで3〜4時間で仕上げたので、こんなクオリティですが、楽しんでいただけたらいいと思います。
注意:見直ししましたが、色々抜けてます(泣)
カラカラカラカラ……
安っぽい昔の映写機の音が館内に響く。スクリーンに映し出されるのはどれもこれも新鮮さのないものばかり。
全部、腰抜けの友達のせいでしかない。
……__……__……
私・竜は、数日前友達の抹呱々(もここ)に映画を見に行こうと誘われた。抹呱々は、ホラーが嫌いなハズなのに、自分から「ホラー映画見に行かない?」と言ってきた。不思議に思いながらも、もう高校生だもんな、と思い直したのだ。そして、今 巷で噂になっている絶対恐怖のホラー映画を見にいける と、胸が踊ったものだ。
……が、しかし今日になって判明したのが、私達が見るのがそのホラー映画では無いということだ。
私は半分不思議ちゃんのような大きなグループのお嬢様に怒りをギリギリで抑えながら、口論をした。しかし、少々ワガママに育ったのか、無い言葉を存分に絞り出され、説得されたというより折れた私は、今 このつまらない映画を見る羽目になっていた。
私の占いが外れることは滅多に無いのに。
私は毎朝日課となっている占いを今日もまた、やったのだった。そこでは、『今までにも、これからにも無い恐怖体験をするでしょう』と出たから更に心が弾んでいた。
でも、一つ引っかかったのは、その恐怖が何処から来るのか何回占っても分からなかったことだ。普段ならぼんやりと未来の事を知れたりするのも朝飯前なのだが……。
でも、私は占いが外れた事が少ないだけに、今回のショックは大きかった。そして、そのショックをカバーするために、ちょっとしたリスクを侵してプライドでカバーすることにした。これからでも、怖いことがあるかも知れない、きっと何かが起こる……私はそう信じた。そうじゃなかった時のショックの大きさを無視して。
しかし、この際そんなことはどうでも良かったのだ。だって、ちゃんと恐怖体験をする事になったのだから。そして、この『怖くない映画』を見る事自体が間違っていたのだ。
そんな世間にも知れ渡る事の無いような映画を、お嬢様の抹呱々がどうして知っていたのかは知らないが、意外にも見に来ていた人が多く、聞く程の事でもないな、と思った。
この映画の題名は『ホラーの迷宮』と言って、それ程怖くないため、子供でも楽しめるのが売りらしかった。短編で、十話構成。それぞれ伏線があり、ある女主人公を中心として、話が繰り広げられていく。
一話目:友達の友達
主人公にその友達Aが、友達Bを紹介する。主人公とAは、大親友だった。しかし、Bが主人公とあまりにも仲良くしている光景を見たAは、Bを殺してしまう。
二話目:鏡の中の自分
主人公の男友達が変な事を言うのだ。「鏡の中の自分と話せる」。そんなバカな話しがあるはずが無い。その友人の家に招かれ、そこで主人公が見せられたもの。それは、本当に鏡の中の自分と話せると言うことだ。
ただ、その特別な鏡じゃないとそうはならないらしいなど、説明を聞いている内にふと鏡の中の友人が笑った。そして、段々と本体を吸収し、鏡の中のそいつは実体を持ってこの世に現れたのだ。
それから、その友人は何処かに行方不明となった。
三話目:消し屋さん、消えたいんだけど
主人公の住む小さな町に、最近出来た都市伝説。町の神社を移り移り移動する消し屋というものがあって、自殺願望者だが、自分で死ぬ勇気が無い人がそれに「消し屋さん、消えたいんだけど」と頼むと存在をこの世から消してくれるんだそうだ。何処に消されるとかじゃなく、魂ごと抹消される。
主人公の知り合いが、数人行方不明に……。
四話目:死のコウモリ
そのコウモリが肩に停まった人が死ぬという。突如、主人公の父が勤める会社の社員半分が原因不明の急死を遂げる。
五話目:シミの付いたメール
ある日主人公は、好きな男子に「最近、誰かに付けられてるんだよ」という相談メールを受ける。励ましてる内に、ふとある時 その男子からメールが途切れる。そして、数十分後……メールが届いた。
文面は「捕まっちったわww」そして、その右下には小さな血のシミがあった。
六話目:黒板
主人公の通う学校の黒板に、乙女チックな噂が流れていた。学校の黒板に、夜誰も居なくなってから何処でもいいから黒板に好きな人と上手くいきますか と書き、午前二時が回るのを待ってから、三時以降に黒板をまた見ると、その結果が書いてあるという……。
七話目:呪いの手紙
主人公のある友人が手紙を受け取った。昔風の字で綴られた手紙と添えられていたメモには、「これを他人の家のポストに、新しい封筒に入れて一日位内に投函しないと、あなたに災難が降りかかります」と書かれていた。
本気にしなかった友人は、次の日亡くなったという。
八話目:青い目の人形
隣の空き家の窓辺にある、青い目の人形には片目が無かった。夜中、「目を頂きに来ました」と訪ねて来るそうなのだが……。
九話目:お前のせいだ。
主人公は、自分の周りで奇怪な出来事が多すぎる事に気付き始めたある日、夢で今まで死んだ知人に「お前のせいだ。」と叫びながら追いかけられる夢を見る。
十話目:摘ままれた心臓
なぜか、これは題名が出ただけで止まってしまった。
話だけ見ていれば、少しは怖いんじゃないかと思われるだろうが、その映画は「ド迫力」をベースにしているらしく、音だけ以上にデカいとか、演技がイマイチクサかったりだとか、残念な要素がたくさんあった。
でも、このくらいじゃないと子供には見られないのかもと思った。
ただ、友人だけは「怖い、怖い」と嘆いていた。
十話目の題名が出た直後、観客はゾロゾロ席を立って行った。
私と抹呱々は顔を見合わせる。
「ねぇ、まだ十話目やってないよね?」
「……ぅん、でも……怖いから見たくないょ……」
「そっか……」
それにしても、観客がはしゃぎ過ぎている。
ロビーに出た当たりで、あるカップル達の不思議な話し声が聞こえた。
「最後のキスシーン、マジヤバぃ~ww」
「オレもあんな風にすればいい?」
「えぇ~、いやぁ、も~♡」
……は?
この人たち何言ってんの⁇
私は聞いてみた。
「キスシーンって、何の話しですか?」
「え、ナニ、このコ~⁇ww」
「君もさっきの映画見てたんでしょ?」
「……はい」
「じゃあ、こっちが『何の話しですか?』って感じだよ。なぁ?」
「そぅそぅ、んじゃネ☆」
だって……。今 見てたのはれっきとしたホラー映画で……。
そう思って薄汚れた映画館を振り返る。
そこにあったのは、さっきまで私達が居た映画館とは打って変わって、綺麗なパステルカラーを取り入れた可愛い映画館だった。
張り紙が落ちている。さっきまで上映されてたものが書いてある。『kiss of love ~真の愛を求めて~』……ベタだ。
……っていうか、何で?
「ねぇ~、竜~。気味悪いから、帰ろぅよぉ」
「抹呱々、どうしてあんな映画のチケット持ってたの⁈」
「え、抹呱々も知らなぃよ⁇ 朝起きたら枕の横に置いてあったから、お母さんか誰かがわざわざ買って来てくれたんだと思ってぇ……」
そんなのおかしい。
そして、それを聞かない抹呱々もおかしい。
「ねぇ、帰ろぅってばぁ!……あ、抹呱々ね、竜に合わせたい友達が居るんだけどね……」……
そうして私達は映画館から出た。
…… ___ …… ___ ……
抹呱々が会わせたいと言っていた子もまた、お金持ちである事には間違いが無かった。
何しろ、抹呱々程ではないが、高級な代物に頭から足の先まで包まれていたから。
そういえば、私の周りはお金持ちが多い。
将来の旦那は有望かもしれない。
その子は私達と同い年で、磨優ちゃんと言った。
名前の通り、凄く優しい子で、すぐ打ち解け、メアドも交換した。
そして その夜、私は抹呱々と磨優ちゃんの二人を相手にメールをしていた。
そして、ふと抹呱々に「磨優ちゃんっていい子だね、凄く仲良くなれそう」っていうメールをすると、その日は返事が返って来なかった。
そしてその数日後、磨優ちゃんが行方不明になった。
……__……__……
金曜日の学校で、男友達に不思議なもの見せてやるから、俺ん家来いよと誘われた。
すると、何処かで見たことあるような鏡を見た。
何処で見たかを思い出せずにいると、友人は喋り始めた。チラッとそちらの方を見ると、友人は口を開けていないのに、声は聞こえるのだ。
恐る恐る鏡を覗くと、鏡の中の友人が喋っていた。友人を振り返るとニコニコしていた。しかし、その体全体が半透明になっている。
危険を察知した私は、友人き引き止めの声を掛けられてもそのまま振り切って外に飛び出し、家に直行した。
その事を抹呱々に電話で話すと、やはりあの映画の事を考えない訳には行かなかった。
……__……__……
そういえば、神社にお参りに六人一緒に行ったクラスメートが、みんな行方不明になったこともあった。
お父さんの会社に、コウモリが住み着いてて困ってるという話しもかなり前に聞いた気がする。
学校の黒板でも、あんな噂があった。誰かバカが、それが本当か確かめようとして、夜中学校に行ってそれもまた行方不明になった。
いつだったか、ここに引っ越す前の家の、隣の家には青い目をした外国製の人形があった。
その日は怖くなって、それ以上考えないようにした。
……__……__……
ピロリン ♪
夜中にメールが届いた。
面倒だと思いながらも、液晶を覗くと 私の想いの人である、渡靄君だった。
胸が高鳴る。
しかし、その文面を見て私は凍りついた。
「最近、誰かに付けられてる気がするんだよな……(苦笑)」
でも、いくらなんでも、そんな偶然は無い。
少しずつあの映画の出来事が現実で起こり始めてる。
いや、もう既に起こっているのもある。
怖い。
だからと言って、渡靄君からのメールに返信しない訳にはいかなかった。
「きっと、気のせいだよ!
でも、あまりにも気になるようだったら、誰かと一緒に帰れば良いんじゃないのかな?」
「ん、そうだよな。悪い、こんな事でメールして。おやすみ」
「おやすみ☆彡」
これで終われ、これで終われ。これで終われ!これで終われ!!
何度もそう願った。
その30分後、また渡靄君からメールが。
「やべ、捕まっちったわww」
そして、その左下に血のようなシミが。
心なしか、そのシミがハートに見えた。
そして、私は泣き崩れた。
……__……__……
そのまた数日後、幼馴染であるクラスメートのゆうに、ある手紙を見せられた。
それが、あの呪いの手紙と全く同じだった。
このままだとゆうも死んじゃう。
私は、ゆうに絶対誰かに回すように懇願した。何度言ったところでゆうは聞き入れることもなく、その上そんな私を馬鹿にした。
だから、私は手紙を奪ってバラバラに破り、火をつけて燃やした。
火を付けたのは私だ。呪うなら私を呪え。
後ろを振り向くと、ゆうの目がどこかおかしかった。
放課後、二人だけになった。
「このままゆうに、何もないと良いんだけど……」
そう言った私に、ゆうの口から信じられない声で信じられない言葉が発せられた。
「「私はお前を許す事は無い」」
ゴロゴロと雷のような声だった。
私は怖くてその場から逃げ出した。
途中、一度だけ振り向いたが、ゆうが追いかけて来る事はなかった。
翌日、ゆうは首を吊って自殺した。
……__……__……
ある日、風呂から上がると母が夕飯に使った食器を洗っていた。
「……ねぇ、最近 あんたの周りで変なこと起き過ぎじゃない?気味が悪いわ」
「……」
カチャカチャ……
カチャカチャ……
皿を洗う音だけが室内にこだまする。
そんなこと、私に聞かれても答えられる訳がない。
「あんたが何かしてるの?ねぇ⁈ 答えなさいよ!」
「……」
……何かしてる?
は?何 言ってんの⁇ そんなわけ無いじゃん。
親なんでしょ⁉ 娘の心配しなきゃいけないところじゃないの?
「やっぱり、あんたなのね……」
だから、違うってば。
「あんたなんか産まなきゃ良かった。あたしのせいでもあるのね……」
そんなこと言わないで……。
生まれて来て良かったと思えることいっぱいあったのに!
そして、母の口からもあの雷のような声が……。
「「お前のせいだ!」」
え?コレって、現実じゃなくて夢の中で見る景色じゃないの?ねぇ!
「「お前を殺したら自分も死ぬ……」」
そして母は包丁を取った。
いつもは切れにくい包丁が、今は鋭利なものに特有の鈍い光を放っている。
逃げなきゃ。
本能がそう言ってる。目の前にいるのは母じゃない。
___ その時、
ガチャガチャ……
鍵の開く音。父が帰ってきたのだ。
「ねぇ、お父さん!お母さ……」
目を疑った。そこには、肩にコウモリを停まらせた父が立っていた。後ろからは母が迫っている。
リビングに滑り込み、鍵を開けて暗闇の中を素足で走る。
……何処に行こう?
抹呱々なら、全てを知ってる。
そうだ。抹呱々の家に行こう。
フラフラ近所から、異常な数の人間が私に向かってゆったりと歩みを進める。
みんな何かブツブツ言いながら。
多分、例の声で「お前のせいだ。」とでも言ってるのだろう。
急がなきゃ。
後ろを振り向いている暇はない。
……__……__……
息を切らし、血だらけの足を引きずってようやく着いた抹呱々の家。
インターホンを鳴らすと、すぐに抹呱々が出て来た。
「嫌な予感がしたから……」
抹呱々の部屋に入った。この家のセキュリティは他と比べ物にならないくらい良いから、あいつらは入って来れないはず。
「ねぇ、竜?後ろに何か付いてるよ⁇」
「ん?」
私は抹呱々に背を向けた。
「わたしね、人を殺しちゃったの」
まぁ、一話目の事を考えればそうなるだろう。
そして、私の口から血が……
「え」
背中に異物が入ってきた。
激しい痛みだった。
ブチッ
中で何かが切れる。
燃えたぎるような痛みが走る。
綺麗なペルシャ絨毯に私の足の乾いた血とは別に、赤い液体が滴り落ちる。
ズルリ
背中から何か出てきた。
無い力と勇気を振り絞って後ろを向く。
抹呱々の右手の爪が異常に長かった。
その上、白い手からその手首と肘の丁度半分当たりまで、鮮血でテカっていた。
彼女は笑みを湛えた赤い唇から雷のような声でその言葉を零した。
「「これが、『摘ままれた心臓』だよ」」
その長い爪は、私の心臓を摘まんでいた。
本当は、色々修正とかしなきゃいけなかったんですが、すみません(泣)
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