ーお嬢様ー
「マルコさん、あんたが『お嬢様』と呼んでいる女の人の裸を俺が見た…と言いたいのか? それだったら、俺は見ていないと思うんだが…。口調や容姿が違うし…」
(俺が今日出会った女の子はもっと物静かで弱々しかったはずだ)
(こんなに自分の主張をする様な人では…ましてや、お嬢様と呼ばれていそうな感じはし無かったし…)
「これほどまでとは…流石に呆れました…」
「? 一体なんの事だ?」
「私がロザリエ・ナイトメアです」
胸に手を当てて立っているのはマルコさんに『お嬢様』と呼ばれていた女の子。
「えーっと、お姉さん?」
「本人です!!」
「そんなバカな~。だってもっと背が小さかったし、それに声だって…」
「そのときは少し血を使い過ぎただけだからよ!」
「ゴッホン。 お嬢様? 少々お喋りが過ぎるかと…」
横で何時の間にか立っているマルコさん。
「それで? あんた達は吸血鬼なんだろ?」
「これは驚きですね、流石にわかるとはおもいましたが…」
「話を聞いていれば誰にだってわかるわ! あんたの中での俺は一体なんなんだよ!」
「馬鹿…でしょうか…。ましてやそれ以下…」
「酷いな…。 って、じゃあ俺はここで殺されるのか!?」
「いいえ、貴方にはここに住んでもらいます。 そして…」
「そして…?」
「お嬢様の婿様になって頂きます」
「ちょっと、私のセリフ取らないでよ、マルコ!」
(父さん、母さん、俺は…これからどうなってしまうのでしょうか…)