ーあいさつー
「た、ただいま……。え、えーっと…どちら様で?」
「…ロザリエ・ナイトメア…」
「こりゃあご丁寧にどうも…。俺、紙敷敏樹って言うんだ。と…取り敢えず、服…着てくれるか? 流石に…気まずい…」
タンスから男物で悪いけどそれしか無いので、割と新しめな服を一式彼女に渡す。
着替えが終わるまでそうは長くは無かったはずなのだが…。
理性を保つのに苦労した…。
「それで? どうやってこの鍵の掛かった部屋に入ってきたんだ?」
着替えが終わったころを見計らって話しかけた。
「霧になって…」
「そうか、そうか。霧にな……って??」
「そう……。…霧になって…」
(霧? ミスト? WHAT?)
(彼女はなにをいっているんだ? )
「冗談か…何かか?」
「……違う…。だから、服がこの場に無い……」
俺は迷うことなく携帯電話を取り出した。
「…なにを……しようと…してるの?」
「なにって! 警察を呼ぶに決まってんだろ!」
「…………め」
声が小さ過ぎた為に聞こえなかった。
「騒いでは…ダメ」
そう彼女はつぶやいたのだった。
しかし、既に遅かった。
電話はコールを終えて繋がってしまった……。
「はい、こちら………ザッ…ザッ…『お電話変わりました…。マルコ、と言います。只今からそちらに向かわせて頂きます故、以後、お見知りおきを……。紙敷敏樹様…』」