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群馬県の祠についての報告書  作者: 九條葉月


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群馬県の『祠』についての報告書


古寺に残る伝承にいわく。


 江戸時代、かつてこの村の住人が『祠』を使ったのだという。


 その年は酷い日照りと飢饉があり、もはや領主への年貢を納めることすらできないような有様だった。そこで村人は米を盗んだ罪人の首を捧げ、千鬼様に願うことにしたのだ。


 罪人の斬首に使われたのは、古い斧。


 かつてこのあたりの材木業が栄えていた頃に使われていたもので、所々が刃こぼれし、サビも浮いた酷い状態だったという。


 人の首どころか、細枝一本落とすことすら難儀しそうなボロボロの斧。


 しかし不思議なことに、その斧を振り下ろすといとも簡単に罪人の首を落とせたという。


 首は宙を舞い、罪人の胴体からは鮮血が吹き出した。


 まるで雨のように降りしきる赤い血を見て、村人たちは千鬼様への願いが通じたと確信したという。




 古書にいわく。その後は雨が降りしきり、村人たちは何とか食いつなぐことができたという。


 また、あまりの飢饉に危機感を抱いた領主はその歳の年貢を免除した。


 その後は水の豊かな地域から城の水堀に使うための用水路が敷かれ、その水を農業用にも使えるようになったことから飢饉は滅多に起きなくなったという。


 村人たちは千鬼様の奇跡だと感謝し、さらに厚く信仰するようになったという。


 今でもこの村の古い家では千鬼様のお札や木像を見ることができるのだという。




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