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前日譚 一ヶ月前 聡也
その日。不幸な事故が起こった。
ビルの建築現場で吊り下げていた鉄骨が落下。下にいた作業員が死亡したのだ。
頭部を押しつぶされたことによる即死だった。
その死に様が派手だったせいか全国ニュースになったが、それだけ。その日だけ話題になり、調査の結果などは特に報道されない。そういう『よくある事故』でしかなかった。
しかし、田舎においてはそうではない。
――東京に出て行った娘が首を失って死んだ。
――山に登っていた男が首を失って死んだ。
――そして今回、工事現場で首を失って死んだ。
みんな同い年で、同じ高校を出た者たちだ。
この地に住まうものたちは皆、その事実をただ恐れた。
「千鬼様じゃろうか」
「そうじゃろう」
「そうじゃろう」
「この地を離れた者まで狙うのは珍しいが、千鬼様としか考えられん」
「何が原因じゃろうか」
「なんでもよかろう」
「そう、なんでもよい」
「なぜなら千鬼様が動いたのじゃ」
「どうせ悪いのはアイツらじゃ」
「アイツらが悪い」
「アイツらが悪い」
「千鬼様は正しい」
「正しい」
「正しい」
「おそろしや」
「おそろしや」
「おそろしや」




