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群馬県の祠についての報告書  作者: 九條葉月


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群馬県の『祠』についての報告書





 明治時代のこと。


 とある男の妻子が強盗に殺された。


 妻は強姦され、息子は手足をバラバラにされるという凄惨さだった。


 犯人は分からない。


 防犯カメラも、科学的捜査方法もない時代だ。現行犯か目撃者でもいなければ逮捕するのは難しかったのだ。


 男は目撃者を探して何日も何日も聞き込みを行ったが、結局犯人に繋がる証言を得ることはできなかった。


 万策尽きた男は、最後の手段として『祠』に願うことにした。


 周りの人間は止めたのだが、男は聞く耳を持たなかった。愛する妻子がいないこの世にもはや未練などなかったから。


 男は祠の近くにある岩に自らの頭を叩きつけ、命を絶った。かつて千鬼が真田幸村に敗れて首を落とされた際、その首が置かれたという曰く付きの岩だ。


 男が死んだところで犯人は捕まらなかったし、捜査にも進展はなかった。


 ただ、男が住んでいた村の村長が近くの川に身投げをして命を落としたという。


 その死体は激流に流され、岩にぶつかり続けたせいで肉が削り取られ、四肢も欠損していた。


 また、その陰嚢は通常の数倍も膨れあがり、中からは大量のミミズが出てきたという。


 村人は村長こそが犯人なのだと確信した。四肢をバラバラにしたからこそ自分も手足を失ったし、強姦したからこそ陰嚢があんな状態になってしまったのだと。


 こうして村人たちはますます千鬼様を恐れ、敬うようになったという。




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