晩年 ーアリとの出会いー
僕はたんぽぽ。ふふふふふ
根っこから、水を吸い
光を受ける、たんぽぽさ。
僕はたんぽぽ。へへへへへ
道端の、土に住み
元気に育つ、たんぽぽさ。
僕はたんぽぽ。ほほほほほ
春分に、いっぱいの
花を咲かせる、たんぽぽさ。
僕はたんぽぽ。ひひひひひ
ミツバチが、飛んで来て
花粉を渡す、たんぽぽさ。
僕はたんぽぽ。ははははは
わたわたで、白妙の
子供を飛ばす、たんぽぽさ。
ということで、田んぼの近きところに住んでいた此のたんぽぽ君は、とうとう枯れる寸前まで来ていました。
年ながく生きるたんぽぽにとっては、とても短い生涯です。日頃のストレスが原因でしょう。
さて、死期を悟り、落ち込んでいるたんぽぽ君の近くに通りかかったものがいました。
はじめ、たんぽぽ君は気付きませんでした。耳元で囁く…いや、喋られた時に始めて気が付きました。
「もしもし、たんぽぽさん」
「わあ!?びっくりした。誰だい、僕に話しかけた奴は」
「私です。アリで御座います。ここに居ります」
その小さなちいさな蟻は、たんぽぽ君の耳、即ち茎の上部あたりに居るのでした。
「たんぽぽさん、お願いがあります。彼処にある蠅の死骸を取ってくださいな。私では、どうにも届かないのです」
たんぽぽ君は呆れた風で答えました。
「何かと思えば。それは無理な話だね。僕は唯のしがないたんぽぽさ。手など自分で動かせるはずがない。決まりつけは…ほら、僕の手、枯れ枯れだろ? もう昔の艶やかな茎や葉は戻って来ないんだ。どうか諦めて、帰っておくれ。僕をゆっくりさせておくれ」
アリはもう一度言いました。
「たんぽぽさん、お願いです。彼処にある蠅の死骸を取ってくださいな」
「ええい!しつこいぞ」
「でしたら、一寸ばかし、手を動かしてくださいな。そうすれば、私がたんぽぽさんの手を伝っていきます」
仕方がないので、たんぽぽ君は、先が枯れた手を頑張って伸ばしてあげました。
アリは有難うと云って、蠅のところへは行こうとせず、急に地面へと降りてしまいました。
「どうしたんだい?伸ばしてあげたじゃないか。行かないのか」
「今さっき或ることに気が付きました」
「何だい」
「あの蠅を運ぶ為には、もう少し蟻数が必要だということです。たんぽぽさん。今から仲間を呼んで来ますので、もう暫しお待ちください」
「ふん。蟻だというのに、孅い奴だ」
アリはすぐさま、仲間を呼びに行ってしまいました。
又アリが来たのは、一週間も先でした。
感性に従って、書き綴っていきます。




