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1周目・第22話:ダミーの処理にちょっと困っています

5人の少女たちが我先にと飛び込んでいった黄金のゲートが、ゆっくりと光を失い、閉じていく。


偽りの魔王城、玉座の間。残されたのは、賢者アルドゥスただ一人。


「……行ったか」


アルドゥスは、少女たちが成し遂げた偉業に、深い感動のため息をついた。


彼の視線は、玉座の前で大の字に倒れ絶命しているマリオニス(偽)の死体に注がれていた。


(おお……なんという神々しい光景じゃ……)


アルドゥスは、フライパンに近寄り、そっと手を合わせる。


(魔王を物理で打ち破るとは……! これぞ伝説の聖剣……いや、『聖フライパン』! アストラディアは救われたのじゃ!)


アルドゥスが涙ぐみ、このフライパンを神殿にまつろうと考えた、その時だった。


「――痛い……。最悪ですよ、あの鉄塊……」


「!?」


アルドゥスが声のした方を振り向くと、空間が歪み、そこから二つの人影が現れた。


一人は、先ほどまで倒れていたはずのマリオニス本人。彼は、眉間のあたりにフライパン型の痛々しいコブを作り、不機嫌そうに頭を押さえていた。


そして、もう一人は。


「なっ……!?」


アルドゥスは、息を呑んだ。そこに立っていたのは、二周目ほんぺんのラスボスである、圧倒的な威圧感を放つ「真の魔王」だった。


「ま、マリオニス!? なぜ生きている!? しかも二人……いや、まさか……魔王が……!?」


アルドゥスは、目の前の現実が理解できず、混乱した。


「ああ、うるさいですねぇ」


マリオニスは、頭のコブを押さえながら、アルドゥスを睨みつけた。


(痛い……本気で痛い……。物理フライパンで殴られたの、人生で初めてですよ……)


「あの、アルドゥス。感動しているところ悪いんですが、そろそろその死体ダミー、片付けません?」


「ご苦労だったな、アルドゥス」


真の魔王が、アルドゥスを見て静かに告げた。


「お前の『1周目』の実験は、見事に失敗だ」


「じっ……けん……?」


アルドゥスは、真の魔王の言葉と、生きているマリオニスの姿、そして5人が消えていったゲートの残光を交互に見つめ、ついに全てを悟った。


(まさか……全ては、仕組まれていたというのか……?)


(彼女たちは、偽りの魔王を倒しただけ……?)


(そして、何の疑いもなく帰ってしまった?)


アルドゥスは、5人が我先にと、何の未練もなく消えていった光景を思い出し、その場に膝から崩れ落ちた。


「彼女たちが……世界を、見捨てた……」


アルドゥスの絶望をBGMに、マリオニスは「さて、本気でコブが痛い……」と、自分そっくりの死体を無感動に見下ろしていた。

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